情シスリーダーのための時間管理術2 そもそも時間管理とは? タスク管理方法に正解はあるか?!
情シスリーダーの「タスクをやれる時間」は少ないもの。それだけに効率的に進めていくことが求められます。そのためにはタスクをどう計画するとベストなのか? 失敗例もふまえながら紹介していきましょう。
時間管理とは?
この連載では、情報システム部のリーダーを務める人の「時間管理」について紹介しています。今回は2回目です。前回は、「時間」の観点では私たちの仕事は3つのタイプ(アポイントメント、タスク、予定外の仕事)に分けられるという話、そして「タスクをやれる時間」は、自分が思っているよりも少ないという話をしました。
「タスクをやれる時間」が思ったよりも少ないのであれば、タスクを抱え込みすぎないようにすべきだし、やると決めたタスクは効率よく実行していきたい。そのための一連の手法が「時間管理」です。でも……、そもそも「時間管理」って、何をすることでしょうか?
たとえば、いわゆる「労働時間管理」について、あれこれ言われているリーダーも多いと思います。「残業が長すぎるので削減しなければいけない」といった話です。これも確かに「時間管理」ではあるものの、結果としての労働時間を管理しているにすぎません。この連載で取り上げる「時間管理」はそういうことではなく、時間の使い方そのものを改善していくものです。
もっと具体的に言えば、時間管理とは、自分の時間の使い方を「計画し」「実行し」「ふり返る」ことを指します。アポイントメントとタスクの計画を立て、予定外の仕事に対応しながら計画を実行する。ときには実績をふり返って次の計画に役立てる。そんな流れです。
そのなかで、アポイントメントはいわゆる「スケジュール管理」として、誰もが管理しています。スケジュール管理にも多少のコツや注意点はあるものの、それほど難しくはありません。一方で、タスクの管理には難しさがあり、うまくできていないと訴える人がとても多いです。
「スケジュール管理」を「時間管理」に進化させるためには、このタスクをうまく管理していくことが必要です。
タスクは「その都度書く」のがベスト。でも……
タスクとは、期限はあっても実行する時刻は決まっていない仕事。自分の都合で進められる、自由さのある仕事です。自由さがあるだけに難しさもあります。たとえば、期限ギリギリになってバタバタとあわててしまったり、長時間残業してなんとか間に合わせたり、そんな失敗をしたことのある人も多いと思います。
そうならないためには、まずはタスクを忘れないように書く(またはキーボードなどで入力する)ことが必要です。ただ、書き方はいろいろあります。
最も単純なのは、タスクをリストとして書き出していく方法です。タスクを書き出したものは「To Doリスト」と呼ばれます。たとえば、古くから紹介されている時間管理には「毎朝、今日やるべきタスクを書き出す」という方法があります。私も昔やっていました。しかし、この方法を毎日やるのは大変です。タスクを思い出したり、やる順番を考えたりするのに意外と時間がかかりますし、忙しいときにはなかなかその余裕を持てません。
このようにタスクを「まとめて書く」よりももっと良い方法は、「その都度書く」ことです。タスクが出てきたらすぐ書く。また別のタスクが出たらすぐ書く。これをくり返していれば、後であらためて思い出す必要はありませんし、まとめて書くよりもかえって負担は少ないです。
私の場合、「ふせん」にタスクを書くようにしました。ふせんが手元にありさえすれば、思いついたときにすぐ書けますし、そのふせんを一ヶ所にまとめておけば、タスクを忘れる心配もありません。実際、この方法は最初はうまくいくように感じました。
しかし、それを続けていくうちに、ふせんの数はだんだん増えてきます。私は当時、パソコンのディスプレイの縁にふせんを貼っていました。液晶になる前のCRTディスプレイは枠の幅が広く、ふせんを貼るのにぴったりだったのです。そのディスプレイがふせんだらけになっていきました。
こうなると、目の前にいろんなタスクを同時に突きつけられているようで落ち着きませんし、タスクを実行しようにも、どれから手をつけたらいいものか迷ってしまいます。先のことなどわからず、ただ目の前のことをこなしている感じでした。
現在はディスプレイの形が変わったこともあり、このようにふせんを貼る人は少なくなりました。しかし、パソコンのデスクトップがふせんだらけになっているという話はよく聞きます。形は変わっても同じことをやってるわけですね。
タスクの「リアリティ」を高めることが必要
To Doリストにしろ、ふせんにしろ、ただタスクを並べるだけでは、タスク管理はなかなかうまくいきません。その大きな理由のひとつが、タスクに「リアリティ」を感じられないことです。この「リアリティ」というのは、現実に「やれる」「間に合う」「時間が足りる」という感覚や自信です。
タスクをうまく管理するには、適度なプレッシャーと同時に、「やれる」「間に合う」というリアリティを感じられることが必要です。ふせんだらけのディスプレイは「やれる」「間に合う」というリアリティがなく、それでいて「やらなきゃ」というプレッシャーは強く感じます。こんなタスク管理では嫌になってしまいますし、長続きしなくても当然です。
では、タスクのリアリティを高めるためには、どうすればいいのでしょうか?
最も簡単で、しかも効果的な方法は、タスクを書く場所を変えることです。アポイントメントを手帳で管理している人なら、手帳の各曜日の空いているスペースを使ってタスクを書くようにします。タスクを日付に関連づけて書いていくわけです。
ただし、この日付はタスクの期限ではなく、タスクを実行する日(実行できそうな日)です。仕事をする上で期限は重要なものですが、時間管理の観点では実際に行動する日(行動できそうな日)を基準に考えることが、もっと重要なのです。
たとえば、アポイントメントをMicrosoft Outlookで管理している場合は、タスクもOutlookに入力すると手軽です。タスクの「実行日」という入力項目はありませんが、「開始日」を入力すれば、その日に表示されますし、「期限」に実行日を入力しても特に差し支えはありません。
タスクを書く日付(実行日)は早ければいいというわけではありません。期限に対して余裕があること、その日の仕事量が多すぎないこと、この2つの条件を満たしていれば、いつでも構いません。もし、この2つの条件を満たす日がないのなら、それはタスクが多すぎる(時間が足りない)ことを表しています。そのタスクをあきらめるか、別のタスクやアポイントメントを削ることが必要です。
このようにタスクを実行日に書くだけで、タスクのリアリティは格段に高まります。「実際のところ、やれるの? やれないの?」がはっきりしてくるのです。「やれる」とわかれば安心できますし、「無理なものは無理」と自覚できることも重要です。はっきりと無理だとわかるからこそ、「部下に任せる」ことや「あきらめる」などの思い切った手も打てるのです。
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