よく使っているけれど知らないシリーズ|zipファイル
日常的にパソコンやスマートフォンを使っていると、「zipファイル」を何気なく利用している方も多いのではないでしょうか。しかし、具体的にzipファイルがどのようなものなのかを詳しく理解している方自体は少ないかもしれません。
今回は、そんなzipファイルについてわかりやすく解説します。
この記事の目次
1.zipファイルとは
zipファイルとは、複数のファイルやフォルダーをひとつにまとめて圧縮した形式のファイルのことです。「zip」は圧縮形式の名前であり、ファイルサイズを小さくすることが可能です。もちろん、データを圧縮した後でも、解凍することで元の状態に戻せます。例えば、数百枚の画像や大容量のデータも、zipファイルにまとめることで送受信しやすくなります。
zip形式の圧縮は、1990年代初頭に登場し、今では世界中で広く利用されています。Windows、Mac、Linuxなど、主要なOSはこの形式を標準でサポートしているため、特別なソフトウェアがなくても扱いやすいという特徴があります。また、インターネットを介してファイルを共有したり保存する際に使用されることが多いです。
ですが、zipファイルの役割は単なる圧縮だけではありません。ファイルを一つのパッケージにまとめることで、管理の手間を減らし、ファイルの転送や保存を効率的にするのが主な目的です。
2.zipファイルの利便性
zipファイルがこれほど多くの場面で利用されているのは、その利便性の高さが大きな理由です。以下に、zipファイルの主な利便性についてまとめました。
ファイルサイズを縮小できる
zipファイルを使うことで、元のファイルサイズを小さく圧縮することができます。これにより、ファイルをメールで送る場合やクラウドストレージに保存する際の容量を節約できます。例えば、500MBのファイルをzip形式で圧縮すると、半分以下のサイズになることもあります。
複数のファイルを1つにまとめられる
複数のファイルやフォルダーを一つのzipファイルにまとめることで、送信や保存時に散らかりにくくなります。例えば、プロジェクトに関連する複数の書類や画像を一つのファイルとして扱えるため、データ整理や管理が簡単になり作業効率の向上にもつながります。
クロスプラットフォーム対応
zip形式はほとんどのOSでサポートされており、WindowsやMac、Linux、さらにはスマートフォンでも解凍可能です。そのため、異なるデバイス間でのデータ共有にも便利です。
セキュリティ機能の付加
zipファイルにはパスワードを設定することも可能です。これにより、重要な情報を含むファイルを第三者に見られないようにすることができます。パスワード付きのzipファイルは、ビジネスシーンでもよく使われます。ただし、近年セキュリティに関して問題が指摘されてもいるので、各企業で遵守すべきセキュリティ規則を守れているかは確認が必要です。
3.zipファイルの安全性
zipファイルは非常に便利なツールであり、パスワードの設定も可能ではあるものの安全性に関しては注意が必要です。以下に、zipファイルを使用する際に知っておくべき安全性のポイントを解説します。
マルウェアやウイルスの隠れ場所になる可能性
zipファイルは、複数のファイルを一つにまとめることができるため、その中にウイルスやマルウェアが潜んでいるケースがあります。不審な送信元からのzipファイルを安易に開くと、感染のリスクがあります。
企業によっては、メールにマルウェアなどのウイルスが添付されている場合、自動的にウイルス対策ソフトが起動し削除してくれるから安心と考える方もいるかもしれませんが、zipファイルの場合は「ファイルがパスワードで暗号化されているため、ウイルス対策ソフトが十分に検査できない」こともあるので、セキュリティ製品の検査をすり抜けることがあるのです。
パスワード保護が万能ではない
zipファイルにパスワードを設定することで一定のセキュリティを確保できますが、専門的なパスワードの解析ツールを使えば保護が破られる可能性もあります。そのため、極秘情報のやり取りには別のセキュリティ対策を併用するなど対策を講じる必要は高いです。
解凍時に注意が必要
zipファイルを解凍する際、注意しないと誤って不必要な場所にデータを展開してしまうことがあります。これにより、大量のファイルが無秩序に広がってしまう恐れがあります。
不正アクセスへの脆弱性
zipファイルをオンラインで共有する場合、そのリンクやファイルが第三者に流出すると、ファイルの内容が悪用される可能性があります。そうならないように、必ず信頼できるプラットフォームを使用しましょう。
