【情シス女子】第34回 「情シスのチカラで働き方も会社も変えていきたい!」越智佑子さん
資生堂 グローバルICT部 デジタルイノベーショングループ 越智佑子さん
今回の情シス女子は、資生堂のグローバルICT部 デジタルイノベーショングループに所属する越智佑子さんです。監査部、人事部と管理部門でキャリアを積んできた越智さん。ITの業務は現在の部署が初めてといいます。そんな越智さんに「会社と社会をよくしていける」という今の仕事や独自のキャリア観について話してもらいました。(取材・文:山際貴子 撮影:AUSTIN Studio ヘアメイク:土屋璃紗)
<越智佑子さんプロフィール>
資生堂 グローバルICT部 デジタルイノベーショングループ所属。外資系コンサルティングファーム、教育ベンチャーを経て、2008年に資生堂入社。入社後は、監査部でJ-SOX(内部統制報告制度)導入、人事部で働き方改革や人事システム構築に従事する。2016年7月から現部署に所属。ICT(情報通信技術)活用の推進・指南役として、社内のコミュニケーションや働き方の改革に取り組んでいる。
この記事の目次
ICTで働き方と組織を改革する“女子ばかり”の部署です!
――資生堂は女性が多いイメージですが、越智さんの部署どうですか?
グローバルICT部全体では男性の比率はかなり高いです。でも私の所属するデジタルイノベーショングループは7人中、6人が女性です(笑)。みんな積極的で、明るくて、とても活気があって、楽しく仕事をしています。
――担当する仕事について教えてください。
大きく2つあります。1つは「ICTを活用したワークスタイルの変革」です。社内で導入しているマイクロソフトの「Office 365」やメール、社内ファイルサーバーを使って、コミュニケーションをどうやって取っていくかを提案する仕事です。この業務ではICTのリテラシーを上げて、活用してもらうことで、よりよい働き方と風通しのよい組織風土を作ることを目指しています。
もう1つは、新規事業になる「アプリケーション開発」です。例えば、私が担当したのは「TeleBeauty(テレビューティー)」というアプリです。これはオンライン会議で画面に表示される顔に自動でメークや顔色補正するものです。在宅勤務の女性により楽しく仕事をしていただき、メークの楽しさを感じていただくために開発しました。
こうしたアプリ開発で要件のとりまとめやパートナー会社へのディレクションを行っています。また、新たに部下が上司に助言する「リバースメンター」という方法で役員の方々にICTのリテラシーを向上してもらい全社員のIT活用を促進するための取り組みも行っています。
地道に情報発信をすることで、少しずつ社員の意識を変えていく
――社内の働き方変革では、どんな取り組みをしていますか?
場所や時間にとらわれない働き方である「テレワーキング」を推進しています。
例えば、「Office 365」の「Skype for Business(スカイプ フォー ビジネス)」を使って、今まで出張して行っていた打ち合わせをオンライン会議に切り替えることで頻度を多くするといったことです。
それから、社内には「Yammer(ヤマー)」というSNSがあります。このYammerを使うと、外出や出張が多くて直接会話ができない部署でも気軽に活動報告や、各地のイルミネーションやランチといったカジュアルな情報交換ができます。また、全社でリソースやアイデアの募集が行えます。こうしたツールの活用を通じて働き方やコミュニケーションのあり方を変えていくことを目指しています。
――こうしたツールは使ってもらうのが大変ですが、何か工夫をしていますか。
「ワークスタイルの変革」と口では簡単に言えますが、仕事のやり方を変えるとか、コミュニケーションのやり方を変えるのはすごく難しいことです。でも、さまざまな部署の方をどんどん巻き込んでいったり、セミナーを開いたり、「こうやって使ったらこういう風によくなった」という事例などを集めて地道に発信していくことが、みんなの意識を少しずつ変えていると感じています。
また、ほかの部署とコミュニケーションを密にして、課題があれば「そういうことならYammerで解決できそう」と提案したり、部署のトップである役員に「Skypeやインスタントメッセージを使うと、こんないいことがありますよ」と働きかけてトップダウンで推進してもらったりもしています。
――今の仕事でよかったと思ったことは?
