いまさら聞けない【情シス知識】INTERNETの仕組み
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インターネットというインフラ
もはや私たちはインターネットがないと生きていけないのでしょうか?――いいえ、そんなわけはありません。最近は「オフグリッド」という言葉も登場していますが、ご存じでしょうか? 私たちは電力に限らず、ガスや水道、もちろんインターネット等、様々なインフラに依存して暮らしていますが、そこから離脱することをめざす活動のことです。
少し話がそれてしまいましたが、水や電気と違い、インターネットが無くても人間の生命の維持は可能といえます。
しかしながら、それはかなり極端な話。
今や誰しも手のひらの中にインターネットがあり、社会の情報を得る手段として、また買い物や各種支払い手段、他者とのコミュニケーションツールとして、2020年の社会生活を送るためにはなくてはならないものとなっています。
そして企業活動もWebシステムやインターネットを介したコミュニケーションに支えられており、業務を行うためにはインターネットは欠かせません。政府だって政府共通プラットフォームにAWSを採用するなど、今後、社会はますますITによって利便性を発展させていくことでしょう。
既にインターネットは、私たちの社会に“なくてはならない”重要なインフラなのです。
でも、あなたはこうしたインターネットがどのような仕組みで機能しているのか知っていますか? また、インターネットがどういう歴史をたどってきたのかご存知でしょうか。
もはやインターネットなしの生活は考えられなくなってしまった現代の若者たちへ。今回はインターネットの基本的な仕組みを見つめてみましょう。
インターネットの仕組み
今や、インターネットは利用者は意識しなくても使えるものになっています。(意識するのはパケット代が超えそうになった時くらいでしょうか?)
生まれた時からインターネットが存在する人にとっては、当たり前すぎて気が付くことさえなかったかもしれませんが、でもこの通信ってどうつながっているの? 世界中のWebサイトにアクセスできるのはなぜ? 当たり前だと思っていたインターネットの仕組みを見ていくことにしましょう。
そもそもインターネットとは
そもそも私たちが漠然と使っているインターネットとは何なのでしょうか?
もともと“inter”とは中間や間、相互といった意味を持っています。語源的にはネットワークとネットワークをつなぐものが、 すなわちインターネットであると定義することができます。 internetとは、「LANとLANをつないだもの」を指しますが、今や世界中のコンピュータと情報をやり取りする、巨大なネットワーク網となっています。
インターネットは小さなネットワークの集合体
まず、パソコン(スマホでもよいです)が1台あったとします。これだけでは、そのパソコン端末に入っているデータしか見ることができません。けれど、端末同士を通信ケーブルでつないだら、別の端末に入っている情報も見ることができるようになります。これは一番小さいネットワークといえます。
もっとたくさんのパソコンをつなげればさらに得られるデータが増えるのですが、そんなに大量のパソコン同士をケーブルで直接つなげるのは無理があります。
そこで、複数のパソコン・サーバーをつなげることのできる「スイッチ」や「ルーター」といったネットワーク機器を介するネットワークができました。
そしてこのネットワークが複数つながり合うことで、さらにネットワークの範囲を広げることができるのです。
このように小規模なネットワークを世界中からたくさん集めて一つにつないだものが、インターネットという存在なのです。
そうはいっても、たくさんのパソコンがつながっていたら、例えばこんなことはどうなるのでしょうか。
・そもそも世界中なんてそんな遠くまでどうやってつないでいるの?
