デル、中堅企業のバックアップ動向調査を発表 一人情シスの95%が予算拡充に強い意欲
デルは、メディア向け説明会を開催し、一人情シスの動向を主眼とした中堅企業のバックアップ動向についての調査を発表した。調査によると一人情シスの95.7%が予算の拡充を考えており、バックアップの環境を見直す意向が強いことが分かった。また、調査した企業全体でも91.5%の企業が予算の増加を考えていることも明らかになった。説明会では木村佳博・インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 広域営業部 セールスエンジニアリング部長が調査について説明した。
木村佳博・インフラストラクチャ・ソリューションズ事業統括 法人営業本部 広域営業部 セールスエンジニアリング部長
デルが発表したのは「中堅企業向けバックアップ関連動向調査」。デルの顧客で従業員が100名以上で1000名未満の中堅企業、219社を対象にアンケート形式で2017年4月26日~5月19日で実施した。回答した企業のうち、一人情シスは13%、兼務情シスやIT専任担当者が不在は10%、2人以上の情シスがいる企業は77%の割合だった。
中堅企業のバックアップ調査結果の要約1
バックアップの予算について聞いたところ、一人情シスの95.7%が現状維持か増加でバックアップ環境の見直しをすると回答。環境改善に高い意欲を示していることが分かった。また、現状維持か増加と回答した企業全体で91.5%だった。従業員規模で見ると100~199名が最も多く95.9%、次いで200~299名で94.1%となった。
一方、2人以上の情シスがいる企業では全体より5.9ポイント低くも投資に対して消極的なことが明らかになった。この点について「2人以上の情シスがいる企業では予算を現状維持にして、投資可能なタイミングを見極めていると考えられる」と木村部長は説明。また、金額については「ヒアリングベースで200~300万円。これを2~3年かけて投資する企業が多い」と話した。
復旧に向けてバックアップに求める時間の調査結果
また、システムが止まった場合に、復旧に向けてバックアップに求める時間を聞いたところ、全体でアプリケーションやデータベースの基幹業務に対しては4時間、メールは半日、設計・技術仕様書、調査・試験データ、図面・グラフィックデータ、ファイルサーバー、クライアントPCのバックアップは1日という回答が最も高く、企業規模にかかわらず、データの種別ごとで求める復旧時間が明確に定義されていることが明らかになった。
中堅企業のバックアップ調査結果の要約2
一方、データ復旧に関しては全体の50.3%が絶対に復旧できる自信がないと回答。木村部長は「バックアップ環境を整備したが、復旧テストをしていないことがあり、そのため本当に元に戻るのか分からない不安が反映されたのではないか」と分析した。
バックアップの方法に関連した、クラウド利用(パブリック)のアンケートでは、全体の23.9%がオンプレミスと並行してクラウドのバックアップを利用していると回答。また、全体の95.9%がオンプレミスへのバックアップを行っていることが分かった。さらに、海外展開を検討している44.4%の企業がクラウドでのバックアップを想定している。
企業が持つデータのアーカイブでの調査では、61.2%がデータを保持していると回答。内容ではCADや技術仕様書の長期保管が30.1%、次いで発注書、注文書が26.1%となった。保存期間は5年と10年が約3割で最も多かった。
「バックアップに関しては秘匿性が高いことから、これまであまり公表されることがなく、中堅企業の動向は分からなかった。しかし、今回の調査で一人情シスを中心に企業全体でバックアップのニーズが高いなど詳細が分かったことは大きい」。木村部長は今回の調査について、こう総括した。
デルが用意する中堅企業向けのバックアップソリューション
デルでは今回の調査結果を受け、「アーカイブ」「バックアップ」「高可用性(HA)」「継続的な可用性」という4段階のバックアップソリューションを用意。情シスの人数や業種別で分類した6つのパターンに当てはめて提供を始める。「調査で分かったニーズをくみ取ることでソリューションを用意して、おもに一人情シスを支援することで中堅企業の顧客を広げていきたい」。木村部長はこう述べてバックアップ分野でのビジネス拡大に意欲を示した。