【医師監修】情シスのための「残業メシ」第8回 飲み物にちょい足し! 食べられない日の栄養補給法
重なるプロジェクトに、急な仕様変更。気が付けばデスマーチまっしぐら…。トイレに行く時間すら惜しく、ましてや、ゆっくり食べているヒマなんてない! 想像するだけで辛くなりますが、そんな情シスの方々も少なくないのでは?
しかし、忙しい時こそ、栄養の摂取が必要です。そこで食事をする時間もない人におすすめなのが、飲み物で食材を工夫して栄養を補給する方法です。今回は、そんな体が元気になるドリンクの食材を紹介します!
この記事の目次
やる気アップには「アミノ酸」が必須!
仕事が重なるだけでも体力とやる気が低下していきますが、そんな時こそ栄養がもつ力に頼りましょう! 今回も、栄養療法に詳しい小池先生に、疲れた情シスのための飲み物でとるべき栄養素を教えていただきました。
小池先生
「脳の栄養としてよく知られるのが糖分ですが、実は活動のためには『アミノ酸』の補給がとても大切です。やる気につながる『ドーパミン』の素となっているばかりではなく、脳内神経物質の材料としても、アミノ酸が必要になるからです。アミノ酸が不足すると、集中力や判断力の低下につながり、処理能力がダウンしてしまいます。」
なんと! いろんなところで目にする「アミノ酸」は、こんな働きがあったのですね。ただでさえ終わらない仕事が長引いてしまうのは、アミノ酸が不足しているからかもしれません。でも、アミノ酸を飲み物でとるにはどうしたらよいのでしょうか?
小池先生
「アミノ酸は、タンパク質が分解されたものです。飲み物にプラスしてとり入れられるアミノ酸源として優秀なのは『ゼラチンパウダー』です。ゼラチンは動物性のタンパク質からできており、粉末状になっているので使いやすいですよ。」
手軽にアミノ酸が補給できる「ゼラチンパウダー」
ゼラチンといえば、ゼリーを作る時に使う材料ですね。ゼラチンをとると体内で分解され、アミノ酸になるといいます。ほとんど無味無臭なので、カップスープにみそ汁、お茶にと、なんでも入れられます。とろみが苦手な人は、女性に人気のコラーゲンパウダーでも代用が可能です。美肌やダイエット効果も期待できるかもしれませんよ!?
アミノ酸が含まれている栄養ドリンクも売られていますが、これは糖分が多いのでたくさん飲むのは控えたほうがよいと小池先生はいいます。糖分によって血糖値が乱高下を起こすこともあり、気分や体調の浮き沈みが激しくなるそうです。一方で、ゼラチンは分岐鎖アミノ酸と呼ばれ、血糖値を安定して供給してくれる役割もあるといいます。ゼラチンは優秀な食材なのですね!
インスタントみそ汁をグレードアップして満腹感を手に入れる
飲み物でお腹を満たす定番食は、やっぱりスープ類でしょう。特に、インスタントのみそ汁は、心を癒す、まさに神の味です。一方で、いつも同じだと飽きてしまいますよね。栄養を意識したみそ汁のアレンジの方法はあるのでしょうか?
小池先生
「みそ汁の栄養価を高めるなら、おすすめは『納豆』と『ゴマ油』ですね。納豆は植物性のタンパク質が取れることに加えて、細胞の代謝を助けるポリアミンが含まれます。ゴマ油は油分でお腹が満たされてカロリー補給になります。意外なところで、バターを入れるのも美味しいですよ。」
ごま油でインスタントみそ汁の栄養価もアップ!
確かに、みそ汁に足りないのは油の満足感かもしれませんね。 バターのこってり感は体に染みそうです。少し余裕があれば、具材を豪華にするのもよいでしょう。例えば、生卵をカップに割り入れて、お湯を注ぎ、少し置いておくと温泉卵風になります。そこにみそ汁の素を入れたら、かなりのボリュームになりますよね。
冷え対策に、ショウガをストック
残業で辛いのが「全身の血流の悪さ」と「冷え」ではないでしょうか? 夏場でも、冷房の影響で無自覚に冷えてしまっていることがあります。夜の作業こそ血行をよくして、頭を働かせたいものです。
小池先生
「血行促進を行う食材として、便利なのがショウガです。ショウガは身体を温めて、血流をよくしてくれます。市販のしょうが湯もありますが、チューブタイプの生ショウガは、なんにでも活用できます。さらにチューブよりも、効果が高いのは、粉末タイプのショウガです。」
血行促進効果があるショウガはパウダータイプがおすすめ
スーパーで買えるのは、チューブの生ショウガですが、もし近くのお店で粉末ショウガを見つけたら、すぐに買っておきましょう! 粉末ショウガは冷蔵する必要もなく、使い勝手がよいのです。ショウガの使い方は、ゼラチンと同じでお茶や紅茶、昆布茶、みそ汁などに混ぜて使うだけです。辛みが気になるなら、はちみつと一緒に混ぜてもよいでしょう。疲れ切って冷えた体を温めるだけで、気分が「ホッ」とできるかもしれません。
栄養価を考えて「だし」にこだわってみよう
残業飯に限らず、忙しい時は日中の食事も適当になりがちです。一方で、ストレスが増えると、ミネラル不足にもなりやすく、体調だけでなくメンタルも落ち込みやすくなるといいます。そんな食事が十分にとれない時に試したいのが「だし」の活用です。
小池先生
「煮干し、かつお節、昆布を使った本物のだしには、豊富なミネラルが含まれています。そこに、天然塩をひとつまみ入れるだけで、さらに栄養価が高くなります。それだけでマルチミネラルとして活用できるほどです。日常にだしをとる機会を増やせば、栄養バランスの改善になります。手軽にできる方法があるので、忙しい人ほど試してほしいですね。」
だしは手軽に作れてミネラルが豊富
小池先生がいう簡単にできる、だしのとり方は、ポットに昆布と煮干しを入れて水に浸けるだけという方法です。数時間で濃厚なだしができるといいます。
一般的には煮出して作るものですが、水だしでもOKです。そのまま飲めるので、夜食に限らず普段のお茶がわりに飲んだり、おにぎりを崩し入れてお茶漬け風にしたりと手軽に使えます。
ただし、市販のだしパックを使う場合は原材料をチェックしましょう。化学調味料が添加されたものはできるだけ避けるのがベストです。だしをとった後の煮干しや昆布の処理に困ると思ったら、煮干しや昆布の粉末を使うのもよいでしょう。かつお節なら小袋パックを買ってきて、お湯を注ぐだけで美味しいだしになりますよ。
自分の体をいたわる飲み物を!
疲労時の飲み物で栄養価が高いものといえば、栄養ドリンクが浮かびますが、毎回飲んでいると効果が薄れる感じがしますよね。また、カフェインや糖分で胃が痛くなったり、余計にだるくなったりしがちになります。やはり、自然の食材を使った飲み物のほうが体にはよさそうです。ゼラチンとショウガ、煮干し、かつお節、昆布は手軽にスーパーで購入ができます。1人で準備するのが面倒なら、いっそプロジェクトチーム専用のストックを用意してもよいかもしれませんね。
監修:小池雅美(こいけ診療所 漢方専門医)
こいけ診療所院長、日本医学放射線学会放射線診断専門医、検診マンモグラフィ読影医、漢方専門医。1994年に東海大学医学部を卒業。漢方を中心に栄養、食事の指導を重視した診療を行っている。
文:みのうかなこ
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