常に新しい用語が生まれてくる情報システム部門は、全ての用語を正しく理解するのも一苦労。ましてや他人に伝えるとなるとさらに難しくなります。本用語辞典では数々のIT用語を三段階で説明します。
一段目 ITの知識がある人向けの説明
二段目 ITが苦手な経営者に理解してもらえる説明
三段目 小学生にもわかる説明
取り上げる用語を“知らない”と思った人は、小学生にもわかる説明から読んでみると、理解が深まるかもしれません!?
一段目 ITの知識がある人向け 「クラウド」の意味
インターネットを経由して、データセンターなどに設置されているサーバーなどのコンピューター資源を使うのがクラウドの概念を指す。正確には「クラウドコンピューティング」という。技術的には大きく3つの種類に分けられる。
1つめは、以前はASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)と呼ばれていた、メールやグループウエアなど、アプリケーションソフトウェアをインターネット経由で提供するサービス。「SaaS(Software as a Service)」という。代表的なものとしては、グーグルのGメール、マイクロソフトのOffice onlineなどが挙げられる。
2つめはアプリケーションサーバーやデータベースなど、アプリケーションのプラットフォームを提供するサービス。「PaaS(Platform as a Service)」と呼ばれる。アマゾン・ドットコムが提供するAmazon Web Service(AWS)のAmazonS3や、マイクロソフトのAzure、グーグルのGoogle App Engineが代表的なPaaSである。
3つめはデータセンターにあるサーバーそのものを提供するサービス。「IaaS(Infrastructure as a Service)」といわれている。IaaSではユーザー自身でOS(基本ソフト)などをインストールし、自由にカスタマイズして使うことができる。以前からホスティングという形でレンタルサーバー事業者が行なってきたサービスは、このIaaSの1つにあたる。近年ではAWSのAmazonEC3のように仮想化技術を生かし、コンピューター資源の利用量による従量課金制のサービスも増えている。
二段目 ITが苦手な経営者向け
パソコンが普及してから、コンピューターを使う時は、手元にあるPCや、社内にあるサーバーを利用するのが一般的でした。これをクラウドに対して「オンプレミス」といいます。しかし、インターネットの普及と高速化によって、インターネット経由でコンピューターを利用することが実用的になってきたことで、2000年代に入り実用的なクラウドコンピューティングのサービスが普及し始めました。
クラウドコンピューティングのメリットは「コンピューター資源(アプリケーションやサーバーなど)を必要な時に必要なだけ使うことができる」ということです。
例えば、事業拡大で急にユーザー数が増えた場合など、これまでは買い足したPCに、アプリケーションをインストールしたり、サーバーを買い足したりしていました。しかし、クラウドを活用することで、極端な場合、クリック1つでユーザー数を増やしたり、サーバーを増やしたりすることも可能になります。
三段目 小学生向け
みなさんはスマホのゲームをしたことはありますか?
普通、ゲームは家に置くタイプのゲーム機や携帯型のゲームとソフトのカートリッジを買って遊びますよね。そして、ゲームがどこまで進んだかなどのデータは、そのゲーム機に保存します。だから、もしゲーム機が故障したら、それまで遊んでいたゲームの記録も全部が消えてしまいます。そうなったらがっかりですよね。
しかし、スマホのゲームは違います。スマホでは、ゲームアプリをダウンロードしてゲームを楽しみます。そして、遊んだゲームのクリアした「面」や点数などは、実はゲーム機ではなくて別の場所にあるコンピューターに保存されているのです。
それが「クラウド」という場所です。この場所にコンピューターがあります。このクラウドのコンピューターに自分が遊んだゲームのデータが保存されています。「クラウド」とは英語で「雲」のことをいいます。「雲」のように遠い所にあることから、こういわれているのです。
スマホのゲームは始める時にデータをスマホが通信してクラウドから保存したゲームのデータを持ってきて、ゲームが終わったら、そこまで遊んだゲームのデータをクラウドに戻すと仕組みなのです。そのため、もしスマホが壊れても別のスマホに同じゲームアプリを入れれば、データを呼び出してゲームの続きができるのです。これだと安心ですよね。このように、クラウドは皆さんの身近なところで、すでに使われているのです。