ニューノーマルにおけるテレワークとITサプライチェーンのセキュリティ実態調査-IPA

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)は、「ニューノーマルにおけるテレワークとITサプライチェーンのセキュリティ実態調査」の一部を中間報告として公開しているのはご存じだろうか。

2020年4月に新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言が出され、テレワークやオンライン会議など新しいワークスタイルに取り組む企業が急速に増加した。そして、また2021年1月に首都圏を中心に緊急事態宣言が発令され、今一度、出社人数70%削減が企業に求められている。
この急速なICT環境の整備は、業務継続を優先したことにより、セキュリティ対策が十分とは言えない状況になっている場合もあるのではないだろうか。

そこでIPAは、こうしたICT環境の変化について、特にITシステム・サービスの業務委託におけるセキュリティの取り決めに与える影響を調査する目的で、個人および企業へのアンケート調査を行っている。
今回、個人へのアンケート調査結果の一部が中間報告として公開されており、いくつか結果を紹介する。

尚、本調査では、回答者2,372人のうち約7割が取引先の行動の変化を感じており、さらに取引先企業がテレワークを実施している回答者1,986人のうち約5割が取引先のセキュリティ対策に何らかの不安を感じていることが明らかになった。

 

1.テレワーク実施経験者が勤務する企業のうち6割が緊急事態宣言後にテレワークを導入

2020年4月の緊急事態宣言後にテレワークを導入した企業は約50%超。そして、その後も約60%が継続。

2.緊急事態宣言以降、急速にWEB会議ツールの利用者が拡大

緊急事態宣言をうけ、ZoomやGoogle Meetなどが無償提供されたことやMicrosoft 365の機能の一つにTeamsが含まれていたことなどもあり、誰でも使える環境ができたこともあり急速に浸透した。

3.テレワーク導入企業に勤務している従業員のうち5割以上が週3回以上のテレワークを実施

テレワークの導入により、オフィススペース削減や通勤費の支給廃止など企業側に目に見えるメリットがあることが実感され、業務が滞るようなことがない業種や職種では積極的にテレワークが推奨されている。

4.テレワーク頻度によってセキュリティインシデント発生時の対応への不安の傾向に違い

テレワーク故、「すぐに聞きにくい環境である」と思い込んでいる部分もあるのではないかと思うが、インシデント対応への不安を感じている。従業員規模にもよるが、情報システム担当者がすぐ隣にいる環境でなければ、メールや電話、もしくはチャットなどで問い合わせをするはずであり、テレワークでもこの条件は変わらないようにも思うが、心情的なものが影響しているのかもしれない。

5.取引先の行動に変化を感じている人は約70%、取引先の行動の変化に不安を感じている人は約75%

テレワーク(Web会議)により、取引先とのコミュニケーションに不満を感じている層はある程度存在することが分かる。しかしながら、利用環境が改善されてくることで、その印象も異なることが考えられるので、継続して注目したい。

6.テレワークの導入に伴う取引先のセキュリティ対策に不安を感じている人が5割

もっとも注意したいのがこの結果である。相手に不安を感じるということは自社でもその対応をしておかねばならない裏返しでもある。セキュリティ施策に終わりはなく、常に最善を尽くすことは必要であるが、ゼロの証明は実際には難しいであろう。

 

調査の概要

(1)調査方法:リサーチ会社を利用したウェブアンケート
(2)調査対象:リサーチ会社の登録モニター(国内居住、18歳以上対象)
(3)調査期間:事前調査 2020年11月2日~11月13日
(4)調査項目:テレワークの実施状況、ルールの策定状況、テレワークの実施に伴う業務委託に関する不安など
(5)設問数:スクリーニング設問 5問、本調査設問 42問
(6)有効回答者数:2,372人
IT企業の従業員・大規模(101人以上):717人
IT企業の従業員・中小規模(100人以下):610人
IT企業以外の企業・組織のIT部門に所属するIT担当者・大規模(301人以上):526人
IT企業以外の企業・組織のIT部門に所属するIT担当者・中小規模(300人以下):519人


本内容は、IPA様の発表内容を元に作成しております。
ソース:https://www.ipa.go.jp/security/fy2020/reports/scrm/index.html

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