国内ストレージシステム市場システムタイプ別予測-IDC

IDC Japanは、国内エンタープライズストレージシステム市場のシステムタイプ別予測を発表。

IDCではシステムタイプを「SoR(Systems of Record)」「SoE(Systems of Engagement)」「SoI(Systems of Insight)」「システム基盤プラットフォーム」「機器/装置制御システム」の5つに分類し、5つのセグメントのうち、「SoR」と、「SoE」および「SoI」を合算した「SoE/SoI」、および「システム基盤プラットフォーム」と「機器/装置制御システム」を合算した「Other」の3つのカテゴリーについて、エンタープライズストレージシステム市場の予測値を提供している。(システムタイプの詳細は注記を参照のこと)
また、今回発表した国内エンタープライズストレージシステムのシステムタイプ別市場は、サーバー内蔵型ストレージなどサーバーとの間でダブルカウントが発生するストレージを除いた、外付型エンタープライズストレージシステムとODM DirectのStorage Expansion(増設装置)を対象としている。

 

国内エンタープライズストレージシステム市場 システムタイプ別支出額予測(2018年~2023年)

Source: IDC Japan, 7/2019

今回のシステムタイプ別予測の対象となった国内エンタープライズストレージシステムの2018年の国内市場の支出総額は、前年比4.2%増の1,808億6,100万円であった。システムタイプ別に支出額を見ると、SoRが前年比1.6%減の869億8,500万円、SoE/SoIが同13.9%増の270億2,900万円、Otherが同8.9%増の668億4,800万円という結果に。また、今回の予測対象となった市場全体の支出額は2023年で1,779億1,900万円と予測され、2018年~2023年の5年間における年間平均成長率(CAGR:Compound Average Growth Rate)はマイナス0.3%と予測している。
システムタイプ別の2023年の規模は、SoRが891億4,700万円でCAGRは0.5%、SoE/SoIが314億8,100万円で同3.1%、Otherが572億9,100万円でマイナス3.0%と予測する。SoE/SoIについては比較的高い成長を続け、これが市場全体を下支えすると見ている。

おさらいになるが、SoRは主にビジネストランザクションの記録に関わるシステム、SoEは顧客エンゲージメントを強化するためのシステム、SoIはデータの分析を通してインサイトを得るためのシステムである。
国内エンタープライズストレージシステム市場では、SoRに比べて、SoE/SoIのクラウド化(パブリッククラウド、プライベートクラウド)が進む見込みである。これは、SoE/SoIでは、クラウドが持つ俊敏性、柔軟性、拡張性などの特徴がより強く求められるためと考える。
IDCでは2023年における国内エンタープライズストレージシステムのクラウド比率は、SoR向けでは22.4%に留まるが、SoE/SoI向けでは41.4%に達すると予測している。特にSoE向けでは、俊敏性、柔軟性、拡張性に対する要求が高く、市場では外付型エンタープライズストレージシステムとx86サーバーをベースとしたSoftware-Defined Storage(SDS)との競合が激しくなるとみている。また、SoI向けでは、アナリティクス処理を支援するため高パフォーマンス、低レイテンシー、広帯域といった特徴を持ったストレージインフラ(NVMe over FabricなどのNVMe技術を採用したオールフラッシュアレイなど)に対するニーズが高まると考えている。

IDC Japanのエンタープライズインフラストラクチャ グループディレクターである森山正秋氏は「予測期間を通しSDSが国内外付型エンタープライズストレージシステムに与える影響は大きくなる。外付型エンタープライズストレージシステムにとっては成長機会が高いプライベートクラウドの分野でSDSと差別化し、ビジネス機会を獲得し続ける製品戦略と販売戦略が求められている」と分析している。

 

<注記:システムタイプについて>

  • SoR(Systems of Record):法人や個人事業主の事業活動(商取引)や公的機関における公的サービス提供活動の記録や処理を行うシステムである。
  • SoE(Systems of Engagement):エンゲージメントには外部エンゲージメントと内部エンゲージメントがある。外部エンゲージメントは主に顧客および取引先との関係性である。内部エンゲージメントは社員や従業員との関係性である。ここでは顧客エンゲージメントに関わるシステムのみをSoEとして扱う。
  • SoI(Systems of Insight):収集したさまざまなデータの分析を通して、洞察(インサイト)を得るためのシステムである。
  • システム基盤プラットフォーム(SIP:System Infrastructure Platform):システムを安全かつ安定的に連携して運用するためのシステムや、コミュニケーションや共通ファンクションを提供するためのシステムである。なお、科学技術計算やアプリケーション開発などの用途も本システムタイプに含める。
  • 機器/装置制御システム(A/DCS:Apparatus/Device Control Systems):医療機器、キオスク端末、ビルファシリティ管理、自動倉庫システム、ファクトリーオートメーションにおける産業用ロボットや工作機械などの制御を主目的とするシステムである。

本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ45344919

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