情シスと何かと縁が深い電子機器ですが、実は回り回って遠いアフリカの大地で深刻な環境破壊を引き起こしていると聞いたらどう思いますか?
- 2016/4/4
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E-wasteとは?
「E-waste(イーウェイスト)問題」って知っていますか? Eは「Electronics」の略で、Electronics Waste、つまり「電気電子機器の廃棄物」のことを指します。
PCやプリンタ、携帯電話……と、情シスと何かと縁が深い電子機器ですが、実は回り回って遠いアフリカの大地で深刻な環境破壊を引き起こしていると聞いたらどう思いますか? E-waste問題というのは、まさにこんな信じられない状況が現実に起こっているという問題なのです。
2013年時点の世界におけるE-wasteの総量は5億7700万トン(※1)に及び、これは、高さ300mの日本一高いビル「あべのハルカス」約2000棟分(※2)に当たります。さらに、国連環境計画(UNEP)によると、毎年世界で約4000~5000万トンものE-wasteが新たに廃棄され、そのうち適正に処理・リサイクルされたのはたった1割程度という報告があります。
では、残りの9割近くのE-wasteはどうなっているのか? 中国や東南アジア、そして最終的にアフリカに行きつき、不法投棄あるいは不適正な処理が為され、深刻な環境汚染を引き起こしているのです。
どういうルートで廃棄されたPCがアフリカに行くのか?
例えば、欧州連合(EU)では、EU内から非EU加盟国に対して有害廃棄物を輸出することは禁止されていますが、廃棄物を「リユース目的の中古品=リユース品」と偽って国外に輸送する例が後を絶たず、問題になっています。
日本も同様で、まず「リユース品」として中国や東南アジアに輸出されます。しかし、これら「リユース品」の中には、実際にはもう使い物にならない、廃棄物とほぼ同義の製品も多く含まれています。一部の中古品はそのままリユースされますが、その他の使い物にならない「≒廃棄物」は、一部の有用な部品や貴金属、レアメタルなどが原始的な方法で抜き取られた後、最後は山や川に投棄されているのです。しかし、最近はアジア各国で規制が強化されつつあるため、規制がまだ緩いアフリカ諸国に流されているというわけなのです。
規制をかけることの難しさ
実際問題、有価物としての「リユース品」と、モノとしての価値がない「廃棄物」との線引きは、厳密にやろうとしてもなかなか難しいという事情があります。
特にPCやスマートフォンなどのハイテク商品はそうです。これらは技術革新による製品サイクルが短いため、「故障して使えなくなったから廃棄する」ケースよりも、「製品としてはまだ使えるが、技術が陳腐化したため買い替える」ケースの方が圧倒的に多いのです。この「技術が陳腐化した製品」を、「リユース品」と定義するか、「廃棄物」として定義するかは簡単には判断できず、この問題の解決を一層困難なものにさせています。
有害廃棄物の国外越境を規制する国際的枠組みとして「バーゼル条約」があります。しかし、現状は、一定の歯止めにはなっているものの、前出の通り「廃棄物をリユース品扱いにして輸出する」という抜け道があるため、完全に有効に機能しているとは言い難い状況です。
そのため、昨今はEUを始めとした先進各国で、E-waste問題を解決するための議論が盛んに行われてきており、近い将来、バーゼル条約を更に発展させた国際的な規制が策定されるものと思われます。
今、私たちにできることは?
ほとんどの会社では、PCやプリンタなどの電子機器類を廃棄する際には、産廃業者やリサイクル業者に依頼して回収してもらっていると思います。そこで、その業者が本当に信頼できる業者なのか、以下の項目で今一度チェックするようにしてみてください。
【信頼できる業者の見極め方・基本編】
(1)ホームページ等で情報公開しているか確認する
(2)ISO14001やプライバシーマーク等の公的認証を取得しているか確認する
(3)回収した後の再販/処理プロセスを明確に説明できるか確認する
(4)可能な限り、その業者の工場や倉庫を見学する
※1Allied Market Research, ”Global E-Waste Management Market-Size Industry Analysis, Trends, Opportunities, Growth and Forecast, 2013-2020” より
※2 あべのハルカスビルの総重量は28.5万トン
※文中の画像は全て、イギリスAssociated Newspapers社のサイトより出典
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