【情シス解体新書:Vol.2】情報システムを取り巻く環境

 

前回は情シスという存在がどんなものであるか、置かれている状況などについてお話ししました。今回は、情シスを取り巻く状況について紹介したいと思います。
みなさんは「情報システム」と聞くとどんな印象をお持ちになるでしょうか? コンピュータに詳しくないとダメな部署? やっていることが難しそうな部署? ギークな人が集まっていそうな部署? まぁ、どれも一部は当たっているかもしれませんが、それほど特異な存在ではありません。では一体どんな役割を担っているのでしょうか?

広がる対象、変化を求められる環境

クラウド、データアナリティクス、モバイル、ソーシャルといったいわゆる第3のプラットフォームや、IoT・AI活用の本格化を背景に会社としてのIT投資の在り方も変化しています。IT投資は、伝統的なビジネスのバックエンドを中心とした領域から、新たに売上や利益拡大、スピーディな経営判断などに直結するフロントエンドの領域へも拡大をしています。

こうした変化に呼応してIT人材のスキルも強化・変革が求められます。伝統的なIT投資と新たなIT投資では、その特徴が大きく異なる面もあります。特に伝統的なIT投資を主に担ってきた人材にとっては、新たなIT投資に対応するスキルの強化・変革へ向けた対応が必要となるでしょう。
例えば、情シスの業務で考えてみましょう。管理するサーバーがオンプレ主体からクラウド主体に変わることで、必要とする専門知識はガラリと変わってしまいます。また、極端な例かもしれませんが、基幹システムも自社開発するのではなく、(クラウド)サービスを利用する方向に舵をきるならば、社内業務フローに詳しく管理業務に明るい文系人材の方が活躍できる環境となるかもしれません。もちろん、基礎的なIT知識は必要なのですが。

<IPAの考えるIT投資の広がりと特徴>

<データ出展:IPA>

先に述べたようにIT人材が活躍する領域は益々拡大しています。情シスという視点で考えても、既存の垣根にとらわれずにビジネスモデルやサービスのアイディアを発想し、これをITで具現化するといった価値創造から、サイバーセキュリティでの信頼性確保まで、重要な役割を担っているといえるでしょう。故に情シスが社会的に適切に認められることが必要であり、そのためにはマネジメント層の理解も欠かせません。

過渡期にある情シスのスキル

では、そんな企業に欠かせない存在となっている情シスですが、情シスにに必要なスキルとはなんでしょうか?
IPA(情報処理推進機構)では、各種IT関連サービスの提供に必要とされる能力を明確化・体系化した指標であるITスキル標準「ITSS」に加え、第4次産業革命に向けて求められる新たな領域の“学び直し”の指針として「ITSS+」を策定。更には情報システム従事者向けに情報システムユーザースキル標準「UISS」を定めています。

ITSSは分野・レベルごとに規定されており、キャリア編:職種の概要と達成度指標やスキル編:スキル領域と熟達度指標・知識項目、研修ロードマップなどから構成されています。

ご興味がある方は一度こちらをご覧いただければと思います。 ⇒IPA:スキル標準への取り組み

ITスキル標準(ITSS)で定めている内容を一部抜粋すると以下のようになっています。

「ITスキルを身につける」と言うのは簡単であるが、多くの要素を理解する必要があることが伺えます。

しかしながら、これらは情シスに限ったものではないため、すべてを求められるわけでもありません。今日現在、”情シスに必要なスキルセットは?”という問いに対する明快な答えはないのかもしれませんが、それは情シスの業務がその会社の事情や情シス部門の生い立ちなどによって大きく異なるからなのです。

とある企業では社内ヘルプデスクとキッティングだけであったり、これまた別の企業では営業ツールをフルスクラッチで開発するなど、”社内システム開発”と呼ぶような業務も情シスに含まれることもあります。企業により実施する業務に幅があることなども、情シスのスキルセットが明確になっていない一つの要因なのかもしれません。何をどこまで行うのが情シスなのか、各企業で異なっている情シス定義を一度見直し、業務について明文化しておく必要があります。

その一方で、情シスを取り巻く環境は大きく変化しています。一番の例としては、先にも挙げたオンプレミスからクラウドへの移行ではないでしょうか。ハイブリッドクラウドなど、一部をオンプレミスとして内部に残し、クラウドと連携する使われ方などもありますが、クラウドを使うということには変わりはありません。
Microsoft365/Office365を利用する程度であれば、運用面におけるルール化さえ行えばよい程度かもしれませんが、基幹システムの移行ともなるとサーバーインフラのノウハウ以外にもIaaS/PaaSなどクラウド側(データセンターサービス)の知識が必要になります。
また、セキュリティでも、プロキシーサーバーやFirewallなどの対応だけでは守り切れず、サンドボックス、EDR、最近の流行ではアイソレーションなど、3次、4次といった防衛ラインを構築する必要もでてきました。
特にセキュリティ技術の進化は日進月歩であり、クラウドを活用した脅威への対策など、最新技術の知識習得も求められています。

ここ数年でクラウド周辺の技術が急速に進化したことで、これまでのサーバー管理のノウハウ、セキュリティへの知見だけではカバーできなくなっているのも事実です。

 

情シスの業務とは?

では、”情シスの業務”とは一体どんなものなのでしょうか? それぞれの会社で情シスの業務は異なると述べましたが、そうはいっても一般的に情報システムが取り扱う業務とされる項目はいくつかあります。
これについては、次回のテーマとしてご紹介したいと思っています。

 

DXが叫ばれる今だからこそ、「情シスから会社を変える」本気でそう思い、取り組むことで実現も見えてくるかもしれません。

 

【執筆:編集Gp ハラダケンジ】

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