RDBMSと何が違う?NoSQLの基礎知識

  • 2024/8/15
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近年、NoSQLデータベースが注目されています。背景には、デジタル化の進展とデータ量の急増があります。今回は、NoSQLデータベースの基本的な概念と特性を紹介し、リレーショナルデータベース(RDBMS)との比較を通じてその利点と適用シナリオについてまとめてみました。

NoSQLとは?

NoSQL(”Not Only SQL” と言われています)は、従来のリレーショナルデータベース管理システムの制約を超えて設計されたデータベースシステムです。NoSQLデータベースは、特にスケーラビリティ、柔軟性、性能の要求が高い現代のアプリケーションに対応するために開発されました。RDBMS以外のデータベース管理システムを総称してNoSQLと呼んでいます。

主な特徴

スキーマレス
NoSQLデータベースは、データモデルが固定されておらず、事前にスキーマを定義する必要がありません。これにより、データ構造が変更されても対応しやすくなります。

スケーラビリティ
水平スケーリング(複数のサーバーにデータを分散して管理すること)が可能で、大量のデータや高トラフィックを処理できます。

データモデルの多様性
ドキュメント指向、カラム指向、キー・バリュー型、グラフ型など、さまざまなデータモデルをサポートし、特定のユースケースに最適化されています。

なぜNoSQLが注目されているのか

NoSQLが注目される理由とその背景をあげてみます。

ビッグデータとクラウドコンピューティングの普及
ビッグデータの時代に入り、企業や組織は大量のデータを収集・分析する必要があるようになりました。クラウドコンピューティングの普及も相まって、データの量と処理のスケールが大幅に拡大しています。NoSQLデータベースは、これらの要件に応えるために設計されており、水平スケーリングを通じて大規模データの処理をサポートします。

リアルタイムデータの重要性
現代のアプリケーションでは、リアルタイムでデータを処理することが求められます。NoSQLデータベースは、インメモリデータベースや高速なデータアクセスを提供し、リアルタイムの要求に応えることができます。これにより、ユーザー体験の向上や迅速な意思決定が可能になります。

スキーマの柔軟性
データモデルが頻繁に変わる場合や、事前にスキーマを定義するのが難しい場合には、NoSQLデータベースのスキーマレスな特性が有利です。これにより、開発プロセスがスムーズになり、新しい機能やデータの追加が容易になります。

多様なデータモデルの必要性
データの種類が多様化する中で、従来のリレーショナルデータベースでは対応しきれないユースケースが増えています。さまざまなデータモデルが提供されているため、特定の要件に適したデータベースを選ぶことができます。

代表的なNoSQLデータベース

MongoDB
ドキュメント指向型データベースの代表格で、データを柔軟なJSONのようなドキュメントに保存します。スキーマレスで柔軟なデータモデルを提供します。
ドキュメント指向型とは、データを文書(JSONやBSONなどのドキュメント)として扱うデータベースモデルで、文書は階層構造を持つことができます。ドキュメント形式の複雑なデータをそのまま扱えることがメリットです。インメモリストレージエンジンを使用することもできます。

Cassandra
カラム指向のデータベースで、特に大規模なデータセットの管理と分散処理に適しています。カラム指向データベースとは、データをカラム(列)単位で保存し、効率的に読み書きするデータベースモデルです。列方向にデータをまとめて扱うため、特定の列の値をまとめて処理することに非常に長けています。大規模データの効率的な列単位での読み書きが可能です。

Redis
キーバリュー型データベースです。データは「キー」と「バリュー」のペアとして保存されます。このシンプルなデータモデルにより、データの取得、更新、削除が非常に効率的に行えます。

インメモリ型のデータベースでもあり、非常に高速なデータアクセスを提供します。インメモリ型データベースとは、データを主にRAM(ランダムアクセスメモリ)に保存し、ディスクI/Oの遅延を回避するモデルです。

Neo4j
グラフ型のデータベースです。グラフ型のデータベースは「ノード」「エッジ」「プロパティ」の3要素でデータ同士の関係性を表現します。データをエンティティと関係性のネットワークとして保存するため、データ同士の関係性が複雑な場合に威力を発揮します。SNSの人とのつながりや、購入履歴からオススメの抽出などに役立ちます。

NoSQLとRDBMSの比較

NoSQLデータベースとリレーショナルデータベース管理システム(RDBMS)には、以下のような違いがあります。

特性 NoSQL RDBMS 
データモデル ドキュメント、カラム、キー・バリュー、グラフ 表形式テーブル(行と列)
スキーマ スキーマレス
(柔軟性あり)
固定スキーマ
(事前に定義)
スケーラビリティ 水平スケーリング
(サーバー追加で対応)
垂直スケーリング
(サーバー性能の向上)
トランザクション ACIDトランザクションをサポートするものもある 強力なACIDトランザクションサポート
クエリ言語 独自のクエリ言語やAPI
(SQLではない)
SQL
データ整合性 一貫性よりもパフォーマンス重視 一貫性と整合性を強く保証
データアクセス 高速なデータアクセス
(特にインメモリ型)
トランザクションの整合性を重視したアクセス

NoSQLの適用シナリオ

特徴やRDBMSと違いなどから、NoSQLデータベースは以下のようなシナリオに適しています。

大規模データの処理
大量のデータを扱う場合や、高いスケーラビリティが求められるアプリケーション(例えば、ビッグデータ分析やソーシャルメディアプラットフォーム)

スキーマの頻繁な変更
データモデルが頻繁に変更される場合や、スキーマが柔軟である必要がある場合(例えば、Eコマースプラットフォームのカタログデータ)に有効です。

リアルタイムデータ処理
高速なデータアクセスやインメモリデータベースが必要な場合(例えば、セッション管理やキャッシュ)。

複雑な関係性の分析
データ間の複雑な関係性を扱う必要がある場合(例えば、ソーシャルネットワークや推奨システム)に強みを持つグラフデータベースが有用です。

まとめ
NoSQLデータベースは、リレーショナルデータベースの制約を超えて設計されたデータベースシステムで、特にスケーラビリティや柔軟性を重視しています。RDBMSと比較すると、データモデル、スケーラビリティ、トランザクション処理、クエリ言語などの面で異なる特性を持っており、用途に応じた最適なデータベース技術の選択が求められます。NoSQLの特性を理解し、適切なシナリオで活用することで、効率的なデータ管理と高いパフォーマンスを実現することができます。

参考サイト
https://aws.amazon.com/jp/nosql/graph/
https://www.imagazine.co.jp/12805-2/
https://www.kagoya.jp/howto/it-glossary/server/nosql/

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