攻殻機動隊も出動!?「サイバー攻撃を目撃せよ! 秋葉原0305」をレポート!
- 2016/3/8
- ニュース, レポート
- NISC, イベント, サイバーセキュリティ月間, タイアップ, 内閣サイバーセキュリティセンター, 攻殻機動隊
- 攻殻機動隊も出動!?「サイバー攻撃を目撃せよ! 秋葉原0305」をレポート! はコメントを受け付けていません
「攻殻機動隊×官民連携サイバーセキュリティ月間」啓蒙イベントで秋葉原に公安9課出動!?
秋葉原のイベント会場に攻殻ファン集結
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)では毎年2月1日から3月18日までを「サイバーセキュリティ月間」として、サイバーセキュリティに関する普及啓発活動を集中的に推進しています。
平成28年度においては、サイバーセキュリティ普及啓発のさらなる強化のため、『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』とのタイアップにより、「攻殻機動隊×官民連携サイバーセキュリティ月間」を展開していますが、その目玉イベント“サイバー攻撃を目撃せよ!秋葉原0305”が独立行政法人情報処理推進機構(IPA)、NPO法人日本ネットワークセキュリティ協会(JNSA)などの協力により、3月5日(土)東京・秋葉原にて開催されました。そのイベントの模様をレポートします!
<サイバー攻撃を目撃せよ! 秋葉原0305>
オフィシャルサイトURL(「攻殻機動隊×官民連携サイバーセキュリティ月間」): http://cybersecurity.jnsa.org/
主催: 内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)
春の兆しが伺える東京・秋葉原中央通りのベルサール秋葉原。この電脳街の風景に何の違和感もない「攻殻機動隊」のビジュアルが踊っています。そして、開場前から続々と詰めかける参加希望客。この、「一般の人たちに来てもらう」ということがこのサイバーセキュリティ啓発イベントの大切なキモであり、そのために「攻殻機動隊」の世界観が最適なアイコンであるとのコンセプトはぴったりはまったようです。そして会場スタッフはみなさん「内務省保安部」の腕章をつけて世界観の表現に貢献しています。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)副センター長・内閣審議官谷脇康彦氏の主催者挨拶
イベントは内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)副センター長・内閣審議官 谷脇 康彦(たにわき やすひこ)氏の主催者挨拶からスタートしました。谷脇氏からはサイバー攻撃が深刻な問題になっており、パソコン、スマートフォンはもちろん、コンピュータ制御された自動車、日本でも今後普及が進むスマートメーター(ネットワークにつながれた電気メーター)などへの攻撃が想定されているといった恐ろしい現状が説明されます。
「とくに我が国は、世界で最も深刻なサイバー攻撃を受けている8カ国の1つであること、もしサイバー攻撃によって情報漏えいがおきた場合の損害金額が1件あたり約10億円にも達する状態で経営的に深刻な影響を及ぼす」ことなどが述べられました。
さらに具体的な脅威として「標的型攻撃」を上げ、(1)メールによる攻撃(2)水飲み場型(Webサイトの悪用)攻撃(3)ソフトウェアアップデートを装う攻撃を紹介し、注意を呼びかけました。
谷脇氏は「サイバー天気予報」などNISCの普及啓発活動など取り組みを紹介され、「世界観が近い『攻殻機動隊』とのタイアップにより、さらに一般の人たちにもっとサイバーセキュリティへの関心をもっていただきたい」と挨拶が締めくくられました。
Production I.G代表取締役石川光久氏と作家大沢在昌氏のトークセッションがスタート
イベントは続いて『攻殻機動隊』の企画・制作を手掛ける「Production I.G」代表取締役 石川 光久氏(写真:中)と、作家 大沢 在昌氏(写真:右)のトークセッションに移ります。
石川氏が「映像の力を持って人々がダークサイドに行かないようにできたらと思います」と述べたのを受け、大沢氏は「もともと最初の攻殻機動隊のアニメのファンだった」と明かしました。続けて大沢氏は「最初の作品で出てきた『電脳空間』という言葉がすごくしっくり来ます。テロリストが潜んでいそうだ」「アニメや小説でサイバー犯罪の恐ろしさを啓蒙できたら」と続けられました。大沢氏も攻殻ファンだったのですね。
それらの言葉を受けて、石川氏が「最初の攻殻機動隊のアニメから長い年月が経過して、よりリアルな現実になってしまいました」「スタッフからも情報流出が怖いので『関係各位』というメールは開くなと言われてます(笑)」と、企画の仕事もサイバーセキュリティが必要なことを述べます。
そうすると大沢氏が「わたしは手書きだから大丈夫(笑)。しかし、普通の作家はパソコンで原稿を書いています。原稿が流出して海賊版ができたらどうするのか。すでに電子書籍では海賊版問題が問題となっています」と作家にもサイバー被害対策は無縁でないことを強調され、サイバーセキュリティが決して一部の大企業や政府だけの問題ではなく、すべての人の生活に関わってくると言うことを会場の参加者に告げました。
サイバーセキュリティへの注意を呼びかける。左から大沢氏、谷脇氏、石川氏
その後、NISC谷脇氏の囲み取材が行われ、政府機関へのサイバー攻撃が苛烈になっていること、とくに標的型攻撃対策が差し迫った課題であることが話されました。
さらに喫緊の課題として「セキュリティ対策の人材が不足している」と述べ、産学官で人材教育・開発を行っていかなくてはならないことを強調しました。しかも、セキュリティだけを学ぶと言うより、経営者と現場との橋渡しができるような「ビジネスのこともわかっている」人材が必要なのだと言うことです。
サイバー攻撃に対しては、2020年に向けてNISCもいろいろ対策を進めており、本年の伊勢志摩サミットが重要な舞台になること、さらにリオ五輪への視察なども予定しており、国際連携も非常に大切と述べました。
ちなみに谷脇氏は攻殻機動隊では「タチコマが好きだ(フチコマとおっしゃられた気もしますが)」と述べられ、囲み取材は終了しました。
トークセッションでは会場内が満杯で立ち見客も
その後ステージではIPAによるパソコン乗っ取りの実演、JNSAによる講演などが行われるととともに、各ブースではサイバーセキュリティ啓発の展示が行われ、スタンプラリーで、ポスターやグッズを手に入れようと多くの参加者が行列を作りました。
お目当てのグッズコーナーをめぐる参加客
IPAブースでは動画やさまざまな媒体でサイバーセキュリティへの注意を喚起
その中で、一段と長い行列ができたのは、攻殻機動隊の世界観をVR(バーチャルリアリティ)で体験できるブースです。編集部記者は当然並んで体験しましたが、攻殻機動隊の世界を3Dで体感でき、危うく精神が乗っ取られそうになりました。
VR体験コーナーは長蛇の列
攻殻機動隊というサイバーセキュリティの世界を予言したようなアイコンとコラボしたこのイベント、普及啓発活動として、かなり大きなインパクトを残したのではないでしょうか。このキャンペーンを機に、より多くの人が情報セキュリティと、この活動をしているIPAやJNSAの活動に興味を持ってくれることをジョーシス編集部は期待しています!