【徹底比較】Webブラウザ最新事情・2019年版
平成の時代となり動き出したインターネット。この普及に伴い、全国津々浦々の家庭や企業まで利用が広まっていったWebブラウザ。2019年となった今、ブラウザは安全なブラウジングに役立つさまざまな機能を有しています。そんなブラウザの最新事情や、IE、Edge、Firefox、Chromeといった主要ブラウザについて情シス目線からその特徴をご紹介します。
この記事の目次
今、あらためてWebブラウザを考える
クラウドサービスの利用が加速、またWindows 7のEOSによりWindows 10への乗り換えが進む2019年。そんな今だからこそ、改めてブラウザについて考えてみたいと思います。
ちなみに「Windows 10にはなぜWebブラウザが2つもプリインストールされているのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか? そして特に情シス担当者は、「Internet Explorerはいつまで使うことができるのだろう?」と思っているかもしれませんね。
インターネットを使う入り口であるWebブラウザは、企業内でも使用頻度の高いアプリといえるでしょう。現在、WebブラウザにはGoogle Chrome(以降Chrome)、MicrosoftのInternet Explorer(以降IE)とEdge、Mozilla Firefox(以降Firefox)、AppleのSafari、Operaなど様々なベンダーのブラウザが存在しています。OSプリインストールのWebブラウザだけではなく、多くの選択肢が用意されているのです。
Webブラウザの最新機能対応状況
現在、大方のWebサイトはHTML/XHTML・CSSなどのWeb標準仕様に沿って作られています。こうした標準仕様は、ユーザーがどのブラウザを使っていても問題なく表示が行えるためのものです。そしてもちろんWebブラウザ側でも、そうしたWeb標準に対応していることが前提となります。
どのAPI/機能にどのブラウザが対応しているかはcaniuse.comといったサイトで調べることができます。2019年5月の現行バージョンで比較すると、Chrome、Firefox、Operaは多くの機能に対応していることがわかります。先進的で体力のあるGoogle開発のChrome、オープンソースで開発速度も速いFirefox、インターネット黎明期に誕生し長く発展を続けてきたOperaは新機能取り入れに積極的であるといえそうです。iOSのデフォルトブラウザのSafari、歴史の浅いEdgeは、対応機能数では若干の後れを取っている状況といえます。また、すでに新規開発中止となったIEは、最新の機能に関して非対応が多いです。
ただしEdgeは、IEに代わるWebブラウザとしてMicrosoftが積極的に開発を行っているため、今後のアップデートで対応機能が増えていくことが予想されます。
(データ出典:caniuse.comより、ブラウザごとの機能対応比較)
Webブラウザに期待することは?
企業で使うときに注意したいポイントや使いやすさなど、情シスがWebブラウザに期待することをもう少しブレークダウンして比較してみましょう。
比較するブラウザは企業でよく使われているIE、Chrome、Edge、Firefoxです。
<比較ポイントその1、特徴>
同じWebブラウザといっても、それぞれに特徴的な機能があります。業務に合った機能を有するブラウザを選べば、業務の効率化につながります。
また、最新の機能を備えているか(新しいWebサイトなどの機能を使えるか)なども確認しておきたいところです。
<ポイントその2、セキュリティ・管理面>
インターネットは便利で欠かせない反面、サイバー犯罪との接点にもなってしまうものです。日々更新されていく悪質サイトやフィッシング詐欺などから企業を守るため、セキュリティ機能はWebブラウザ選びの最も重要なポイントと言えるのです。また、そうしたセキュリティ機能を有効にしているかなど、情シス側である程度管理できることが必須となります。
<その3、使いやすさ>
ユーザーの操作性を向上させることができるような、性能、UIのわかりやすさ、カスタマイズ機能などです。また、よく使いかつ長期にわたって使うアプリなので、安定して使うことができるかがポイントとなります。
各ブラウザを比較してみる!
