使える! 情シス三段用語辞典100「BIツール」

常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなると更に難しくなります。『情シスNavi.』では数々のIT用語を三段階で説明します。

一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明

取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?

一段目 ITの知識がある人向け「BIツール」の意味

振り返れば、「ビッグデータ」が2013年の流行語大賞にノミネートされてから早6年。ビッグデータ活用は今やIT業界内のみならずさまざまな業界に広く浸透し、新たなビジネス領域を生んでいます。

(もはや使い古されたイメージすらありますが)ビッグデータというのはさまざまなモノやコトから集めたデータで、その数はまさに膨大です。ビッグデータの例としてはユーザーの行動履歴や購買履歴といったアクションログ、機械に取り付けられているセンサーデータなど細かいピンポイントデータの集合で、そのデータ量は数十テラバイト以上になります。 POSレジでレシートに印字されている情報も立派にビッグデータの一部なのです。

こうした膨大なデータを探索・解析してその中にある傾向やパターンを抽出し、売り上げ予想、市場の開拓、生産性向上などに役立てられています。しかしながら、こういった膨大なデータを管理して効率的に解析を行うのは、人間にとっては至難の業です。まずデータの解析には大規模な設備が必要となります。そしてデータ分析の専門業者に依頼しても分析には時間がかかり、分析によって得られた情報をリアルタイムに経営に反映できないといった課題がありました。

こういった、コストと時間のかかるビッグデータ解析をより効率的に行ってくれるのが「BIツール」です。

BIツールとは“ビジネスインテリジェンスツール”の略で、ビッグデータ(時には社内のデー)を解析してビジネスに活かすための分析結果を返してくれるツールを指します。

一般的にBIツールには、データの蓄積・分析・可視化という機能があります。

・データ蓄積
企業で蓄積したデータとの連携を行います。企業の持つ複数のシステムから必要なデータを抽出しデータウェアハウスに格納します。その際データ加工も行います。

・データ分析
OLAP(Online Analytical Processing)分析、相関分析などの分析機能を持っています。OLAP分析では、あるデータを時系列・製品別・顧客別といった複数の観点で抽出して分析し、その関係性を見つけ出します。また、相関分析や回帰分析などを行って、パターン傾向を発見します。そして、実際のデータに基づいたシナリオシミュレーションによる予測を行います。

・データ可視化
膨大なデータからレポートを作成して可視化できます。データのサマリを作成してダッシュボード表示やアラート通知、指定した形式のレポートの出力を行います。

 

BIツールには、サーバーにインストールして使用するオンプレミス型と、インターネット経由でBIツール提供業者のサーバーにアクセスして使用するクラウド型があります。これまでビッグデータ活用のためには大規模な設備が必要でしたが、分析機能をクラウドで行えればそうした設備費を抑制することができます。

BIツールにはさまざまな製品があるので、自社の業種や規模、BIツールを使う目的によって合うツールを選定することが重要です。

 

二段目 ITが苦手な経営者向け

とある健康器具販売会社の社長、新商品のマッサージ機の販売戦略を考えていた。そこに情シスの尾藤さんが通りかかって……。

社長:「尾藤さん、ちょっとちょっと。この新商品の販売企画のことなんだけど…。」

尾藤さん:「はい。」

社長:「経営部部長の話だと、彼の経験則からどうも毎月3のつく日は足裏マッサージ機がよく売れるらしいんだ。今回開発した、新型マッサージチェアもそういう『〇〇な日は売れる』みたいな法則ないかなあ。」

尾藤さん:「風が吹けば桶屋がもうかる、みたいな話ですね。」

社長:「最近、ビッグデータ活用とか世間で言ってるだろう。そういうのうちもできないかな?」

尾藤さん:「うーん、ビッグデータを集めて、BIツールを使えばできるかもしれませんね。」

社長:「それそれ、そういうのだよ! ちょっと待てよ、BIツールってどういうものなんだい?」

尾藤さん:「BIツールとは、ビジネスインテリジェンスツールといって、ビッグデータの解析をやってくれるものなのです。経営部長の経験則も、その法則がわかっていればエクセルで日毎の販売履歴をグラフにするなどで、その傾向を見ることができますよね。BIツールは、要素が多すぎてエクセルでは扱えないようなデータや、そもそも何を縦軸・横軸に取ればいいかわからないようなデータの解析を自動でやってくれるんです。」

社長:「BIツールを使えば、いつ新型機が売れそうかわかるってことかい?」

尾藤さん:「そこまで一足飛びには行けませんが、BIツールは売り上げのパターンを見つけ出してくれると思います。お客様の行動履歴や実際の販売数など、たくさんのデータからシミュレーションを行って売り上げの予想を出したりすることもできます。」

社長:「その解析やシミュレーションには時間がかかるのかな? これからはスピーディーにやっていかないと、ライバル会社にすぐ製品を真似されて向こうがバズったりしちゃうからなあ。シミュレーションに何週間もかけていられないぞ。」

尾藤さん:「一般的にBIツールは何日もかかるものではありませんよ。見やすいレポートもすぐ出せますし。次のステップの提案もしてくれるものが多いです。」

社長:「そうかそうか、それならいいねえ。」

尾藤さん:「しかもBIツールはクラウドサービスとしても提供されています。以前のような先行投資なしでも使え、どんどん新しいサービスも出てきています。」

社長:「ふーむ、教えてくれてありがとう。さて2020年は我が社のビッグデータ元年になるかなあ。」

 

三段目 小学生向け

皆さん、冬休みは楽しく過ごせましたか? 冬休みは宿題も少ないし外は寒いし、家でお気に入りの動画ばっかり見ている……なんてことはありませんでしたか? 今日は、ビッグデータに関係している「BI(ビーアイ)ツール」のお話です。

さて小学生のミツルくんは、大のアニメ好き。冬休みはここぞとばかりにためてあったアニメの録画をまとめて見ています。ふと、

「そういえばあの超絶おもしろかったシーン、どの回だったっけ?」

そう思って探してみるも、何十話もある1回30分の録画をひとつひとつ見直すのも大変です。ミツルくんは探すのをあきらめてしまいました……。

もし、ここでそのたくさんのシーンの中から「あなたが探しているシーンはこれ!」と教えてくれる人がいたらとても助かりますよね。これ、実はビッグデータと同じなのです。

ビッグデータって、皆さんもきっと聞いたことがあるでしょう。ビッグデータとはものすごくたくさんのデータのことです。ミツルくんのアニメも、いわば(ちょっと小さな)ビッグデータです。ビッグデータは、そこからいろいろな情報を抜き出して便利に使えるものなのですが、データが大きすぎてどこに何がどうなっているのかを探すのが大変です。ミツルくんも好きなシーンを探すのをあきらめてしまいましたよね。でもBIツールがあれば、ものすごくたくさんのデータの中から使いたい情報だけを抜き出して教えてくれるのです。BIツールとは、ビッグデータの中からほしい情報だけをわかりやすくまとめて教えてくれるものなのです。

ついでに、BIツールは「ミツルくん、こういう番組も好きじゃないですか?」と予測して良い情報を教えてくれたりもするのです。ビッグデータはこれからどんどん発展していく話題の技術ですが、こういう影の便利屋さんがいてくれるからこそ、誰でも便利に使えるようになるのです。

 

さて、皆様のご理解は深まったでしょうか?

 

【執筆:編集Gp 星野 美緒】

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