仕事の効率化とメンタルヘルスの管理 第3回 「管理職として部下の仕事の効率化とメンタルヘルスを管理する方法」
今回は管理職視点で前半に技術的な手法を1つ、後半ではマインドに焦点を当てた手法をいくつかご紹介します。
まずは上司と部下の間のズレを直すことから始めましょう
部下の仕事を管理する時大事なのは「納期」と「品質」です。ここが守れていない人は往々にしてタスクのプライオリティがつけられていなかったり、上司の考えとズレが生じています。そこでまず週報では時間単位で書いてもらうようにします。書く方も見る方もかなり面倒ですが1カ月もすればみんな慣れてきますし、webプログラミングができる人がいれば簡単な週報入力サイトを作ってもらうといいでしょう。そこには「月曜日 9:00~10:00 メールチェック、返信」「月曜日 10:00~11:00 設計書作成」など1時間単位でその日こなした業務内容を簡潔に記載してもらいます。これによって上司とのプライオリティのズレを確認し、また本人にも「効率的に仕事ができているか」セルフチェックを促すことができます。
本人に気付いてもらえる手助けをしましょう
次にメンタル部分についてです。「モチベーションリーダー」という言葉が以前流行りましたが、それほど今の日本ではメンタルケアが管理職に求められているのだと思います。
まずは管理職の心得について。
一つは「否定しない」ということ。部下に限らず仕事仲間がなにか提案したり意見を出してくれた時に「それは違う」と思っても絶対に否定しないということです。そう心がけることで険悪なムードにならないコミュニケーションが自然とできるようになります。
そして「叱ってもいいけど怒ってはいけない」と強く心に刻んでおきます。注意する、叱るというのは部下が躍進するためにも必要です。しかしそこに感情が入った「怒る」という行為はなにも産みません。部下に注意をしようとした時一度深呼吸して「これから言おうとしていることは事実か、それとも自分の感情か」を一度自問してみるといいでしょう。
手法としては「MBO(Management By Objectives):目標管理」をお勧めします。テンプレートを作り、チームメンバーに3カ月に一度目標を記載してもらいます。そして1カ月ごとに自己レビューを記載してもらい、面談します。
この時スターバックスの手法がとても参考になります。スターバックスでも同様の面談を頻繁にしているそうですが、その際思い違いしている部下がいたとしても上司は答えを提示せず、「どうしてそうなると思う?」と誘導尋問して本人に気付いてもらうようにするのです。時間はかかりますが、上司から答えを出すのではなく、本人が考えることで、その後の仕事の取り組み方が変わってくるのです。
社員間のコミュニケーションを活発にできる方法を教えます
次にこれも米国のある企業の例ですが、「サンクスレター」というイベントがあります。
これは同じ部署の自分以外の人にあてて「~についてありがとう」を可能な限り書いてもらうのです。それを上司であるあなたが集めます。メールで書いてもらうのがいいでしょう。そして会議などでサンクスレターとして印刷したものを本人に渡します。ただし、この時誰が書いたのかは伏せます。もらった人は誰が書いたか分からないけど、ずらずらっと自分に対する感謝の言葉を見て、「え、そんなことで」と驚きます。試してみると実感しますが、次の日から部署の雰囲気が一変します。
最後にもう一つ。定期的な飲み会を開催しましょう。私は「OOO(トリプルオー、Out Of Officeの略)」と称して月に一度開催しています。これには条件をつけていて「飲み会だけど仕事の話を7割、それ以外を3割にする」「仕事で今取り組んでいるものを1つ、全員が発表する」としています。飲み会を嫌う若い人が多くて言い出せないという管理職の方も多いと思いますが、意外と喜んで飲み会に参加してくれますよ。仕事に対する情熱をどう見せるか、そこが大事です。