国内IoTインフラ市場インテリジェントエッジ利用状況ユーザー調査-IDC
IDC Japanは、IoT(Internet of Things)プロジェクトを推進している国内企業および団体の経営層、事業部門長、部課長、係長、主任クラスを対象として2020年1月にアンケート調査を実施し、564の組織から得られた回答をもとに「2020年 国内IoTエッジインフラストラクチャ調査:インテリジェントエッジ利用状況」を発表した。
IDCでは、IoTの基本アーキテクチャとして「IoTの3層モデル」を定義している(図1)。
IoTの3層モデルを基に「IoTコアインフラ」と「IoTエッジインフラ」を定義し、さらに「IoTエッジインフラ」を「インテリジェントエッジ」と「それ以外のIoTエッジインフラ」に分類している。
図1. IoTの3層モデル
Notes:
- クラウドまたはデータセンター層で使用されるIoTインフラストラクチャを「IoTコアインフラストラクチャ(IoTコアインフラ)」、エッジコンピューティング層で使用されるIoTインフラストラクチャを「IoTエッジインフラストラクチャ(IoTエッジインフラ)」として定義している。
- IoTエンドポイント層で使用されるIoTインフラストラクチャ(センサー、デバイスなど)は、IoTインフラ調査の調査対象外としている。
Source: IDC Japan, 4/2020
「インテリジェントエッジ」は、データ分析などの高度なコンピュート処理を可能にするIoTエッジインフラを指し、「それ以外のIoTエッジインフラ」 は、IoTゲートウェイやルーターなど、データ分析を行わないIoTエッジインフラを指す。
本調査では、IoTインフラユーザーにおけるIoTエッジインフラの利用形態およびベンダー選定基準について調査している。
調査結果では、IoTエッジインフラにおける制御や分析処理で最も重要なものは、現在は、「OT(制御システム)の監視」、3年後は「データ分析(AI*を利用した深層学習)」が最上位項目となった(図2)。
図2.IoTエッジインフラで行っている最も重要な処理
Q. あなたが携わっているIoTプロジェクトにおいて、IoTエッジインフラで行っている最も重要な処理を1つお答えください。
n = 564
Note: 単一回答
Source: IDC Japan, 4/2020
現在、回答者の4割弱がデータ分析処理と回答しており、3年後にデータ分析処理を選択する割合は増加し、回答者の半数近くになった。
データ分析処理を、IoTエッジインフラで行う理由については、「データ処理が速い」が最上位項目となりました。また、分析処理で使用するデータに関しては、3年後は「画像データ(動画)」が最上位項目となりました。AIによる画像認識精度の向上が進む中、IoTエッジインフラにAI技術を搭載し、動画をデータ分析に活用するケースが増えてくるとIDCはみている。
エンドポイントから分析用データを収集するタイミングについては、「常時(ストリーミング)」が、「現在」、「3年後」共に最上位項目となった。また、収集したデータをIoTエッジインフラで保存する期間については、「1年以上」が、同様に最上位項目となっている。
また、「現在」と「3年後」を比較し、3年後の収集タイミング、保存期間として、それぞれ 「常時(ストリーミング)」「1年以上」を選択した割合が多い結果となった。
データ収集をストリーミング方式で行うケースが増え、また、データ保存期間がより長くなることから、IoTエッジインフラの分析処理で使用されるデータ量が今後増大すると考えられ、インテリジェントエッジのニーズ拡大につながるとIDCはみている。
また、最も重要な処理を行うIoTエッジインフラの採用意向に関する質問では、現在は、回答者の5割以上が汎用サーバーを選択している。3年後の採用意向では、汎用サーバーを選択する割合は減少し、IoTエッジ専用製品と、クラウドサービスベンダーのIoTエッジサービスを選択する割合が増加する。
IDC Japan エンタープライズインフラストラクチャ リサーチマネージャーの下河邊 雅行氏によれば 「IoTインフラベンダーは、インテリジェントエッジの製品ラインアップを強化し、自社のIoTインフラビジネス拡大につなげていく必要がある」と述べている。
*AI: Artificial Intelligence(人工知能)
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ46186920