・見たい情報がどの端末に入っているのかわからない
そんな疑問も仕組みを知れば解決です。もう少し詳しく見ていくことにしましょう。
光回線をつなげるネットワーク機器
まず、固定回線でのインターネットについて見ていきましょう。
2020年2月現在、光回線という光ファイバーを使用した高速通信が普及しています。こうした光ファイバーが全国にはりめぐらされており、その中をデータがあっちからこっち、こっちからあっちへと超高速で走っているというわけなのです。
といっても、中身は先述のように小規模なネットワークを集めたものなのです。
「ルーター」と呼ばれるネットワーク機器で小さなネットワーク同士をつなぎます。ルーターはデータ通信の交通整理をする役割をしています。インターネット通信のデータは、あるパソコンから目的のパソコンへと数々のルーターを通ってやってきます。
インターネットを使うときはインターネットプロバイダと契約をしますよね。光回線の契約をしたら「ONU(光回線終端装置、「モデム」と言われることもある)」というネットワーク機器を設置します。このONUにより、光ファイバーの中を通ってくる光のデータをパソコンで読める形に変換しています。
こうして、インターネットからモデム、ルーターを介してやってきたデータがあなたのパソコン端末にようやく届くというわけなのです。
そして、モバイル通信でのインターネットにおいては、ルーターの代わりに通信会社の基地局を使い、そこからデータが送受信されます。故に基地局が遠い(電波が弱くて通信ができない)、または電波が遮断されている場所ではインターネットは使えません。空間を飛ぶ携帯電話の電波を使ってデータが送られているのです。この通信は2020年現在LTEと呼ばれる方式が主流で、4G(第4世代移動通信方式)とも呼ばれていますが、日本でも2020年春から5Gの商用サービスがスタートし、より高速なワイヤレス環境が使えるようになります。
IPアドレスが端末の住所、URLはデータの住所
では次に、どうやって見たい情報の場所を特定しているのかというと、それはIPアドレスとURLの役割になります。
IPアドレスは、インターネットにつながっている膨大な量の端末を一意に特定する番号です。そのため、IPアドレスがわかればその端末に行き着くことができます。
ただIPアドレスはただの数字の列なので覚えにくくわかりづらいため、実際のURLでは意味のある文字列に置き換えた「ドメイン」を使います。
そして、ドメイン情報をIPアドレスに変換してくれるのが「DNSサーバー」と呼ばれるサーバーです。世界中に、こうした“IPアドレスがどのドメインに対応しているか”の情報を持ったDNSサーバーが多数存在します。IPアドレス(ドメイン)情報は大量なので、こちらも大量のDNSサーバーで情報を分けて持っています。
そうしてDNSサーバー同士で情報を組み合わせ、ドメインに対応する正しいIPアドレスを得ることができ、目的の端末に到達することができるのです。
(DNSの仕組みを話すと長いので、別途ご紹介する予定です)
インターネットの歴史
今ではこんなに普及しているインターネットですが、その始まりは実はたった30~40年前なのです。(バブル崩壊前に企業に入社された方々は、ソフトウェアエンジニア以外はEメールなども使っていなかったはず…)
冷戦時代の 1969 年に作られたアメリカ国防総省の軍事研究用ネットワークである ARPAnet (アーパネット) が起源であると言われています。これが次第に学術・一般研究用のネットワークと相互接続し始め、発展し、1990 年代に商用開始され、爆発的に普及しました。
日本においては、1984年に慶応義塾大学などで離れた大学間を結んだネットワークJUNETが作られ、これが国内のインターネットの走りとなります。しかしながら、このときはまだインターネットは一般の人の手が届かないものだったと言えます。
1993年、旧郵政省によってインターネットの商用利用が許可され一般に販売されるようになって、日本国内に広がっていきました。1995年には「インターネット」が流行語大賞を受賞しています。
通信速度も進化を続けている!次は5Gだ!
当初は、ダイヤルアップ接続といわれる電話回線を使ったアナログ通信(通信速度56kbps程度)でした。その後、ISDN(64kbps程度)、2000年頃からADSL(10Mbps程度)と発展していき現在はFTTH(100Mbps程度)が主流です。(固定系ブロードバンド契約におけるFTTHの占める割合は約77%)
なお、スマートフォンやタブレットで使うモバイル用の通信は現在LTEと呼ばれる第4世代通信(100Mbps程度)ですが、2020年春からは5G(第5世代移動通信システム)の大容量高速回線(10Gbps程度)が開始予定となっており、これまでになかったような新しいサービスの登場が期待されています。
まとめ
インターネットはとても手軽に利用できますが、その裏ではずいぶんとたくさんの機器を通り、長い距離をデータが移動しています。こうした技術を支えているのは、この40年ほどの間に世界中のエンジニア達が培った努力の積み重ねともいえるでしょう。
そうはいっても、インターネットはあくまでも「何かをするための道具」であり、「インフラ」です。インターネットを使ってその何かをするのは人間、つまりあなたなのです。
未来のインターネットがどうなっていくのか、それはあなたがインターネットをどう使っていくかによって、変わっていくのかもしれません。
【執筆:編集Gp 星野 美緒】