使える! 情シス三段用語辞典59「LTE over IP」

常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなると更に難しくなります。『情シスNavi.』では数々のIT用語を三段階で説明します。

一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明

取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?

一段目 ITの知識がある人向け「LTE over IP」の意味

「LTE網の機能を無線LANやイーサネットなどのIPネットワーク上で利用できる技術」である。

クライアント端末にエージェントソフトを搭載させ、クライアント端末から外部への通信をLTEプロトコルで通信可能にする。これにより、ライセンスや大規模投資の必要のない無線LAN上で、LTEの「E2E*1の高セキュリティ」「SIM認証」「デバイス管理」「柔軟なQoS*2」などの機能を利用できるようになる。一方、「通信コストが低い」「高速・大容量通信」といった無線LANの特性に変化はない。つまり、LTE over IPはLTEと無線LANの“いいとこ取り”を可能にする仕組みだといえる。

*1:エンドツーエンド(End to end)
*2:キューオーエス(Quality of Service

 

これらのメリットを実現しているのが「LTEプロトコル」の活用だ。端末とアクセスポイント(以下、AP)間の通信は通常の無線LANに同じだが、端末にエージェントソフトを搭載することで、無線でのLTE通信同様の技術でIP上にて通信され、“のぞき見(通信傍受)”はほぼ不可能となる。似たような効果としてVPNでもなじみのトンネリング技術があるが、LTE over IPでは、そもそもの通信自体が非常に強力な暗号化をされているという点が特徴である。
また、このシステムはSIMカードなどと組み合わせることで、VPNのようなユーザーID・パスワードなどの設定は不要であり、仮にITリテラシーが低かったとしても、デバイスにSIMカードが差し込まれていれさえすれば、安全なネットワーク環境を構築できるところは、VPNと比較しても大きなメリットである。

LTE over IPの技術は、米国企業の技術をもとに「LTE-X社」が独自に開発した技術であり、商用サービスの国内独占販売権を同社が持つ。
同社は、公衆無線LANやMVNO事業で知られる「ワイヤレスゲート」とVC「モバイル・インターネットキャピタル」の共同出資により2016年に設立された。
今後、セキュリティ対策の機運高まるIoT市場や、リモートワークといった幅広いターゲットに、次世代通信プラットフォームとしてLTE over IPの提供を行っていく。

 

二段目 ITが苦手な経営者向け

情シスの内田さんと営業部の鈴木さんのリモートアクセスにまつわる会話—

鈴木さん:素朴な疑問なんだけど、モバイルPCのセキュリティで聞きたいことがあるんだ。

内田さん:はい、なんでしょう?

鈴木さん:僕含め、社外でノートPCを使うときはみんな会社支給のモバイルWi-Fiルーター使ってるでしょう。それって、必ず使わなくちゃいけないんですか? ほら今、公衆無線LANのスポットって、たくさんあるじゃない? 駅やカフェやホテルとか。モバイルWi-Fiルーターだけだと気づいたらバッテリーがなかったり、そもそも携帯するのも結構面倒なんだよね。だから、公衆無線LANがOKなら、そっちのほうがよいな、と。実はこの間、カバンにモバイルWi-Fiルーターを入れ忘れて、カフェで使ったんだ。便利だよね、あれ。

内田さん:そういうことは、勝手にしないでください! きわめて危険です。

鈴木さん:なぜ?

内田さん:情報が筒抜けになってしまっています。いいですか、全てとは言いませんが、公衆無線LANは通信が暗号化されていない可能性があります。そして、暗号化されていないということは、鈴木さんが送ったメールの内容だったり、ときにはアカウント情報が誰かに盗まれてしまう可能性もあるということなんですよ。たとえるなら、秘密にしておきたいことを、大声で不特定多数の人たちに話しているようなものです。

鈴木さん:えっ、そんなこわいことだったの・・・。じゃあ、モバイルWi-Fiルーターが使えないときは、通信は絶対やめたい方がよいってことだね。でも、やっぱり不便な気がするな。なにかよい方法はないの?

内田さん:こういう相談って、実は多いんです。それで、今公衆無線LAN下でも安全に通信できるVPNサービスの導入を検討しています。

鈴木さん:さすが! じゃあ、早めの導入をお願い。

内田さん:ただ、少し迷ってまして。

鈴木さん:?

