【日経XTECH EXPO 2018】番外編レポート:気になったブース特集

今週は日経XTECH EXPO 2018、来週はJapan IT WeekとIT関係の展示会が続くこの時期、まずは日経XTECH EXPO 2018にお邪魔してきました。
しかしながら、今回は番外編レポート「(勝手に)気になったブース特集」です。真面目なレポートについては明日以降にお届け致しますが、これから見学に行く方が興味を持っていただければと思います。公認ライターでは記事化されにくいと思われる製品やサービスをご紹介できたら幸いです。

 

手が届くIoTの実現

MVNO事業者の出展はあまり多くないが、SORACOMは出展。「SORACOMならすぐに始められるIoTプロトタイピング」と題し、様々なツールの提供を行っていることに目がとまった。


中でも注目すべきは「SORACOM IoT Button powerd by AWS」。最新の省電力通信LTE-Mを搭載し、「AWS IoT 1-Click」に対応したボタン型デバイスだ。一見すると”アマゾンダッシュボタン”のようないでたちであるが、eSIM内蔵によりセルラー回線を通じて信号が送られる。単4電池駆動というのもありがたい。
ボタンクリックした際のアクションは、予め用意されているLambda関数(SMS送信、Eメール送信)をプルダウンで選択できるほか、任意のLambda関数 (Node.js、Java、C#、Go および Pythonで記述可能)を設定でき、Webサービス構築ができればハードのことは一切気にせずサービス設計ができる。
セルラー網のエリア規模で自作サービスが割と簡単に作れることは、これまでにないメリットである。

社内の事案で「これが簡単にできたら…」と思うこともあるのではないだろうか? そんな時にサクッと自前で作ってみることができる環境が用意されたことはとても価値が高い。 それに加え、料金体系もリーズナブルであり、「まずはやってみる」には最適な環境である。

これまで、LoRaWANやSigfoxなどの超低消費電力通信の事業展開に注目が集まっていましたが、LoRaWANもアンライセンスバンドで自由に使える仕組みとはいえ、そのシステム構築にはそれなりにノウハウが必要であり、基地局設置などを考えるとお手軽に始めるというにはほど遠いものでした。その意味でも、広く一般が使うにはキャリアサービスであることの重要性を改めて実感しました。

プレスリリース

 

データ管理に希望の「光」!?

ソニーも出展していたが、光記録メディアだけに絞って、こぢんまりと出展。しかし、”100年保存”データ管理ソリューションは興味深いものが。

皆さんはハリウッドの「デジタルジレンマ」をご存じでしょうか? 米国の映画芸術科学アカデミーが述べたもので、その報告書によれば、「映画はデジタル方式で同等の画質の映像データをストレージに記録・保存すると、従来のアナログ方式である35mmフィルムで保存する方法に比べて格段にコストが高くつく。また、デジタル方式での保存性に関しての保証は確立されておらず、かつメディアの故障などでマスターデータが消失すれば取り戻しが非常に困難(高コスト)になるという危険性もはらんでいる。CD、DVD、ハードディスクなどの寿命は5年から20年程度といわれている。フラッシュメモリは製品仕様上、長期保管を想定していない。デジタル技術の革新の速度は速く、フロッピーディスクに保存したデータがCDやDVDの全盛期となって以降は読めなくなることが多いのと同様に、CDやDVDもいつかは新しいメディアに取って代わられるため、その都度新しいメディアにコピーを繰り返す必要が生じ、結果的にアナログ方式よりも格段にコストがかかってしまう。」というもの。

要するに、映像を保存する為のサーバー(またはデータセンター)のHDDは寿命がくるので交換しないといけないが、HD、4K、8Kと映像ソースのデータ容量は拡大傾向にあり、且つ、今後制作される映画の数を考えると、映像を保管しておく為のHDD交換が追いつかなくなるということです。

ご存じのようにHDDは、動かさなくても、動かしっぱなしでも壊れるというデリケートなもの。 現在もこれに変わる長期保存メディアの開発に各社がしのぎを削っていますが、長期間の保存を意識すればするほどテクノロジーは2000年以上も前のロゼッタストーンに近づいてしまい、現代のデータ社会を記録するデバイスとしては役不足な状況です。 そんな状況に一縷の望みとなるかも知れないのが、オプティカルディスク・アーカイブです。

