【スマートフォン&モバイルEXPO 春】実用間近のスマートグラス コニカミノルタ

  • 2016/5/23
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2016/05/23

コニカミノルタが出展したウェアラブルコミュニケーター「WCc」は、外観は至ってシンプル。レンズのない、ストレートなメガネフレームの右眼部分に、小さなディスプレイが取りつけられている。

コニカミノルタのウェアラブルコミュニケーター「WCc」

コニカミノルタのウェアラブルコミュニケーター「WCc」

「開発は20年ほど前から進めていた。これは『ウェアラブルPC』という言葉が広まる前からになる」と、柴谷一弘・事業開発本部事業推進部第2推進マネージャーは説明する。現在は開発段階が終わり、実証試験を繰り返しつつ、最後の詰めに入っている状態だという。

42インチのカラーディスプレイが目の前に

ウェアラブルタイプのディスプレイは、「軽さ」と「透過性」が課題になる。また、長時間の使用が苦にならず、通常の視界を遮ることなく、高画質で見た時の画面が大きいことも求められる。こうした課題をクリアするため、WCcでは独自開発のHOE(ホログラフィック光学素子)を使用。それを透過性の高い透明プリズムと組み合わせ、フレームにセットした。

 

2.5メートル先に42インチのカラーディスプレイが浮かんで見える

2.5メートル先に42インチのカラーディスプレイが浮かんで見える

上部のユニットから投影された映像はプリズムの中を反射してHOEに届く。HOEは特定波長の可視光線だけを通過させ、絵像を結ぶ。HOEは凸レンズと同様、拡大表示させる特性を持っている。そのため、グラスをかけた人から見ると、透過性の高い鮮やかな映像が宙に浮かんで見える。「使用者の2.5メートル先に42インチのカラーディスプレイが浮かんでいる。そのような感覚です」と、柴谷マネージャーは言う。

産業ユースの実証試験で手ごたえ

WCcは倉庫でのピッキング作業などの産業ユースを想定している。「紙のリストを手に歩き回るよりも、はるかに効率がよくなる」(柴谷マネージャー)といい、バーコードリーダーと組み合わせれば、さらに作業効率が高まるという。

柴谷一弘・コニカミノルタ 事業開発本部事業推進部第2推進マネージャー

柴谷一弘・コニカミノルタ 事業開発本部事業推進部第2推進マネージャー

同様に、製造ラインでの組み立て作業にも有効だという。「1つのラインで多品目を組み立てる時など、その時々で変わる品目の情報をWCcに映し出せば、作業負荷を大きく軽減することができる。作業員の教育にかける時間とコストを抑えて、ミスを減らして生産性の工場にも貢献できる」と、柴谷マネージャーは胸を張る。

ディスプレイはコントロールボックスに接続されており、無線LANでサーバーとの接続も可能だ。TVやスマホなどの画面を映し出せる。カメラも内蔵されており、産業ユースで考えても、使い方はかなり広がりそうだ。自分が見ている状況を撮影して指示者に送り、指示を仰ぐという遠隔作業支援といった用途は、多くの分野に活用できるだろう。実際、コニカミノルタでは「4月からは実証試験を行っており、現場での評判も上々。明らかな手応えを感じています」(柴谷マネージャー)という。

実用化に向けて「今後はデバイスだけではなく、ソリューションとして、アプリケーションの部分も考えていく必要がある。どんな情報が、どのタイミングで必要になるのか。使用する状況に合わせて考えていくことが大事になる」と、柴谷マネージャーは話す。

同社では、そのためにニーズのある現場に深く入り込み、ワークフローを学ぶことが重要だと考えている。WCcは今年の秋には発売を予定しており、それまでにどれだけの蓄積ができるかが勝負になる。

コニカミノルタではWCcを全面に押し出しブースを展開していた。

コニカミノルタではWCcを全面に押し出しブースを展開していた。


コニカミノルタ
http://www.konicaminolta.jp/


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