内田さん:VPNを使えば、確かにも安全なアクセス環境を確保できます。でも、PCの設定次第では、アクセスごとにユーザー名やパスワードを入力しなければいけないなど、ある程度のITリテラシーとセキュリティに対する知識が必要です。そんな理由から、セキュリティを一様に保てないことも考えられます。それで今、誰もが手軽に使えるVPNサービスがないか探しているんですが・・・、まだこれだというものがなくて。

あと、「LTE over IP」という技術が、世界に先駆け日本で実用化されたのも大きいですね。つい最近のことなのですが、すごく魅力的なんですよ。

鈴木さん:「LTE over IP」って、どんなものなの?

内田さん:簡単に言えば、「どんな無線LAN下でも、LTE通信の品質でセキュリティが担保できる技術」です。LTEはご存知のように、携帯電話の通信規格。これは世界共通の規格であり、安全性はお墨付きです。その機能を低コスト運用が可能な無線LANで利用でき、かつ接続の仕方も端末にSIMを挿すだけと手軽。これが「LTE over IP」なんです。

鈴木さん:へぇ、よさげ!

内田さん:リモートアクセスの今後を担う技術だと感じますね。ノートPC向けのサービスがもうすぐ登場するようなので、今、情報収集しているところなんです。

鈴木さん:通信は無線LAN なのに、SIMを挿すだけでLTEのセキュリティが担保されるってことだよね? すごい便利そう。また詳しく教えてよ。

内田さん:もちろん。その代わりといってはなんですが、鈴木さんは、公衆無線LANはリスクがあることを、ぜひ皆さんにシュアしてあげてくださいね。

 

三段目 小学生向け

朝からよしゆき君はウキウキ。

今日はたのしい社会科見学。みんなに大人気のパンをつくっているパン工場に行くんだよ。あんぱんに食パンにカレーパン、あとクリームパン。あんなにおいしいパンをどうやってつくっているんだろう?

大きな工場に着いたボクたちを、白い服を着たお兄さんが案内してくれたのは、とっても広い部屋。頭に帽子をかぶって、手を洗って、とっても強い風が吹くドアを通って入ったの。おいしいパンをつくるには、髪の毛やほこりがダメなんだって。

 

わくわくしながらよしゆき君が部屋に入ると、目の前には長い長いベルトコンベアと大きな大きなオーブンだけ。あれれ、パンの姿が見えないぞ。一体どうしたんだろう?

みんなの不思議そうな顔を見て、お兄さんはこう言った。

「この工場では『LTE over IP(える・てぃー・いー・おーばー・あいぴー)』っていう仕組みをつかって、パンを焼いているんだよ。だから、外からはどんなものをつくっているのかはわからないんだ。」

そうなんだ、でも、パンをつくっているところを見れないなんてなんか残念だな・・・。よしゆき君がそう思っていると、隣にいたたけし君が“なんで、こんな風にしているの?”って、お兄さんに聞いた。

「パンの秘密を守るためなんだ。この工場だけの方法でパンをつくっているんだけど、それを内緒にしているんだよ。」

「ボク、わかった! パンの味の秘密を知りたい人がたくさんいるんだね。だってあんなにおいしいんだもの」と、たけし君。

「そうなんだ。パンづくりはとっても大切なことだから、誰にも秘密にしなくちゃいけないんだよ。少し前はね、誰かがパンの生地に触れないようにフェンスをつくる『VPN(ぶい・ぴー・えぬ)』っていう仕組みを使っていた。でも、VPNは使い方が少し難しくて、工場のみんなが簡単に使えなかった。あと、もっと安全な方法ないかなって、LTE over IPにしたんだよ。」

ベルトコンベアになにかが運ばれているのはわかるけど、パンのようにも見えるし、おにぎりのようにも見える。LTE over IPって、とっても不思議。
お兄さんは、みんなを別の部屋に案内して、オーブンから出てくる焼きたてのパンをプレゼントしてくれた。

 

よしゆき君は、大好きなクリームパンをぱくり。「このおいしさの秘密はLTE over IPが守っているんだね。本当はつくるところも見たかったけど・・・、でもあんな不思議でかっこよい仕組みが見れてよかった」と、感じた。

 

【執筆:編集Gp 坂本 嶺】

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