使える! 情シス三段用語辞典47「VTL(仮想テープライブラリ)」
常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。本用語辞典では数々のIT用語を三段階で説明します。
一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
一段目 ITの知識がある人向け 「VTL」の意味
企業のデータバックアップでは磁気テープを使用することが、これまで一般的だったが、時間がかかるという難点があった。また、最近ではデータのサイズが巨大化するにつれ、テープでは実情に合わなくなってきた。そこで、書き込みスピードが早いハードディスク(HDD)上に仮想のテープドライブを作り、そこにバックアップを行う方法が普及してきた。これを「VTL」という。
一方で、テープは、災害対策のため遠隔地に保管しておけるなど、利点はまだ多い。そのため、テープドライブとVTLを併用する企業も少なくない。この場合、VTLにデータバックアップを行い、必要に応じて物理的なテープにバックアップを移す。この方法では、システム全体の負荷を下げる効果が見込まれている。
二段目 ITが苦手な経営者向け
社長の会社では、情報システム担当や情シス部門が定期的にデータのバックアップを取っていることはご存じですよね。そのバックアップは、これまでは磁気テープを使って長時間かけて作業を行ってきました。しかし、最近は、扱うデータがものすごく増えてきたので、テープでは容量的に厳しい場合も出てきています。
そこで今、その課題を解決する「VTL」(仮想テープライブラリ)という方法を活用している企業が増えています。これは、ハードディスク(HDD)でバックアップを取る方法です。
VTLは、テープでバックアップを取る場合と使い勝手と作業は同じです。メリットはHDDなので、テープより短い時間でバックアップができる点です。いったんVTLでバックアップをとったあと、手の空いた時に、時間をかけてVTLからテープに移す方法もあります。この方法だとシステム全体に負荷がかかりません。
ただ、テープにもいいところがあります。遠く離れた場所に大切に保管しておけば、万一本社が天災で被害を受けた時にもデータの復旧ができるからです。会社で扱うデータが爆発的に増えてきている現在、社長もバックアップ作業の効率化と、使い勝手について検討してみてもよいかもしれませんね。
三段目 小学生向け
会社は大事なデータ(情報)をたくさん持っています。お金のやり取りや取引先のリスト、毎日やり取りしているメールなど、会社にとってなくてはならないのがデータなのです。
このデータは会社の「サーバー」という場所に保管されています。サーバーはコンピューターの親玉みたいなものと考えてください。もしサーバーが壊れたり、地震や火災で使えなくなったり、悪い人たちがコンピューターウイルスというものでデータをむちゃくちゃにしたら、会社は仕事を続けられません。だから、会社は大事なデータを、まるまる保存します。これを「バックアップ」といいます。バックアップは会社のコンピューターの面倒を見る人が、毎日時間をかけて行っています。
では、データは何に保存するのでしょう? いろいろな方法がありますが、そのひとつにみなさんがあまりなじみのない「磁気テープ」というものがあります。テープは大量のデータを保存できる上、持ち運びや保管も便利なところが利点です。以前は、これが主流でした。
ところが、最近では仕事に使うデータの量が、とんでもなく大きなものになってしまっています。そのため、テープにバックアップでは、ものすごい時間がかかってしまうのです。そこで、「ハードディスク」といって、速いスピードで記憶できる装置に、テープのような使い勝手でバックアップができる仕組みが考え出されました。
これを「VTL(仮想テープライブラリ)」といいます。VTLは、テープより早くバックアップができるので、作業時間が短くてすみます。そして、時間がある時に、テープにデータをまるまる移すこともできるのです。このテープは離れた場所にある倉庫に運ばれ、そこで厳重に保管されます。そうすれば、会社が災害やコンピューターウイルスの被害にあった時でも、データは無事なのです。