“特権アカウント”のセキュリティで日本市場を本格攻略 サイバーアークが日本法人設立
- 2017/2/22
- セキュリティ
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日本市場のビジネス展開について説明する本富顕弘・執行役員社長
「特権アカウント」とは、企業の情報システム部門やシステム開発部門などで責任者が会社内のシステムなどに全て入ることができる「管理者権限」のIDやパスワードなどを指す。
特権アカウントは、企業のPCやタブレットなどの端末、企業のITシステムだけではなく、クラウドサービスやオンプレミス型のデータセンター、IoT(モノのインターネット)、電力などのエネルギー施設・工場など「あらゆる企業のITで使われている」(本富顕弘・執行役員社長)という。
「特権アカウント」はあらゆるITシステムで使われている(サイバーアーク ソフトウェアの説明資料より)
サイバーアークソフトウエアによると、現在のサイバー攻撃の90%以上が、この特権アカウントを入手して認証情報を乗っ取り行われており、攻撃者は長い場合には数か月をかけて企業のITシステムや顧客情報などのビジネス資産へのアクセス方法を調べて、重要なデータを盗み出しているという。
90%以上のサイバー攻撃が特権アカウントを利用している(サイバーアーク ソフトウェアの説明資料より)
また、ネットワークやPCなどでセキュリティソフトを導入していても、管理には特権アカウントが使われているため「セキュリティソリューションを入れていても特権アカウントが乗っ取られてしまえば決して安心といえない」(同)という。さらに、グローバール企業などでは「数%はいる」(同)という悪意を持った社員が内部から特権アカウントを利用して不正行為をするケースもあるという。
サイバーアークでは、特権アカウントを利用した企業や組織への攻撃が世界的に増えており、日本企業もグローバル化で海外進出が加速するなどで、アカウントの管理が複雑になっており、保護をするニーズが高まっていると見て、国内市場の本格的な攻略に乗り出す。
ソリューションの核となる技術の「セキュアデジタルボルト」
同社は特権アカウント保護に特化したセキュリティソフト会社。「セキュアデジタルヴォルト」と呼ぶ、システムで特権アカウントを管理するプラットフォーム技術を核にセキュリティソリューションを展開。特権アカウントのパスワードを管理し随時変更する「エンタープライズヴォルト」、SSHキーを管理する「SSHキーマネジャー」、特権アカウントが不正に利用されていないかを監視する「プリビレッジド・スレット・アナリティクス」など7種類のソリューションを販売する。
特権アカウントセキュリティソリューションの一覧
価格は、組み合わせにもよるが、大企業が導入した場合、システム導入で1000万~数千万円。海外拠点などを設けている中堅・中小企業向にはクラウド形式でサービスを提供する。この場合、価格は月額で数十万円になる。いずれの形式での利用でもオンプレミスでの「セキュアデジタルヴォルト」の導入が必要で、価格は800~1000万円程度。国内ではすでに金融や製造業などで30社が導入しているという。
サイバーアークでは日本市場の攻略に向け2017年1月に日本法人を設立。「フォーブス・グローバル2000」に入っている日本企業220社のうち100社をターゲットに販売する。国内の大手企業の開拓に向け、マグニカソリューションズやディアイティなど7社の販売会社と手を組んだ。2017年度には新規ユーザーを30社、販売会社を20社まで増やす狙い。
「当社は特権アカウントセキュリティの専業会社で、他社にない技術を持っている。それが強みだ。これからは特権アカウントの啓もうを行いながら、国内大手企業への導入を働きかけていく」。本富顕弘・執行役員社長は会見でこう抱負を述べた。
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