デバッグだらけの人生を乗り切るために。エンジニアに必要な3つのスキル

デバッグだらけの人生を乗り切るために

ITエンジニアと聞くと「新しい技術を使ってひたすらシステムを構築している」ハッカーのようなイメージを持つ方もいるかもしれません。確かに、日々新しい知識も求められる仕事ですが、普段の業務を進める上では、その根底には意外にもシンプルなスキルが求めらると思います。特に私がこれまでの経験で重要だと感じたのは、「論理的思考力」「学習意欲」「コミュニケーション力」です。

どれも聞きなれたスキルかもしれませんが、エンジニアとしての業務にどのようにこれらのスキルが関わっているのかを理解することで、エンジニアを目指す人にとって実際の仕事がよりイメージしやすくなるかと思います。今回は私自身の経験をもとに、この3つのスキルがエンジニアにとってどのように重要かをお話ししていきます。

論理的思考力

エンジニアの仕事は常に論理的な選択の連続です。開発中には、さまざまな局面でエラーが発生することが頻繁にあります。エラーを解決するためには、その原因を一つひとつ論理的に検証し、選択肢を潰していく必要がありますが、これはエンジニアの論理的思考力が最も発揮される場面のひとつです。とはいえ、エラー解決は論理的思考力を発揮する局面の一例に過ぎません。大規模な設計からコーディングの細かい部分まで、日々の作業ではあらゆる場面で選択を繰り返し、そのたびに考えられる解決策の中から最も適切なものを選び続けることが求められます。

たとえば、システムの設計段階では、拡張性、パフォーマンス、保守性など、数多くの要素をバランスよく満たす設計を考える必要があります。また、コーディングでは、単に動作するコードを書くのではなく、可読性やメンテナンス性を意識した書き方を選ぶことが重要です。エンジニアの仕事は、こうした最適な選択を積み重ね、プロジェクトのゴールに向かって一歩ずつ進んでいくことにほかなりません。

しかし、「どうすれば論理的思考力が身につくのか」と聞かれると、答えるのは難しいものです。論理的思考力はエンジニアリングにおいて重要なスキルですが、実際、多くのエンジニアがこの部分において自身の地頭に左右されることを感じているかもしれません。そうなるとエンジニアになるのは来世にしてゲームでもしようと思うかもしれませんが、幸いなことに、エンジニアは失敗と成功を高速で繰り返す「トライ&エラー」を活用できる職業です。地道に経験を積み、仮説を立て、検証するプロセスを通じて考える力を磨き続けることで、論理的思考力を高めることは可能だと思います。

継続的な学習意欲

エンジニアの世界は非常に実力主義です。エンジニアとしてプロジェクトに参画する際、成果を出すために必要な知識をすぐに学び、実践に移すことが求められます。実際、エンジニアは動作するものを作り出す立場にあるため、結果が全てと言っても過言ではありません。このため、日常的に知識を学び続ける姿勢や、実際に使えるスキルを蓄えておくことが重要です。

普段から継続的に学習を行っているエンジニアは、必要に応じて新しい技術を習得する際もスムーズに対応できます。特に、汎用的な基礎知識が身についていると、プロジェクトごとに求められる新しいスキルも習得しやすくなるため、毎回のキャッチアップが苦になりません。逆に、普段の学習を怠っている場合、プロジェクトごとに大量の新しい知識を詰め込むのが大変になることもあります。

継続的な学習の方法としては、技術書を定期的に読む、Udemyなどの動画で学習する、ブログや記事を書く、新しい技術や方法論に触れてみるといった方法があります。たとえば、エンジニア向けの技術書を月に一冊読み、自分の理解を深めたり、気づいたことを記事にまとめてアウトプットすることで、知識の定着を図ることができます。学習は日々の小さな積み重ねであり、短期間で急激に得られるものではありません。しかし、こうした学習習慣を身につけることで、最終的には大きな成長につながります。ただし、勉強のしすぎで自分自身がプログラミングされたロボットのようにならないように気を付けましょう。

コミュニケーション力

エンジニアはシステムを通じて人間の要望を実現する仕事であり、ここで「コミュニケーション力」が欠かせません。システム開発の依頼者は必ずしも技術的な知識を持っているわけではなく、抽象的な要望や曖昧な要求が多くなりがちです。エンジニアは、こうした曖昧さを解消し、具体的で実現可能な仕様に変換する役割を担っています。

このプロセスは、インタープリターがプログラミング言語を機械語に変換するようなものです。ただし、インタープリターは仕様が決まっている言語を扱いますが、エンジニアが相手にするのは曖昧な人間の要望です。たとえば、クライアントが「もっと使いやすくしてほしい」と要望した場合、エンジニアはその背後にある意図を理解し、具体的な改善案として落とし込む必要があります。エンジニアに求められるのは単なる翻訳スキルではなく、抽象的な要望を論理的に解釈し、明確なプログラミング言語で表現する力です。

また、開発はほとんどの場合チームで行われるため、他のエンジニアとのコミュニケーションも重要です。設計の意図やコーディング方針を適切に共有しなければ、コードの重複や設計方針から逸脱するリスクが増し、あっという間にメンテナンスが困難な泥団子システムになってしまいます。チーム全体でシステムの方向性や開発の方針をすり合わせ、円滑に進行させるためのコミュニケーション力が、エンジニアとして成果を出すうえでの前提条件となると思います。

まとめ

エンジニアには多くのスキルが求められますが、特に「論理的思考力」「学習意欲」「コミュニケーション力」は欠かせない要素です。エンジニアリングの世界では、論理的な判断が常に求められ、技術的な成果を上げるために学び続ける姿勢が重要です。また、依頼者の意図を正確にシステムに反映させるため、そしてチームで効果的に開発を進めるためのコミュニケーション力も大きな影響を持っています。

これらの能力は日々の業務を通じて少しずつ身についていくものであり、エンジニアとして成長するためには、経験と意識的なトレーニングが必要です。プロジェクトの進行を支え、エンジニアリングの成果を最大化するために、論理的思考力を鍛え、学び続け、他者と協力する姿勢を常に持ち続けることがエンジニアには求められているのです。

エンジニアには、実務で泥臭いスキルが求められる一方で、建築家のように頭の中のアイデアを形にしたり、目に見える形で成長が実感できる魅力もあります。デバッグだらけの毎日をぜひ楽しんでいきましょう!

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