IoT Vol:0「考える前に、事例でサクっとわかるIoT!!」
今は何時代ですか? はい、IoT時代です
ITの真ん中に「o」が入るとIoT。ウェブニュースなどでもよく目にするようになったお馴染みのキーワードです。でも、どんなもの? と突然聞かれると、わからなくなるのもIoT。「あたらしいITのカタチ?」、「とにかくすごい先端テクノロジー?」、「つまり、次世代?」などなど・・・。雲をつかむような気持ちになる人も多いと思います。
このようにさまざまなイメージがある一方、2017年はIoT元年と呼ばれ、あらゆる産業は今、大きなビジネスチャンスとしてIoT市場に期待を寄せています。電子情報技術産業協会(JEITA)が2017年に発表したサイバーフィジカルシステム(CPS)/IoTの市場規調査結果では、「2016年にグローバルでは194兆円、日本では11.1兆円だった市場が、2030年にはグローバルで404.4兆円、日本で19.7兆円と倍増」する見込みとし、さらに同年公表された「情報通信白書」で総務省は、「IoT/AIの普及により、2030年の日本のGDP の従来予測593兆円を132兆円押し上げる」と予測しています。つまり、IoTはこれから、世界を、国を、企業を支えていく可能性を秘めたテクノロジーなのです。
ここまででもなんとなくIoTのすごさは伝わったのではないでしょうか。でも、その全体像はまだぼんやりしていることだと思います。そこで、はじめに紹介したいのが「実際のIoTサービス」事例。「IoTはInternet of Thingsの略称。“モノのインターネット”といわれる」と暗記からはじめるよりもまず、現実の刺激的なIoTに触れていきましょう。
IoTはどこで使われていますか? はい、さまざまな場面で使われています
<life−生活−>
・「Amazonダッシュボタン」
出典:https://www.amazon.co.jp/b?node=4752863051
洗剤やトイレットペーパー、さらにお茶やミネラルウォーターなどなど。定期的に必要になる日用品や飲料は買い物がたいへん。そんな手間をあのアマゾンが解決! 「Amazonダッシュボタン」は、ボタンをポチッと押すだけで自動的に欲しい商品が自宅に配送されるIoTガジェット。Wi-Fi環境であればボタンは好きな場所に設置でき、セットアップもスマホのアマゾンアプリから初期のみ設定ととても手軽。買い物時間の短縮と買い忘れをなくしてくれる頼もしい生活の味方です。
<food−飲食サービス−>
・「データの自動共有・収集が実現する回転寿司システム」
回転寿司大手・あきんどスシローは以前からITを積極的に活用してきたことで知られています。スマホアプリでの席やテイクアウト予約や、タッチパネルによる顧客来店時の人数データの収集や共有に加え、客前を流れるお皿にはICタグが付属。そのお皿の有無状況の分析による鮮度管理とともに、「どのネタがどの位置で売れたか」もリアルタイムで把握できるIoTの仕組みを構築しています。
参考:http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h28/pdf/n2300000.pdf
<Medical/health care−医療/ヘルスケア−>
・「G・U・M PLAY」
出典:https://www.gumplay.jp/
成人のおよそ8割が罹患しているとの報告がある歯周病。その効果的な予防は日々のブラッシングにあるといわれています。そんな歯周病予防にも役立つIoTサービスがサンスターの「G・U・M PLAY」。スマホアプリと連動するアタッチメントを歯ブラシに装着して歯を磨くだけで、磨き方を自動で数字やグラフに見える化。データは日々アプリに記録されるので、効果的な歯の磨き方を自然にトレーニングすることができます。
・「服薬支援容器」
出典:http://jpn.nec.com/press/201609/20160907_02.html
血液の凝固を防ぎ血管をつまらせないようにし、血栓や塞栓を防ぐ薬に抗血小板剤があります。脳梗塞を発症した人が服用する薬ですが、継続して服用する必要がある一方で、服用率は半年でおよそ5割まで低下してしまうそうです。そこで、大塚製薬とNECが共同開発を進めているのが、患者さんやその家族が服用履歴を把握でき、薬剤師が薬の管理も行える「服薬支援容器」。容器そのものがIoTデバイスになっていて、患者さんに服用時間を知らせたり、スマートフォン連動により服用データを自動で記録。容器が飲み忘れを防ぎ、患者さんの健康を支えます。
・「在宅医療あんしんパック」
出典:https://www.optim.co.jp/news-detail/20747
1947〜1949年に生まれた団塊の世代。およそ800万人を数えるこの世代が2025円年に75歳以上になることで「2025年問題」と呼ばれる超高齢化社会に突入します。国民の5人に一人が75歳以上というこれまで類を見ない社会の到来を考えれば、在宅医療環境のスマート化は急務だといえます。この課題にIoTで取り組んでいるのがオプティムの「在宅医療あんしんパック」です。患者宅に置かれるAIのみにしか映像を把握できないカメラは病院のシステムと連動。転倒や長時間の不在など、在宅患者のトラブルをAIが自動検知するとともに、病院や家族へ通知を行う仕組みです。システムは患者が装着するスマートウォッチや自宅に置くタブレットとの連動もしていて、スマートウォッチからの通知により病院が患者宅のタブレットを強制起動させる「ナースコール機能」や、リモート起動させた患者宅のタブレットから患者の様子を観察できる「お声がけ機能」も用意されています。
<factory−工場−>
・「東京町工場ものづくりのワ プロジェクト」
出典:http://www.machikoba.tokyo/index.html
人材育成を課題にしていた板金業を営む東京墨田区の工場3社。課題の解決策として選んだ各社間の交流が功を奏し、そこから共同受注体制の計画に至りました。そのなかで、IoTの権威である法政大学の西岡靖之教授と出会い、工場のIoT化プロジェクト「ものづくりのワ プロジェクト」が生まれたそうです。別々の場所にある工場をクラウドでつなぎ、各社の生産管理を見える化するとともに一元化。デバイスの画面から進捗管理を行えるようになったことで、効率化と低コスト化を実現しました。
IoTのポイントは「効率化」、「自動化」、「見える化」です
前項の事例のほか、IoT事例は現在でもさまざまにありますが、どのサービスにも共通していえることは、「ソフトウェアが情報の収集や分析を自動で行ない、ネットにつながったデバイスが従来の人のアクションを担うまたは支援する技術」だということ。そして、そのからもたらされる恩恵が「効率化」、「自動化」、「見える化」です。さらに、「ものづくりのワ プロジェクト」のように別の場所の施設がつながり「ひとつの施設」として機能できるのも大きな特徴であり、IoTならではのメリットといえます。
日常から医療、そして産業までに普及が進むIoT。実際の事例に触れたところで、次回はIoTの歴史や技術を構成する要素技術などについて、できるだけわかりやすく解説していきましょう。