システム開発中の仕様変更が与える影響とは?

システム開発をしていると、開発中に仕様変更が発生することは度々あります。良いものを作ろうと常に最適な仕様を模索しているため、システム開発アプローチとしては健全ではありますが、仕様に変更を加えるとどのような影響が発生するか、例を挙げながら解説いたします。

1. 仕様変更とは?

システム開発の途中で、要件定義や設計書で決めた仕様が変更されることを指します。仕様変更は、クライアントの要求や市場の変化、新しい技術の発展など、様々な要因で発生しますが、要件定義や設計段階なら吸収可能なものも少なくはありません。一方開発が進み、実装・テスト工程で仕様の変更が発生するとその多くが追加の工数が必要になるものばかりで工数や費用に影響を及ぼす可能性があります。

・クライアントがターゲットユーザーの要望を反映するために、UIの変更を要求
・開発中に業務が変更になったため、機能の仕様変更を要求

 

2. 仕様変更が開発プロセスに与える影響

仕様変更が発生すると、要件定義・設計・開発・テストの進行にさまざまな影響を与えます。ここでは、主な影響をいくつか挙げていきたいと思います。

a. スケジュールの遅延

最も大きな影響の一つはスケジュールの遅延です。仕様変更に伴い、追加の設計やプログラミング、テストが必要となるため、プロジェクトのスケジュールがずれ込みます。特に開発の後半に仕様変更が発生すると、影響はより大きくなります。
仕様変更は基本的には設計段階までに留めないと、その影響を取り戻す手段が少なくなってしまいますので、フェーズ的に問題ないかも都度判断が必要です。

b. コストの増加

仕様変更による追加作業には人件費がかかり、プロジェクトのコストも増加します。当初からそれなりにバッファがあれば、問題ありませんが、当初の予算内で仕様変更をカバーできない場合、追加の費用交渉が必要になることが多いです。プロジェクトの途中で交渉などが発生しますと、その分開発工程にも影響が出てしまうので、可能な限りバッファ内に収めるようにプロジェクト内での取り決めが必要でしょう。

c. コードの複雑化

途中で仕様が変更されると、既存のコードやアーキテクチャに手を加える必要が出てきます。これにより、コードが複雑化し、保守性が低下するリスクが高まります。また、複数の仕様変更が連続すると、設計が一貫性を失い、バグの温床になることもあります。また、後工程の仕様変更はプロジェクトのリリース時期も決まっており、スピード感も求められてしまうため、場当たり的な対応になってしまうことも珍しくありません。急いてしまうことで品質も低下しますので、仕様変更をするにも余裕を持って対応できない状況なら避けるべきでしょう。

 

3. 仕様変更がチームに与える影響

仕様変更は、開発チームにも心理的および組織的な影響を与えます。開発チームへの影響はスケジュール以外にも品質にも大きく影響するため、仕様変更が与える影響で最も目に見えないものとなります。

a. モチベーションの低下

開発者にとって、仕様変更は当初の設計や実装を見直さなければならないストレス要因です。特に、一度作り上げたものを変更することは精神的な負担となり、モチベーションの低下につながる可能性があります。上流工程の担当者なら理解ではできますが、なかなか開発者の理解を得ることは難しく、なぜ最初からその仕様にしないのかと疑問を持ったまま業務を行うことになります。

b. コミュニケーションの混乱

仕様変更が頻繁に発生する場合、開発チーム内のコミュニケーションに混乱が生じることがあります。変更点が正しく共有されないと、チームメンバーが異なる認識で作業を進めることになり、再作業やバグの原因となることがあります。

c. テストの増加

新しい仕様に基づいてコードを変更する際には、その変更による影響範囲を慎重にテストする必要があります。特に、大規模なシステムでは、ちょっとした仕様変更でも全体に大きな影響を及ぼす可能性があり、徹底的なテストが必要です。またテスト中の仕様変更になると、通常のテストと並行して仕様変更のテストも行うことになり、複雑なテスト工程となってしまいます。

 

4. 仕様変更の管理方法

仕様変更を完全に避けることは難しいですが、影響を最小限に抑えるための管理方法がいくつか存在します。

a. 明確な要件定義

開発の初期段階でクライアントと開発チームの間で要件を明確に定義し、合意を得ることが重要です。曖昧な部分が残っていると、後から仕様変更が発生しやすくなります。また、要件定義段階でどの程度の仕様変更を許容できるか取り決めをしておくと、後々の交渉時にも話はスムーズに進むと思います。

b. アジャイル開発の導入

アジャイル開発では、頻繁にフィードバックを得ながら小さな単位で進行するため、仕様変更に柔軟に対応できます。仕様変更が発生しても、それに合わせてプロジェクトを微調整しながら進めることが可能です。しかし、アジャイル開発でスケジュール的な課題はクリアになりますが、追加で必要なコストは変わりないため、コストに余裕がない場合は、機能単位でしっかり仕様を固める必要があります。

c. 変更管理プロセス

変更要求があった際には、変更の影響を評価し、コストやスケジュールへの影響を十分に検討するためのプロセスを確立することが必要です。これにより、無計画な仕様変更による混乱を防ぎます。変更の影響調査にも工数は必要になってきますので、まずは本当に必要な機能か、優先度などで分類してから、評価をすると良いでしょう。

 

まとめ

システム開発中の仕様変更は、スケジュールやコストに影響を与え、開発チームの生産性やモチベーションにも悪影響を及ぼす可能性があります。しかし、適切な変更管理や仕様変更の評価、事前の仕様変更のボリューム定義を採用することで、その影響を最小限に抑え、プロジェクトを円滑に進めることが可能です。

現実的にシステム開発を行う上で仕様変更をゼロに抑えることは困難を極めます。クライアントとシステム開発チームで事前に合意形成をして、プロジェクトに柔軟な対応力を持たせることが成功の鍵となります。

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