MSとラック、IDを活用した新セキュリティーの普及を目指すコミュニティー設立

2017/06/26

日本マイクロソフト(MS)とラックは、クラウド時代のIDを活用したセキュリティー対策を普及促進するためのコミュニティー「ID-based Security イニシアティブ」を6月23日に設立し、活動を開始したと発表した。マイクロソフトが事務局、ラックが主幹事を務める。設立当初は6社のセキュリティソリューション会社やSIerが参加する。

「ID-based Security イニシアティブ」の活動イメージ

「ID-based Security イニシアティブ」の活動イメージ

コミュニティーではクラウドの普及が進む中、サービス利用に関連して懸念されるセキュリティーとID管理の課題を解決するために設立された。具体的には企業のクラウドなどのユーザーや社内で使用するデジタル機器に割り振りされるIDを活用してセキュリティー対策を行う「IDベースのセキュリティー対策」の普及促進に力を入れる。従来のネットワークのセキュリティー対策も行っていく。パブリック、プライベートのクラウドを使う企業がID管理などでの課題を抱えている場合、その駆け込み寺として「解決の窓口となることを想定している」(佐藤久・日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長)という。

西本逸郎・ラック社長

西本逸郎・ラック社長

「クラウドの普及が進み、情報が人(ID)に基づけられてきている。そのため、人(ID)を守られなければいけない。実際、なりすましによる不正利用などが多発しているように、昨今のサイバー攻撃はIDの奪取から始まることが多い。しかし、日本人はID管理に無頓着。だから、今後はIDのマネジメントは避けて通れない問題だ」。西本逸郎・ラック社長は、IDに対するセキュリティーの重要性について、こう強調した。

具体的なソシューションとしてはマイクロソフトの「Active Directory」とオンプレミスで使用しているIDをクラウドに拡張が可能で、4000以上のSaaSアプリケーションと連携するクラウドソリューション「Azure Active Directory」を中心に展開する。ただし、MSの製品に限定せずに、参加企業が持つ製品やサービスと組み合わせながら、新たなセキュリティー対策ソリューションを展開していくという。

佐藤久・日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長

佐藤久・日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長

「マイクロソフトのテクノロジーですべて解決するとは思っていない。そのため、自社技術にこだわらずに競合する製品も扱っていく」。と佐藤久・日本マイクロソフト クラウド&エンタープライズビジネス本部 業務執行役員 本部長は、コミュニティーがMS製品の販売促進ではなく、クラウドのセキュリティー課題をユーザーが解決するための連合であることを強調した。

コミュニティーは設立当初、インテリジェンス ビジネスソリューションズ、F5ネットワークスジャパン、サイバートラスト、Sansan、富士通、マネーフォワードの6社が参加する。コミュニティーは専用のポータルサイトから申し込みが可能で、日本MSとラックではAWS(アマゾン・ウェブ・サービス)やグーグルなどのクラウド事業者の参加も想定しており、今後1年で200社の参加を目指す。

ID-based Security イニシアティブの参加企業

ID-based Security イニシアティブの参加企業

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