初めは使いづらくて慣れていなかったツールも「実際使ってみたら業務が効率化できた」という話や、社外にいることが多くてコミュニケーションが取れていなかった部署でYammerを使ってやり取りをすることで部内が仲よくなったという話を聞くと「力になれたな」と感じます。
――逆に苦労したことや大変だったことは?
実は何も思い浮かばないです(笑)。それは今やっている仕事がみんなを幸せにする仕事だからかなと思います。組織で何かを推進しようとする時には、どうしても利害関係があって調整が難航したり、誰かの利益になる一方で誰かの不利益になることもあります。でも、この仕事は「みんなが望むことをやっている」という実感があります。だから大変とは感じないのだと思います。
華道を通して自分と向き合い「大局観」を養う
――休みの日の過ごし方は?
子どもと遊んでいることが多いですね。子どもと遊んでいると、いろいろな知識をどんどん吸収して、成長が速いので「私も負けずに成長しなくては!」という思いが強くなります(笑)。以前は趣味で囲碁や茶道、フットサル、ボルダリングなどをやっていましたが、今は華道だけを細々と続けています。
――なぜ華道だけは続けているのですか?
花を生けることで自分と向き合う時間を大切にしているからです。華道の先生に「花は心を表す」と教えられたことがあります。「自分が生けた花はその時の自分を表していて、すごく大胆になることもあれば、小さくまとまることもある」と言われました。
また、華道はいろいろな形の器にバランスを考えて花を生けるので、「全方位で美しくあれ」とされています。ある一定の角度から見て美しいだけではダメなんです。これは生活する中で自分自身も気を付けようと思っています。
越智さんが手がけた生け花。花を生けることで自分と向き合っているといいます
以前にやっていた囲碁でも「大局観」が大事だと教えられました。仕事に没頭していると周りが見えなくなってしまいがちです。そうした時に生け花で学んだことが諭してくれるように思うんです。
偶然に巡りあう人と仕事が自分のキャリアを作っていく
――これから挑戦したいことはありますか?
いろいろな部署で働いてきた、私のキャリアは少し変わっているかもしれません(笑)。それは「プランド・ハプンスタンス(計画された偶発性)」というキャリアの考えを大切にしているからだと思います。プランド・ハプンスタンスは「キャリアの80%は予期しない偶然で形成される」というキャリア理論です。
仕事も人も“偶然の出会い”を大切にしていきたいという越智さん
人事部から現在の部署に来たのも、たまたま「こういう仕事をやってみない?」と声をかけていただいたからです。自分の中に「会社をよくしていく仕事、社会をよくしていく仕事がしたい」という思いがあって、その思いをかなえる仕事との出会いが私のキャリアになったのだと思います。その自分のベースとなる思いを貫いて、こらからもその思いがもたらす偶然の人との出会い、仕事との出会いを大切にしていきたいと思っています。
――越智さんにとって情シスの仕事とは?
ICTの活用を通じて会社の成長をサポートできる、成長角度を高めることができる仕事です。ICTを活用することは、組織の風土を変えることだと思います。ICTでコミュニケーションの方法が進化すれば、より社員ひとりひとりの活躍にスポットがあたり、在宅勤務で引け目を感じていた人が自信を持って働けるようになったりできると思います。だから、情シスの仕事は社員のマインドを変えて物事をポジティブに捉えるようにする力があると考えています。
最後に今後の目標を書いてもらいました!
<インタビューを終えて>
「自分には“大胆なところ”と“慎重なところ”がある」と、越智さんはいいます。インタビューでも穏やかで優しい口調で話す、やわらかな雰囲気と「社内の働き方を変えていこう」という熱い思いを語る姿が印象的でした。「困ったらまず相談する」と、社内の誰もが口をそろえるほど周囲から頼りにされているという越智さん。ICT活用の推進役としての活躍に期待しています!
資生堂
http://www.shiseido.co.jp/
■事業内容:化粧品、化粧用具、トイレタリー製品、理・美容製品、美容食品、医薬品の製造・販売
■本社:東京都中央区銀座7-5-5
■設立:1927年
■従業員数:約4万6000名(連結、2016年12月時点)
■連結売上高:8503億円(2016年12月期)
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