光記録メディアと言えば、DVDやBlu-rayを思い浮かべることでしょう。原理として、大きな違いはありません。しかしながら、この「第2世代オプティカルディスク・アーカイブ」は、ディスク1枚では300GBの記録容量があります。 但し、これもHDDの容量と比べると、ディスク1枚の容量では勝負になりません。

そこでソニーは、板ガムのように1カートリッジにディスクを11枚収納。これにより1カートリッジで3.3TBの記録容量を実現し、HDDに肉薄しています。

しかしながら、一般的に光ディスクはHDDに比較してRead/Writeが遅いというのが常識。このマイナス面も解消すべく、8チャンネル光学ドライブを搭載し、8個のレーザーヘッドがディスク両面を同時に読み書きするという、恐るべきアプローチでHDDレベルまで改善しているとのこと。

ディスクの保存寿命が100年であることを考えると、データ保管のTCO(Total Cost of Ownership)は、かなり削減できると思われます。

総クラウド時代に向かいつつありますが、なんでもかんでもクラウドではなく、データの役割に応じた保管場所ということがあってもよいのではないでしょうか?

クラウドに保管するまでもないコールドストレージの選択肢としては、とても魅力的です。

オプティカルディスクアーカイブ

 

お代は削減した費用の中から頂戴します

データサービス事業なども手がけるTOKAIコミュニケーションズ。サーバールーム向けのコスト削減ソリューションを展示していた。

一般論として、コスト削減ソリューションを導入するには、何かしらのシステムを導入する必要がある。そして、そのシステム導入には、当然ながら前もって費用が発生する。

しかしながら、Tokaiコミュニケーションズが提案する「Smart Facility Manager」は、投資不要のサブスクリプションモデルである。 導入した結果のコスト削減額からシステム利用料を支払えることになる。 やはり持ち出しがないのは、導入のきっかけとしては、とても大きいのではないだろうか。


このシステムではAIを使い、空調電力を削減するだけでなく管理工数も削減できるという。「電気代削減分はシステム利用料、管理工数削減分は利益に」などと説明できれば、経営層の理解も早いかもしれない。

まだサーバールームやマシンルームなどの名前のついた部屋が社内にある会社さんは、一度問い合わせてはどうだろうか。

Smart Facility Manager

 

DaaS再燃の兆し?

Thin client、VDIなど、この10年ほどで2度、DaaSが盛り上がったと記憶しています。 しかしながら、先日、Microsoftがクラウドの仮想デスクトップ環境「Windows Virtual Desktop」(WVD)を年次イベント「Ignite 2018」で発表するなど、ここに来て再燃しつつあるように感じます。

これまでWindowsの仮想デスクトップは、Citrix Systemsなどのパートナーが提供していたものの、Microsoft自身が提供する“純正”のサービスは初めてであること、また5Gの到来、世の中の動向(働き方改革、リモートワーク、セキュリティ対策の一環など)を考えると改めてDaaSが普及する可能性は大いにあるのではないでしょうか?

今回の展示会でもいくつかの企業からDaaSソリューションの提案がされていました。

<詳細は記事本編をご覧下さい。>

 

 

ここまでいるのか、AIクレームチェックカー

少し脱線してしまうかもしれませんが、個人的に興味をひかれたのが「AIクレームチェッカー」。

このサービス、先方からのメールの文脈をAIが判定し、その度合いによっては上司にアラートが飛ぶというもの。

個人的にはクレームにならないように未然に防ぐのが筋かと思ったりもするのですが、「クレームの前兆はメールにあり」とのことらしく、起きてしまったことの被害を最小限に食い止めようというアプローチ。 しかしながら、導入効果は実績を上げているようで、”時代”を感じました。

今後、送信前の文面チェックもしてもらえたら、上司の負担はかなり減るかも知れません。

→AIクレームチェッカー

 

おまけ

NTTネオメイトにはナースがいます。 見学に疲れたら癒やしてもらいましょう。

 

さて、いつもの展示会レポートとは異なる主旨の番外編からお届けしてしまいましたが、明日からの展示会レポートもお楽しみに!

 

【執筆:編集Gp 原田 健司】

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