【国内企業】Future of Workstyleに関する成熟度-IDC
IT専門調査会社 IDC Japanは、国内の従業員数500人以上のユーザー企業でFuture of Workstyleの決定に関するメンバーまたはそのグループに意見を述べるメンバーを対象とした調査を2020年7月に実施。
Future of Workstyleの取り組みに関する成熟度ステージを定量的に評価、分析を行い、その結果を発表している。
Future of Workstyle(働く場や働き方の変革)とは
IDCでは、”Future of Workstyle(働く場や働き方の変革)”を、「ワークモデルを根本的に変えるコンセプトであり、人とマシンの協働を促進し、従業員スキルと従業員エクスペリエンスを向上させ、時間や物理的な場所といった制約から解放された労働環境を実現するためのフレームワーク」と定義している。
企業は、時短勤務やリモートワークなどの一般的な働き方改革のみならず、この”Future of Workstyle”の概念を使い、新しい収益を生み出し、運用効率を改善し、顧客との深い関係を構築し、競争上の差別化を図ることが求められているという。
そのためには、国内ユーザー企業が”Future of Workstyle”を活用し事業を優位に推進するために、IDCでは”Future of Workstyle”の概念を「ビジョン」「実行力」「ワークカルチャー」「ワークスペース」「ワークフォース」の5つの特性に分類し、”Future of Workstyle”の成熟度を各特性でどのような段階を経て、高めていくかについて十分な認識を持つ必要があると考えている。
このような背景からIDCでは、”Future of Workstyle”の成熟度を客観的に判断する指標をユーザー企業に提供するために「IDC MaturityScape: The Future of Work 1.0」のモデルを開発し、国内ユーザー企業を対象に定量的に”Future of Workstyle”の成熟度を分析した「IDC MaturityScape Benchmark: Future of Workstyle in Japan, 2020」を発表している。
国内ユーザー企業における”Future of Workstyle”の成熟度
IDCでは、”Future of Workstyle”の成熟度について、「ステージ1:個人依存(Ad Hoc)」「ステージ2:限定的導入(Opportunistic)」「ステージ3:標準基盤化(Repeatable)」「ステージ4:定量的管理(Managed)」「ステージ5:継続的革新(Optimized)」の5つのステージで評価している。
今回の調査では、国内ユーザー企業の約6割はステージ3と、ステージ2に留まっている一方、ステージ4以上の企業も約3分の1と、”Future of Workstyle”の成熟度は高まりつつあるという状況である。
国内Future of Workstyle成熟度ステージ分布
Source: IDC Japan, 10/2020
また、事業計画と”Future of Workstyle”の導入戦略を一体化し、ビジネス成果を上げ始めているリーダー企業と、そうでないフォロワー企業の分布を比べると、その成熟度は大きく異なっていることが見えてきた。
”Future of Workstyle”によってビジネス成果を上げ始めているリーダー企業の72.7%が、ステージ4以上の段階に達している一方、フォロワー企業では64.7%がステージ2以下に留まっていた。
国内Future of Workstyle成熟度ステージ分布:フォロワー企業とリーダー企業の比較
Source: IDC Japan, 10/2020
その意味で国内企業は、”Future of Workstyle”の成熟度の高い企業と低い企業に二分している状況にあると言える。リーダー企業は、特に「ビジョン」に関し”Future of Workstyle”の策定を役員がリードすることで、企業全体で一貫した導入や予算化が進んでいる。ヒト・モノ・カネが潤沢な大企業ほどのこの傾向は強いであろう。
一方、フォロワー企業における「実行力」の成熟度の低さは、シャドーITの蔓延や組織改革に関し、既存の職場環境への固執などによって変革に時間がかかっていることが大きな要因であるとIDCではみている。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューション シニアマーケットアナリストの浅野 浩寿氏は、「”Future of Workstyle”の国内ユーザー企業の成熟度は、その導入戦略によって成果を上げているリーダー企業とそうでないフォロワー企業が二極化している。今後フォロワー企業は”Future of Workstyle”戦略導入を企業トップから率先して進め、単なる働き方改革のみならず、旧態依然とした会社組織を変革しないと、他社との差は今後さらに拡大する可能性がある」と述べている。
今回の発表はIDCが発行したIDC MaturityScape Benchmark: Future of Workstyle in Japan, 2020 にその詳細が報告されている。
評価については成熟度の5段階評価に加えて、5つの特性であるビジョン、実行力、ワークカルチャー、ワークスペース、ワークフォース別に考察している。
本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。
ソース:https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ46961620