さて、前述したような比較ポイントで各ブラウザを見ていきましょう。
かつての王者、Internet Explorer
MicrosoftのWebブラウザとして、Windows 95時代から長く使われてきました。2000年代は80%以上のシェアを誇り、欧州では度々独占禁止法で訴訟になることもあったくらい。その為、企業・組織のWebサイトもIE向けに作られたものが多いのが現状です。しかしながらMicrosoftは、現在のIE11を最後にメジャーバージョンアップを行わないことを宣言しており、IEの使用は現バージョンまでということになります。対応OSはWindowsです。
<特徴>
ブラウザの機能や設定可能項目が多く、Windows 10にも標準採用されています。
過去の圧倒的シェア率からIEしか使えないサイトも残存していますが、MicrosoftはユーザーへIEからEdgeへの切り替えを促しています。「ではIEはもうすぐ使えなくなるの?」というとそうではありません。最新のIE11はサポートが続いており、インストールされているOSの今後のセキュリティバージョンアップにも含まれるため、しばらくは現行のものを使い続けることが可能です。ただ、それがいつまで続くのかは表明されていません。
<セキュリティ・管理>
IEは新しいWeb標準をサポートしないことなどから、今後セキュアなブラウザではなくなっていきます。今もIEをデフォルトブラウザとして使っている場合は、Microsoftの呼びかけ通り、他のブラウザに乗り換えることを検討すべきでしょう。
<使いやすさ>
これも前述の通り、今後終息していくだろうブラウザなので、過去使いやすかったとしても良い評価はできません。
パソコンでもAndroidでも、安定のGoogle Chrome
2019年4月時点で約65%、過去意1年間でも安定して60%程度の圧倒的シェアを誇るChrome。対応OSはWindows、Linux、macOS、Android、iOSです。
(データ出展:NetMarketShare、ブラウザシェア率)
<特徴>
Chromeの機能上の特徴は、Googleアカウントとひもづいていることで、デバイスが異なっても同じブラウザ設定を使えることです。また、頻繁に最新機能の取り入れがされている傾向があります。またオプションの拡張機能が豊富に公開されており、ユーザーが自分の好きなようにカスタマイズしやすいこともメリットです。
<セキュリティ・管理>
企業版のChrome Enterpriseでは、G Suite管理機能やGoogle Update管理機能を通して情シス側で一括管理ができます。セキュリティポリシーの自動適用や、入れてはいけないソフトウェアリストなどを一括管理することができます。また、Chrome自体にサンドボックス機能があり、悪質なWebサイトに行き当たってしまったとしてもマルウェアのインストールなどを避けることができます。
履歴を残さないプライベートブラウジング機能があります。Googleアカウントにひもづけられたユーザーの閲覧履歴は端末間で共有されてしまい、時として隣の同僚に検索履歴を見られてちょっと恥ずかしい思いをすることがあります。しかしながらシークレットモード、ゲストモードと呼ばれる履歴を残さないプライベートブラウジング機能でそういったことを防止でき、プライバシーにも配慮されています。
また、6週間以下の間隔で更新され、頻繁にセキュリティの最新パッチを受けられます。
<使いやすさ>
Google謹製のシンプルで使いやすいUIです。また、豊富なアドオンでより個人が使いやすい形にすることができます。
Microsoftの新定番、Microsoft Edge
今バージョンで終了するIEの跡を継ぐのがEdgeです。機能が盛りだくさんであったIEから使用頻度の低い機能をそぎ落とし、軽量化が図られています。対応OSはWindows 10、Android、iOSです。
<特徴>
Windows 10から標準採用され、CortanaアシスタントやOneDriveなどのMicrosoftツールとの連携が可能です。Windows 10のタスク一覧と同じように、開いているタブを画像で一覧できるタブプレビュー機能があります。
2019ビルドと呼ばれる次バージョンからIEとの完全互換性のある「Internet Explorer mode」を備え、本格的にIEからの移行が進むことになります。
<セキュリティ・管理>
セキュリティ面では、「Microsoft SmartScreen」というスパムフィルター機能があり、悪質な Web サイトの訪問時に警告を発してくれます。
Microsoftの端末管理機能Intuneやグループポリシーによって、ブラウザ設定を一括管理することができます。
<使いやすさ>
IEに慣れたユーザーには若干の違和感もありますが、機能がシンプルになっていることで全体としては使いやすくなっているといえます。何より、Windows 10の各機能との連携が取れるので、Microsoftのツールを使うにはEdgeが最適でしょう。
オープンソースブラウザの草分けMozilla Firefox
高速で軽快なブラウザといえばFirefox、仕事で使っているIT関係者も多いのではないでしょうか。対応OSはWindows、Linux、macOS、Android、iOSです。
<特徴>
フリーで使えるオープンソースブラウザです。1990年代のインターネット黎明期に圧倒的シェアを誇っていたNetScapeブラウザの流れをくむブラウザとして2004年に「Mozilla Firefox」は誕生しました。2017年にリリースされたバージョンのFirefox Quantumは、強力なエンジンを搭載しさらに「Chromeより30%軽量」(メモリ使用量)とFirefox公式HPで謳っています。
(データ出典:Firefox公式ブログより、性能計測結果)
また機能的な特徴として、スクリーンショットの撮影、保存、共有の機能があります。メニューを選択するだけで、ページ全体または一部だけを自由に選択して簡単に保存することができます。また、インストールして Firefox をパーソナライズできる無料のアドオンが、世界中の開発者によって何千種類も作られています。楽しいデザインのテーマや、ブラウジングをより早くより安全にするツールや機能まで、アドオンを使うことで自分だけのブラウザーが構築可能です。
<セキュリティ・管理>
セキュリティ機能は、トラッキングの防止や履歴を残さないプライベートブラウジングが搭載されています。悪質サイトの警告や、ダウンロードファイルの確認機能もあります。
「Policy Engine」という機能があり、情シスでのポリシーの一括管理を行うこともできます。また、メジャーアップデートが年に7回のペースで配布され、最新機能の取り入れができます。
<使いやすさ>
省メモリで、タブが増えてもストレスなく使えます。
また、Firefox Accountsというユーザーアカウントを用意することで、端末間同期も可能です。
まとめ
インターネットが日本に上陸してから約35年。その技術の進歩とともにWebブラウザは進化を続けてきました。今回比較したWebブラウザは、機能が安定していてセキュリティ面でもさまざまな対策がなされています。(といっても、選択肢としてはIE以外の3つがよさそうです。)
Googleアカウントとの連携が便利なChrome。Windows 10との強力な連携機能を持つEdge。そして、NetScapeの流れをくみ、オープンソースでベンダーに縛られず、動作も軽いFirefox。特にセキュリティ面では各ブラウザとも続々と新機能を取り入れており、今後もその進化に注目していきたいところです。
【執筆:編集Gp 星野 美緒】