使える! 情シス三段用語辞典33「エッジコンピューティング」
常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。本用語辞典では数々のIT用語を三段階で説明します。
一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
一段目 ITの知識がある人向け 「エッジコンピューティング」の意味
「エッジコンピューティング」とは、「エッジ」つまり「末端」に存在するコンピューターのことを指す。設備や組織でインターネットに接続するネットワークの「末端」や、通信回線が本線と分かれる分岐点などに設置されるため、こう呼ばれている。
これまで、エッジに存在するコンピューターの役割は、CDN(コンテンツ・デリバリー・ネットワーク)など、大量のコンテンツを配信するためのサーバーとして使われることが多かった。しかし、最近ではIoT(モノのインターネット)の普及に伴い、これまでと逆でデータの収集で使われるようになってきている。
IoTでは、ビックデータ分析を行うために、機器などから集められた大量のデータをクラウド上のサーバーに送る必要がある。しかし、そのデータはあまりにも膨大なため、送る時間や分析に時間がかかるようになることが予想されている。
そこで、エッジコンピューティングで、機器に近いローカル側である程度のデータ処理を行うことで、クラウドに送るデータ量を減らし、クラウドのサーバー負荷分散を実現することで、ユーザーが即時にデータを活用する環境作りができると考えられている。
二段目 ITが苦手な経営者向け
「エッジコンピューティング」とは「末端のコンピューター」という意味です。こう聞くとパソコンを連想する方も多いでしょう。パソコンは、エッジコンピューティングでのコンピューターはパソコンではありません。インターネットの接続などに使われるサーバーのことを指しているのです。
2010年頃から、高速インターネットの普及で、クラウド・コンピューティングの時代が到来しました。クラウド・コンピューティングでは、すべての処理がクラウドのサーバーで行われるようになりました。
しかし、現在。IoTの普及で、かつてないほどのデータ処理が必要となってくると、クラウドのサーバーにすべて送って処理するやり方では、通信時間も処理時間も膨大になり、リアルタイムでの利用が難しくなってしまいます。そこで、社内などにある外部ネットワークなどつなぐ複数のサーバーで分散して送るデータをある程度の処理をしてからクラウドのサーバーに送る方法が注目されています。これが「エッジコンピューティング」という考えなのです。
三段目 小学生向け
みなさんは「IoT(アイ・オー・ティー)」や「モノのインターネット」という言葉を聞いたことはありますか? これは、家にある家電や、工場にある機械などの機器をインターネットにつなげる技術のことです。
でも、IoTは「機器をインターネットにつなげる」というだけではないのです。実は、機器からデータを集めて、詳しく調べることで新しい発見をすることが一番の目的です。
集めるデータは、例えば、テレビなら、どんな番組が見られているか、電気メーターなら、どれくらいの電気が家で使われているか、工場の機械なら、どれぐらいの製品を作ったかなどです。このデータをインターネット経由で調べて分析するためのコンピューターに送るのです。
一方でIoTを使ってインターネットにつながる機器(IoT機器といいます)の数は、2013年は158億個でしたが、2020年には全世界で530億個(世界の人口の約7倍)になると考えられています(総務省調べ)。これだけの機器が一斉にインターネットで大量のデータを送り始めたらインターネットがパンクしてしまう可能性もあるのです。
そこで、家や会社の中などで、IoT機器の近くにコンピューターを置いて、そのコンピューターでデータの処理を行ってしまおうという方法が考えられました。これを「エッジコンピューティング」というのです。
「エッジコンピューティング」で、データはある程度処理すれば、必要なデータだけを、それを分析したり、まとめたりする別のコンピューターに送ることになるので、処理も速く行うことができるようになるのです。これからIoTが進んでいくと、みなさんの家にもエッジコンピューティング用のコンピューターが置かれる日が来るかもしれませんね。
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