MCP(Model Context Protocol)の紹介 – 現代のAIアシスタントのための新しい共通プロトコル

  • 2025/5/19
  • Comments Off on MCP(Model Context Protocol)の紹介 – 現代のAIアシスタントのための新しい共通プロトコル


1. はじめに

近年、AI(人工知能)の技術は急速に進化しており、AIアシスタントはこれまで以上に賢く、頼れる存在になっています。その一方で、実際の業務データや社内システム、さまざまなアプリケーションへアクセスするのはまだまだ簡単ではありません。

この課題を解決するために、Anthropic という世界的なAI企業は MCP(Model Context Protocol)2024年の年末 に発表しました。

MCPは「オープンプロトコル(open protocol)」であり、AIが企業内にあるデータ、ドキュメント、ツールなどに安全かつ効率的にアクセスできるようにする仕組みです。USB-Cがさまざまな機器をつなぐ共通規格であるように、MCP はAIが現実世界とつながるための「共通言語」になることを目指しています。

2. 仕組み

MCPは クライアント・サーバーモデル(Client-Server) に基づいて動作します。ここでは、AIアシスタントやAIアプリケーションMCPクライアント(Client) の役割を果たし、データソースやツールが MCPサーバー(Server) の役割を担います。

処理の流れ

  1. AIがGoogle DriveのファイルやPostgresのデータベースにアクセスしたい場合、対応する MCPサーバー にリクエストを送信します。
  2. MCPサーバーはリクエストを処理し、必要な情報を取得してクライアントへ返します。
  3. MCPクライアントはその情報を受け取り、AIが使える形で返します。

MCPサーバーの役割

  • 標準APIのような存在で、どんなアプリやツールでも MCPサーバー を提供すればAIと連携できます。
  • たとえば、SlackはMCPサーバーを使って、AIがメッセージ、ファイル、ユーザー情報にアクセスできるようにできます。

MCPクライアントの役割

  • AIはMCPクライアントの使い方だけを覚えれば、ツールごとの仕組みを個別に学ばなくてもよいです。
  • 新しいMCPサーバーが追加されると、AIはそれを自動的に検出し、使えるようになるため、操作は非常にスムーズです。

MCPがツール連携を簡単にする理由

  • 以前は、AIがツールを使うために毎回カスタムコードを書く必要がありました。
  • MCPを使えば、ツール側がMCPの規格を守っていれば、一度サーバーを作るだけで他のAIにも再利用可能になります。

3. 現時点での課題

MCPは素晴らしい発想ですが、まだ新しい仕組みであるため、いくつかの制限があります。

1. 標準化がまだ進んでいない

  • 現在のMCPは主に Anthropic とオープンソースコミュニティによって運営されています。より多くのAI企業が参加しない限り、本当の意味での「共通規格」にはなりづらいかもしれません。

2. 開発者への依存度が高い

  • 企業が自社のデータをMCPで利用できるようにするには、MCPサーバーを開発者が構築する必要があります。
  • 開発リソースやプロトコルの知識がないと、導入は困難です。

3. セキュリティとアクセス管理の課題

  • 機密情報にAIがアクセスする場合、認証やアクセス制御、ログの記録が非常に重要です。
  • 現時点でMCPには詳細なアクセス制御機能が十分整備されていないため、導入時には注意が必要です。

4. LM Studioとの連携 – ローカルAIの可能性を広げる

LM Studio は、LLaMA、Mistral、Phiなどの大規模言語モデル(LLMs)を自分のパソコンで動かせる、オープンソースのAI実行環境です。インターネット接続がなくても使えるため、プライバシーや操作の自由度が高いのが特徴です。

この LM StudioMCP を組み合わせることで、以下のようなことが可能になります。

  • 自分専用のローカルAIアシスタント を作成し、社内のファイルやシステムと安全につなげることができます。
  • ネットに依存しない閉じた環境 でAIを動かしながら、MCPを通じて外部の情報や社内リソースにアクセス可能。
  • ニーズに合わせたAI機能 を簡単に追加できる(例:技術サポート、データ分析、秘書的な補助など)。

LM StudioがAIを動かす「エンジン」なら、MCPはAIを現実世界と結びつける「橋」のような役割です。両者を組み合わせることで、安全・柔軟・高機能なAI環境を個人レベルでも構築できます。

5. まとめ – MCPの未来と注目のAIたち

MCP(Model Context Protocol)は、AIがリアルタイムのデータや外部ツールにアクセスするための新しい標準です。これにより、AIは学習済みの情報だけでなく、実際の「今」の情報に基づいた返答やアクションが可能になります。

さらに、LM StudioのようなローカルAI環境と組み合わせることで、より安全で自由度の高いAI利用が実現できます。たとえクラウドに接続していなくても、自分だけの高機能AIを作ることが可能です。

以下は、現在人気のあるAIモデルで、MCPと組み合わせて使えるものの一例です。

  • Claude 3(Anthropic)– 文脈理解が得意で、分析や要約にも強いAI。
  • GPT-4o(OpenAI)– テキストだけでなく画像にも対応した多機能なAI。
  • Gemini 1.5(Google)– 長い会話や複雑なタスクの処理に向いており、Googleサービスとの連携が可能。
  • Mistral / Mixtral – 軽量かつ高性能なオープンソースモデル。LM Studioとの相性も抜群。
  • Phi-2(Microsoft)– 小型モデルながら、日常の会話や質問にしっかり対応できる。

MCPは単なる通信手段ではなく、「AIと現実世界をつなぐ共通土台」です。今後のAI開発や活用において、MCPは欠かせない存在になるでしょう。

この情報は役に立ちましたか?


フィードバックをいただき、ありがとうございました!

関連記事

カテゴリー:

ブログ

情シス求人

  1. システム開発におけるテスト工程の重要性と各テストの役割

  2. チームメンバーで作字やってみた#1

ページ上部へ戻る