使える! 情シス三段用語辞典55「デジタルトランスフォーメーション」
常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。本用語辞典では数々のIT用語を三段階で説明します。
一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
一段目 ITの知識がある人向け 「デジタルトランスフォーメーション」の意味
「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation:DX)」とは、2004年にスウェーデン、ウメオ大学のエリック・ストルターマン教授が提唱した「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でよりよい方向に変化させる」という概念に基づく言葉。
この言葉は、2016年頃から、ビジネスで「組織からビジネスプロセス、商品、サービスなどすべてがデジタル化によって変革される」という意味合いで広く用いられるようになった。
デジタルトランスフォーメーションの実現を支える技術は「モバイル」「ビッグデータ」「ソーシャルネットワーク」「クラウド」の4つ。
デジタルトランスフォーメーションが進むことで、ITとビジネスの融合が進むとみられている。その結果、一般のビジネスパーソンはITスキルが不可欠となり、情報システム部門の担当者はビジネスへの参加が不可欠となるといわれている。
二段目 ITが苦手な経営者向け
社長はいつも「ワシはITのことはようわからんけれど、商売はまかせておけ」とおっしゃっていますよね。確かに、社長のビジネス手腕は立派だと思います。しかし、今、世の中がデジタル化していく大きな流れを無視することはできません。
どういうことかというと、これからは「ITはIT、ビジネスとビジネス」という考え方がなくなって、ビジネスのほとんどがデジタル化されて、ITでコントロールされていくようになるのです。
マーケティング活動を例に話しましょう。
社長の商売では、お客様が社長の会社の商品を探すように仕向ける、見つけてもらう、買ってもらう、決済できたら発送する、その売上の管理や、売れ筋商品の把握と分析、分析したら、次はどう広告宣伝すればより売れるのか、どんな商品が求められているのか、他社の競合製品と比べて口コミではどういう評判が立っているのかといったことがありますよね。
こうした作業は、これまで社長や営業部長が勘と経験でやってきたと思います。しかし、これからはデジタルに置き換えられ、ITの力によって、より効率よく売上を上げていくようになるのです。
このように、企業活動の多くがデジタルによって変革される動きのことを「デジタルトランスフォーメーション」と呼んでいます。
だから、これからは、社長がITのことを知るだけでなく、社長の会社のIT担当もビジネスに詳しくなってもらう方がいいでしょう。つまり、ITがビジネスそのものになるのです。
三段目 小学生向け
みなさんのお父さんやお母さんが勤めている会社にはさまざまな仕事があります。
「営業」といって、会社の商品を売る仕事や「広告宣伝」といって、会社の商品を多くの人に知ってもらえるように工夫する仕事、「生産」といって会社の商品を一生懸命作る仕事、「経理」という会社でもうけたり使ったりしたお金の計算を間違わないようにする仕事などです。それぞれの仕事を担当する人たちは毎日一生懸命働いています。
そして、コンピューターやシステムなどを使って、会社のいろいろな業務がスムーズに行えるようにする仕事があります。この仕事をする人は情報システム担当(情シス)と呼ばれています。
これまで「営業」や「広告宣伝」「経理」「生産」などの仕事をする人たちは、ITのことは情シスの人たちにまかせていました。また、情シスの人たちもシステムのことをがんばっていればよかったのです。
ところが、インターネットやスマートフォン(スマホ)をみんなが使うようになり、人工知能などが仕事に活躍する時代になった今では、ITの仕事と「営業」や「広告宣伝」「経理」「生産」などの仕事の境目がなくなってきています。そうなると、どんな仕事をしていてもITに詳しくならないとやっていけなくなります。
つまり、スマホやインターネットなどのデジタル機器やサービスで仕事革命が起ころうとしているのです。これを「デジタルトランスフォーメーション」といいます。
みなさんが大人になる頃は、きっと仕事の全てをデジタルで管理することが普通になっているでしょう。その時にはもっと便利で豊かな社会になっているかもしれません。また、デジタルに興味がない人は、限られた進路しか選べなくなっているかもしれません。
幸せは人それぞれです。しかし、デジタルトランスフォーメーションが当たり前になった時代にはデジタルに関する勉強をしっかり行っていた方が、自分が進める道がいろいろ広がることになるでしょう。