『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「創業190年の伝統技術が最新の技術を支える」戸田工業株式会社

2016/01/22
ブース全景画像

ウェアラブルEXPO会場の入口近くの右手に、真っ赤なブースを出展していた戸田工業株式会社。実は創業190年という老舗企業で、ブースの色も創業以来の主力生産物である酸化鉄の赤だそうです。伝統あるこの会社、実はウェアラブル/IoTに欠かせないある物で世界トップシェアだそうです。同社のGlobal Fine Material事業本部 事業推進部 軟磁性事業(デバイス事業)グループ グループサブリーダー 表 祐治さんにお話を伺いました。

「江戸時代の文政6年(1823年)酸化鉄をつかった顔料であるベンガラの製造から始まった当社は、その後、酸化鉄を原料にしたフェライトをつかった電子部品などを製造してきました。2005年ぐらいから出てきたおサイフ携帯に入っているICチップ用のアンテナの性能を高める部品として当社のフレキシブルフェライトが採用され、今ではトップシェアになっています。その後、フェライト自身でアンテナを作ればより小型化ができるだろうということで、当社の材料技術を活かして開発したのが今回出展しているフェライトICタグ/NFCタグです」

「これまで、工程管理など主に産業用に使われることが多かったのですが、今ではNFCがスマートフォンに標準で内蔵されるようになり、読み取ることができる機器が爆発的に増えたので、IoTとして活用できるフィールドが増えました」

超小型・金属対応 ICタグ/NSCタグの画像

お話しいただいた 表 祐治さん

「当社のフェライトICタグは熱に強いので、ハンダ付けしたり、プラスチック整形の温度にも耐えられますので、さまざまなものに内蔵することができます。また厚さは2.2mmほどなので、カードなどにも埋め込めます。入れられるデータは多くはありませんが(最大2Kバイト)、情報の「鍵」として使うなら十分です。
例えば機械に埋め込んでおいて、スマートフォンを当てるとその機械のマニュアルが表示されたり、商品に埋め込むことでその会社のホームページが表示されるような仕掛けが簡単にできます。またデータの書き換えもあとからできますので、バーコードより活用の範囲は広いです」

「例えばブランド品に埋め込んでおくことで、本物であるということを電子的に証明できます。私たちが想定していなかった使い方では、当社の地元である広島のJリーグチーム、サンフレッチェ広島の入場券に使われたという例もあります」

フェライトICタグ画像

「今回の出展で、さまざまな分野のお客さまがいらっしゃって、見積もりも数十個単位でいいとおっしゃるお客様から十数億単位でというお客様もいらっしゃり、いろいろな用途があることに改めて気付かされました」

IoT、そしてウェアラブルがますます浸透していく中で、比較的安価に、かつ、あらゆるものに電子的な鍵を埋め込めて、それをスマホで読み取ることができるという夢みたいなことが現実になりつつあります。きっと近い将来、あらゆる備品や機器にもこのようなICタグが埋め込まれるようになって、管理部門を悩ます固定資産管理も、スマホをかざすだけでできるようになるでしょう。

 

そんな最先端の技術を、江戸時代からの伝統技術を活かした企業さんが、開発した面白みを感じた取材でした。


戸田工業株式会社
ウェブサイトURL:http://www.todakogyo.co.jp/


この記事の目次

バックナンバー

モバイル・ウェアラブル

世界最大級のウェアラブル専門展『第2回 ウェアラブルEXPO』イベントレポート公開中!

世界最大級のウェアラブル専門展『第2回 ウェアラブルEXPO』イベントレポート公開中!
東京ビッグサイトで2016年1月13日~15日に開催された、『ウェアラブル EXPO』。前回比2倍の出展数に17,000名を超える来場者数で、すごい盛り上がりを見せた同イベントをレポート!!
IoTクラウド

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「手のひらサイズのすごいIoTサーバー現る」 ぷらっとホーム株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「手のひらサイズのすごいIoTサーバー現る」 ぷらっとホーム株式会社
「知る人ぞ知る」コンピューターメーカ ぷらっとホーム株式会社の星さんに、IoT/M2Mに特化したマイクロサーバー「OpenBlocks IoT Family」についてお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルIoTデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「動物たちの『キモチ』を最新の解析技術やアプリで人に伝える」 株式会社Anicall

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「動物たちの『キモチ』を最新の解析技術やアプリで人に伝える」 株式会社Anicall
動物にウェアラブル端末をつけて、動物たちの暮らしを豊かにするためのサービスを開発する株式会社Anicall。「動物が好き」「新しいことが好き」な方が集まる同社ならではの製品の特長について、同社の朝井さんにお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルIoTデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「スマートウェアでも自然な着心地を実現したい」東洋紡株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「スマートウェアでも自然な着心地を実現したい」東洋紡株式会社
生体センサーを内蔵したウェア「スマートウェア」を、作るための機能性素材「COCOMI」を展示された東洋紡株式会社。社内の繊維部門と化学素材の部門が共同で開発した新素材の特長と、今後の展開について同社の作田氏へお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「かけ心地とデザイン性を両立したスマートグラスを創る」 株式会社ボストンクラブ

