【情シス講座】決裁獲得メソッド 第5回 ITが苦手な社長に伝わる稟議書のポイントとは?!

2016/01/28

自社の経営トップにシステムの新規導入や改善など社内提案を行なう時、「大きな決裁の壁」にぶつかってしまうことがありませんか? ビジネスには敏感だけどITには詳しくない経営上層部への提案ポイントの入り口をお話しします。

稟議書を書いているイメージ画像

情シス担当者のみなさんは稟議書を書いて提出するでしょう。ところがIT苦手社長は「よくわからない」という理由で却下したりします。もちろん稟議内容がダメダメな場合は仕方ないのですが、必要なシステム改修を提案したのに「ええ! なんで?」ということはありませんか? 今回は稟議書作成のポイントを考えてみましょう。

IT苦手社長にとってデジタルに関することは単なるコスト?

決めつけては申し訳ないのですが、自分が接してきた中小企業で、とくに「もの」を取り扱う経営者は、目に見えない「デジタルに関すること」を軽視する傾向がありました。「デジタルに関すること」とは、つまりシステムそのものだったり、Webサイトだったりしますが、それらを「単なる金食い虫」と決めつけている可能性があります。なので、情シス担当のあなたが「セキュリティを強化する必要が……」とか「マイナンバー対策でシステムを改善する必要が……」などと言っても渋い顔をされるのです。

こういう社長には、ITが現在のビジネスに深く関わっていることを啓蒙するのが本筋ですが、それには時間がかかりますし、社長に納得いただくのは容易なことではないでしょう。しかし、ビジネスは動いています。社長の覚醒を待っているわけにはいきせんから、情シス担当者のみなさんが工夫するのが現実的な解決策になるでしょう。

ITが苦手な社長のことばかり書きましたが、みなさんの稟議書の書き方にも工夫が足りないところもありませんか? 再三このコラムで述べてきましたが、ITが苦手な相手であるとわかっているにもかかわらず専門用語を並べてわかりにくくしたり、費用対効果が把握しづらくなったりしていませんか?

稟議書の必要事項と工夫ポイントとは?

大企業では決まったフォーマットの稟議書があると思います。中小企業ではとくに決まったフォーマットがないかも知れません。どちらにしても稟議書に必要な項目は以下のようなものでしょう。

  1. 件名
  2. 稟議内容
  3. 理由
  4. 必要予算
  5. 添付資料

フォーマットが決まっていてもフリーであっても、工夫できるのは次の3つです。

  1. 平易 ~ 相手目線の「文章」
  2. “お金が見える化” ~ 直感的に伝わる「理由」
  3. “我が事”としてとらえてもらう ~ 決裁を促す「添付資料」

「平易・お金が見える化・我が事」で稟議書作

稟議書の図

(1)平易 ~ 相手目線の「文章」

みなさんが普通に使っている「オンプレミス」とか「ページビュー」などという言葉もITが苦手な社長には伝わらない場合が多いです。専門用語を避けた「相手目線」の文章を心がけましょう。たとえば、使う場合に「オンプレミス(我が社でシステムを保有して運用)」とか「ページビュー(Webサイトが閲覧された回数)」などとカンタンな注釈をつけます。面倒かも知れませんが、稟議を通す苦労と比較したら頑張れるはずです。ITが苦手な社長への啓蒙だと考えるとよいです。

(2)“お金が見える化”~直感的に伝わる「理由」

第3回 IT苦手社長には“お金の見える化”で鉄板提案』でお話ししたように、ITが苦手な社長に限らず、経営トップには「お金の損得を見える化」して話すと理解が早いことが多いです。つまり、「システムがこのままならこれだけの損失」「システムにこれだけ投資して改修すれば、損失をこれだけ抑えられる(あるいは●●カ月語に投資分を差し引いてもプラスになる)という比較を提案すれば、ITが苦手な社長の決断は早いです。先に述べたように、デジタルはコストばかりかかる金食い虫だと思っている可能性が高いので、そこをつくのです。

(3)“我が事”としてとらえてもらう ~ 決裁を促す「添付資料」

言い方は悪いですが、「不安をあおる」添付資料をつけ、「うちはまずいな」と“我が事”と感じてもらいます。『競合他社ではこんなに進んでいて、このままでは自社はおいていかれる事例』『システム投資を怠ったために起きた大きな情報漏えい事故の事例』など、「わたしが勝手に言っていることではなくて、こんなリスクがあるようですので、あえて提案させていただきました」と丁寧に言い添えましょう。

「うちの会社のトップはこんな工夫をしなくても、システム投資に理解があるよ!」という企業であれば、まったく必要のないことばかり述べたかも知れません。しかし、実際はなかなかきびしいものです。必要なシステムへの投資であればどんどん提案すべきですが、ちょっと稟議書を工夫して、決裁がスムーズにおりるように考えましょう。

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