Windows10時代のPC調達術~「ライフサイクル」を意識して賢くPCを使う~3
PCの「ライフサイクル」を意識したPCの導入について解説する「Windows10時代のPC調達術」。今回からはPCを実際に調達する方法について2回にわたって解説していきます。まず前編ではPCを「買う」という導入方法について考えます。(構成・文:三好裕紀<Yu-Factory>)
この記事の目次
第3回 PC導入【前編】「買う」なら、どの方法が最適なのか?
あまりおすすめできない、家電量販店での業務用PC購入
みなさんの会社では、どこで業務用のPCを買っていますか?
小規模な企業では、家電量販店の店頭で購入しているという会社もあると思います。大型の家電量販店では、確かに、PCの種類も豊富で値段も比較的安価に売られています。また、在庫があればすぐ持って帰ることができるのも魅力でしょう。
しかし、業務用のPCを家電量販店で購入するのは、あまりおすすめできる方法ではありません。これには3つの理由があります。
第一は、「購入できる機種(モデル)が業務用には適していない」という点です。
家電量販店で売られているのは、基本的には家庭用(個人用)の機種です。そのため、インストールされているOS(基本ソフト)は、基本的には個人用のWindowsの「HOME」版になります。業務用に最適な「PRO」版をインストールしたPCが売られている店はごく一部です。
また、家庭用PCは業務では不要なソフトや機能が搭載されているため、それが業務でPCを使う上で支障をきたす原因になることもあります。
第二に「保証とサポートが十分ではない」という点です。家庭用PCの保証はメーカー保証(一般的に1年間)のみです。最近は量販店独自の延長保証もありますが、基本的には家庭での使用を念頭においているため、業務用PCの保証やサポートに十分とはいえません。
第三は「支払い方法」です。家電量販店での購入は、基本的に現金か、カード払いのみです。請求書払い(掛け売り)はできません。もし社員が買うとなると、仮払いや立て替えなどが必要になり、経理上あまり好ましくない支払い方法になります。
業務用PCを調達する3つのルート
では、どのような方法で業務用PCを購入すればよいのでしょうか?
主な購入方法は3つあります。1つは「家電量販店の法人営業窓口」、もう1つは「OA機器ディーラー」、最後は「メーカー直販(ネット販売)」です。ただし、それぞれにメリット・デメリットがあります。この点を考慮して自社のニーズやスタイルに合った購入方法を選ぶとよいでしょう。具体的に解説していきます。
請求書払いもできる家電量販の法人窓口、手厚いサポートが魅力のOA機器ディーラー
まずは、家電量販店の法人営業窓口です。
意外と知られていませんが、家電量販店では法人営業窓口を用意している店舗が増えています。ここであれば、WindowsのPRO版をインストールした業務用モデルを購入することもできます。また、請求書支払い(掛け売り)も可能です。
次に複合機などを扱うOA機器のディーラーです。
OA機器ディーラーは、中堅・中小企業にとって身近な存在ですが「コピー屋さん」という意識が強くて、PCを購入するルートと認識している企業は多くありません。
実は、OA機器ディーラーは、近年のペーパレース化の動きを背景に、IT系のサービスにかなり力を入れています。PCの販売をはじめ、ネットワークやサーバーなどのハードウエアやクラウド、ITサポートなどのサービスを充実させている会社は少なくありません。
このような会社ではIT専任のセールスエンジニアがたくさんいるため、サポートが手厚く、PCなどにあまり詳しくない社内のIT担当者が気軽に相談できるのがメリットです。
PCメーカーもOA機器ディーラー経由の販売ルートをかなり重視して力を入れており、導入するPCの台数などによっては、ディーラー経由で買うと割引などで家電量販店やメーカー直販も安く購入できるケースもあるのです。また、期末・年度末は特別価格で販売することもあります。
一方、デメリットとしては、家電量販手もOA機器ディーラーも発注から導入までの期間が長くなる点が挙げられます。もし、この2つの購入方法を考えるのであれば、まずは家電量販店ならば実際の窓口で、OA機器ディーラーであれば取引のある会社の担当営業に相談するのがよいでしょう。
ITに詳しい担当者がいれば使いやすいメーカー直販
PCメーカーがWebで販売するインターネット直販は、オンラインで簡単に購入できるのが最大のメリットです。社内にPCやITに精通した担当者がいれば、見積もりも発注もすぐにできます。また、法人登録をしておけば掛け払いも可能です。
一方で、PCメーカーの直販は、これまで購入や保守などのサポート面でサービスが十分ではないというイメージがありました。しかし、最近では中堅・中小規模の企業への販売にも力を入れていることもあり、さまざまなサービスを提供しています。
具体的には、購入では導入前の相談やコンサルティングがあります。また、PCの出荷工場でユーザーに必要な業務アプリケーションのインストールや資産ラベル貼りなどを行う「キッティング」もある程度の台数を購入すれば行ってくれます。保守面では一定の費用を払えばオンサイト(出張)修理も提供。そのため、うまく活用すれば、社内担当者の業務負担を減らすことも可能になります。
デメリットとしては、購入前・後のサポートやサービスの提供がメーカーによってバラツキがあることです。そのため、メーカー直販での購入を検討する場合は、どのようなサポートサービスがあるかをよく調べる必要があります。
ライフサイクルを意識すれば「リユース(中古)PC」という選択肢も
ここまでは新品購入の話をしてきましたが、ライフサイクルをしっかり見据えた上であれば、「リユース(中古)」のPC購入も選択肢として考えられます。
リユースPCは、新品と比べ価格がリーズナブルなことをはじめ、短期的の用途や一時的に台数が必要というニーズに応えることができるのが利点です。
ほかにも、例えば、OSがWindows7でWindows10に対応していない社内の業務システムのPCが古くなり、入れ替える必要がある場合、業務システムが使えるWindows7のリユースPCを導入し、その後、新しいPCに入れ替えるというような使い方もできます。
この時に注意したいのが、リユースPCの「品質」です。しっかり整備されていないリユースPCは、リカバリーができなかったり、正規ライセンスではないWindowsがインストールされていたりすることがあります。
そのリスクを回避するための1つの方法が、「MAR(Microsoft Authorized Refurbisher)プログラム」が適用されたPCの購入です。
MARは、マイクロソフトがリユースPCの適切な整備を行っている事業者を認定するプログラムです。このプログラムに参加する事業者が販売するリユースPCは、マイクロソフトが規定する基準を満たしているという証明になり、安心して使うことができます。
プログラムが適用されているPCは、PCの製造メーカーと再生PC事業者の2枚の認証ラベルが貼られており、このラベルで確認ができます。
今回はPC導入で「購入」という調達方法を紹介しました。一方、調達にはもう1つ、リース、レンタルといった「借りる」という方法もあります。そこで、後編では「PCを借りる」という調達法を解説します。