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「かけ心地とデザイン性を両立したスマートグラスを創る」 株式会社ボストンクラブ
展示会場でもひときわ目立つデザイン性の高いフレームとブースを出展されていた、株式会社ボストンクラブ。30年の間、メガネのフレームメーカとして培ってきたこだわりと技術を詰め込んだスマートグラスのフレームについて、小松原氏にお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「小さく、軽く、長く。ウェアラブルデバイスの寿命にあわせたバッテリーを」日立マクセル株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「小さく、軽く、長く。ウェアラブルデバイスの寿命にあわせたバッテリーを」日立マクセル株式会社
ウェアラブルデバイスにとって、とても重要な電源。日立マクセルのご担当者さまに、同社のバッテリーとワイヤレス給電ソリューションについて、詳しくお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「視力4.0のメガネをつくりたい!」 株式会社メガネスーパー

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「視力4.0のメガネをつくりたい!」 株式会社メガネスーパー
40年以上にわたり1,000万人の眼をみてきたメガネスーパー。「アイケアカンパニー」として生まれ変わった新生メガネスーパーのメガネ型ウェアラブル端末(スマートグラス)「b.g」について、同社の座安さんに開発の想いとこれからについて伺いました。
モバイル・ウェアラブルスマートマシンデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「両手で荷物が持てるイノベーション」株式会社ウェルキャット

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「両手で荷物が持てるイノベーション」株式会社ウェルキャット
日本におけるバーコードリーダーのパイオニア 株式会社ウェルキャット。二次元ウェアラブルターミナルとFIDウェアラブルターミナルについて、同社の毛賀澤さんにお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルIoTデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「ウェアラブルでより健康で快適な生活を提供する」グンゼ株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「ウェアラブルでより健康で快適な生活を提供する」グンゼ株式会社
衣料技術と電子回路設計技術を融合した新しい「衣料型ウェアラブル」と、それを活かしたサービスを組み合わせたソリューションを出展していたグンゼ株式会社。同社の永井さんにお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「指の動きを理解して、演奏を科学する」 ヤマハ株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「指の動きを理解して、演奏を科学する」 ヤマハ株式会社
『音楽を生み出す敷居を下げる』Y2というプロジェクトに取り組まれているヤマハ株式会社。同社の鈴木さんにプロジェクトや今後の展開についてお話しいただきました。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「創業190年の伝統技術が最新の技術を支える」戸田工業株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「創業190年の伝統技術が最新の技術を支える」戸田工業株式会社
創業190年の老舗企業である戸田工業株式会社。出展されていた、フェライトICタグ/NFCタグの活用事例など夢が広がるお話しを伺いました。
業務システムモバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「もう10年以上、ウェアラブルシステムの企画・開発を社内活用してきました」村田機械株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「もう10年以上、ウェアラブルシステムの企画・開発を社内活用してきました」村田機械株式会社
10年も前からウェアラブルシステムの自社開発に取り組んでいた村田機械株式会社。今回はそれら自社開発してきた技術の集大成となるサービスを展示されていました。RemoSManなどのシステムについても詳しくお伺いしました。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「お客さまのニーズを理解し、接着剤の新たな利用価値を提案していきます」セメダイン株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「お客さまのニーズを理解し、接着剤の新たな利用価値を提案していきます」セメダイン株式会社
接着剤で有名なセメダイン株式会社が開発した、電気を通す接着剤。耐久性にも優れたこの商品の開発話や、今後の展開についてお伺いしました。電気を通す接着剤を使用した衣装を着て優雅に舞う動画は必見です。
モバイル・ウェアラブルIoTデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「世界のちょっといかしたウェアラブルを日本に」株式会社INNOVA GLOBAL

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「世界のちょっといかしたウェアラブルを日本に」株式会社INNOVA GLOBAL
生活が便利になって、楽しくワクワクするようなIoT機器を、海外から日本に紹介している株式会社INNOVA GLOBAL。ワインの飲み頃がわかるウェアラブル温度計など、ワクワクするような商品についてお話を伺いました。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「『Wearvue』はメガネのマジックナンバー“50g”にこだわりました」株式会社東芝

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「『Wearvue』はメガネのマジックナンバー“50g”にこだわりました」株式会社東芝
メガネ型ウェアラブル端末を展示されていた同社。業務で使うことを想定した4つの特長について、詳しくお伺いました。より多くの人が使えるデザインの追及もしているそうです。
モバイル・ウェアラブルデジタル機器全般

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「作業を効率化してより良いモノづくりやサービスに貢献したい」ブラザー工業株式会社

『第2回 ウェアラブルEXPO』レポート 「作業を効率化してより良いモノづくりやサービスに貢献したい」ブラザー工業株式会社
ヘッドマウントディスプレイ型のウェアラブル端末とソリューションについて、詳しくお話を伺いました。さまざまな使用用途での実績と、利用者の声を反映した、“良いモノづくり”“サービス提供”の心がこもっていました。

この情報は役に立ちましたか?


フィードバックをいただき、ありがとうございました!

関連記事

カテゴリー:

ニュースレポート

情シス求人

  1. チームメンバーで作字やってみた#1

ページ上部へ戻る