4.zipファイルの使い方
zipファイルの作成や解凍は簡単に行えます。以下に、基本的な操作方法を説明します。
zipファイルを作成する
Windowsの場合: 対象のファイルやフォルダーを右クリックし、「送る」→「圧縮フォルダー」を選択するだけで作成可能です。
Macの場合: 対象を右クリックし、「圧縮」を選択します。
スマートフォン: 専用のアプリ(例: WinZipやRARアプリなど)を使って圧縮できます。
zipファイルを解凍する
Windows/Mac: zipファイルをダブルクリックするだけで解凍できます。
スマートフォン: 専用アプリを使用して解凍します。
パスワードを設定する
Windows標準機能ではパスワードを設定できないため、専用の圧縮ソフト(例: 7-Zipなど)を利用します。Macや一部のスマートフォンアプリでも同様の設定が可能です。
Windowsの場合 zipファイル作成方法の画面
5.zipファイルの注意点
zipファイルを扱う際には、いくつかの注意点を押さえておくことが重要です。
大容量のzipファイルは送信が難しい
メールで送る際、ファイルサイズに制限がある場合があります。その場合は、クラウドストレージを利用するのがおすすめです。
ファイル名の日本語対応に注意
zipファイル内のファイル名に日本語を含むと、解凍後に文字化けすることがあります。できるだけ英数字を使うようにしましょう。
過信は禁物
「3.zipファイルの安全性」にも挙げたとおり、パスワード付きzipファイルでも絶対に安全とは言えません。パスワードをつけるということは、パスワードを共有しなければならないため、誤送信などの人的ミスが発生した場合、情報漏洩に繋がるリスクは避けられません。特に重要なデータを扱う場合は、別のセキュリティ対策(例: 暗号化通信やVPNの使用)を併用しましょう。
圧縮率に限界がある
すべてのデータが劇的に圧縮されるわけではありません。特に動画や画像など、すでに圧縮されている形式のデータは、圧縮効果が少ない場合があります。
OSによっては、解凍のための専用のソフトウェアが必要になる場合がある
オススメのソフトウェアは7章「番外編|オススメのフリー圧縮・解凍ソフト3選」にて紹介します。
6.まとめ
zipファイルは日常的に使われる便利なツールであり、効率的なデータ管理や共有を可能にします。ただし、安全性や使用方法に気を付けることで、さらに有効活用することができます。日頃からzipファイルを利用する方も、この機会にその基本と注意点をおさらいして、より効果的に使ってみてはいかがでしょうか。
7.番外編|オススメのフリー圧縮・解凍ソフト3選
zipファイルの圧縮・解凍のためのオススメできるソフトウェアを3つご紹介します。
WindowsとMacに関してはzip形式の圧縮・解凍には標準対応しているため、zip形式のファイルだけを使う飲みの場合には、利用する必要はありません。しかし、パスワード付きのZIPファイルを作成する必要性があったり、ZIP以外の圧縮形式(拡張子が「.lzh」や「.tar」など)のファイルを作成・解凍しなければならない際には、標準機能だけでは対応できはない場合がありますのでインストールして利用すると良いでしょう。
①7-Zip
もともとは7z形式の圧縮ファイル用でしたが、現在ではさまざまな圧縮ファイルに対応が可能となっています。
使い方は、エクスプローラの右クリックメニューが基本です。インストールすると、右クリックメニューに[7-zip]が追加されるので、選択してサブメニューから圧縮や解凍を実行してください。
②CubeICE
CubeICEは、設定が簡単で使いやすいです。インストールすると、デスクトップに3つのアイコンが作成されます(「CubeICE 圧縮」「CubeICE 解凍」「CubeICE 設定」)。CubeICEを作ったキューブ・ソフトは、Cube PDFなどのツールを多数開発・提供している会社です。情報システム初心者でも難しくなく使用できます。
③ZIPANG
Mac版の圧縮・解凍ソフトです。WindowsとMac間でzipファイルのやりとりをする際に便利な機能が備わっています。zip以外にも、7z、Tar、LZHなどの主要な圧縮形式に対応しています。設定の画面では、解凍先の指定やファイル名を解凍する際のエンコーディングもできます。
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