セキュリティリテラシーとは、情報セキュリティに対する適切な知識や取り扱い能力を指す用語です。企業で働くご担当者の方にとっては「言葉自体はある程度わかるが、どうしたら社内のセキュリティリテラシーを高められるのかわからない」という方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、セキュリティリテラシーの概要や重要性、向上させる方法などを解説していきます。
この記事の目次
セキュリティリテラシーとは?
はじめに、セキュリティリテラシーの概要や重要性について解説します。
・セキュリティリテラシーの概要
セキュリティリテラシーとは、情報セキュリティに関する正しい知識を持ち、社内の機密情報などを適切に取り扱う能力を指す言葉です。
リテラシーはもともと「読み書きができる能力」を指す言葉であり、そこから情報セキュリティ分野に転じてセキュリティリテラシーという言葉が使われるようになりました。
・セキュリティリテラシーの重要性
セキュリティリテラシーは、社内の機密情報や顧客の個人情報を守るうえで非常に重要です。万が一、機密情報や個人情報が流出した場合、企業の信用失墜につながります。状況によっては、企業存続が危ぶまれる事態となってしまいかねません。
特に近年はテレワークの普及によって、オフィス以外の各拠点からインターネットに接続して業務を行うようになりました。拠点の多様化に伴い、サイバー攻撃のリスクも高まっています。
したがって、一人ひとりの社員が高いセキュリティリテラシーを持って社内情報を管理することが求められています。
サイバー攻撃の例
ここでは、サイバー攻撃の例を紹介します。情報処理推進機構(IPA)の「情報セキュリティ10大脅威 2022」によると、組織における情報セキュリティの脅威のトップ3は以下のとおりです。
- 第1位:ランサムウェアによる被害
- 第2位:標的型攻撃による機密情報の窃取
- 第3位:サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃
たとえば第1位のランサムウェアによる被害では、パソコン内の重要なファイルをロックし、解除の代わりに金銭を要求するサイバー攻撃などが考えられます。
また、第2位の標的型攻撃による機密情報の窃取では、特定の組織をターゲットに偽りのメールを送り、機密情報を盗み取る攻撃事例などが挙げられます。
セキュリティリテラシーを向上させる方法
従業員のセキュリティリテラシーを向上させるためには、主に以下の2つの方法があります。
- 定期的なセキュリティ教育の実施
- 標的型メールの訓練
①定期的なセキュリティ教育の実施
サイバー攻撃の事例やパスワードの管理方法など、定期的なセキュリティ教育を社内で実施することが大切です。テレワークが普及する環境下では、e-Learning形式だと実施しやすいでしょう。
パスポートの管理方法などについては、以下の関連記事も合わせて参考にしてください。
関連記事:「パスワード漏洩のチェック方法4種類を解説!漏洩原因と事例も紹介」
②標的型メールの訓練
サイバー攻撃の一種である標的型メールは、巧妙な手口で従業員を騙そうと仕掛けてくるケースも少なくありません。実際に標的型メールがきた際にも冷静に対処できるよう、日頃から標的型メールなどの訓練を行うことが重要です。
セキュリティリテラシーだけに頼らない職場環境の整備も大切
前述のとおり、セキュリティリテラシーを高めるためには、従業員への定期的な教育や訓練が重要です。ただ、従業員のセキュリティリテラシーを高めることは非常に重要であるものの、ヒューマンエラーを完全になくすことはできません。
社内の大事な情報をしっかりと守るためには、従業員のセキュリティリテラシー向上と合わせて、社内情報を守るための職場環境の整備も大切です。
たとえば、以下のようなセキュリティ対策は職場全体で実施していくことが求められるでしょう。
- パソコンの定期アップデートやセキュリティソフトの導入
- パソコンやプリンターなどの各機器に対する認証システムの導入
- テレワーク時のパソコンなどの持ち出し管理ルールの制定・徹底
パソコンのOSやアプリケーションを最新状態にアップデートし、マルウェア対策などのためにセキュリティソフトの導入をしましょう。また、認証システムを導入して不正アクセスを防止することも肝要です。
加えて、テレワークが増えている近年では、情報漏えいを防ぐためにパソコンなどの持ち出し管理ルールを制定することも大事なポイントです。
まとめ
テレワークの普及などで拠点の多様化が進む近年では、これまで以上にセキュリティ対策を行うことが求められます。
そのためには、企業の土台ともいえる従業員のセキュリティリテラシー向上が不可欠です。定期的なセキュリティ教育の実施や標的型メールの訓練などを通じて、従業員のセキュリティリテラシー向上を図っていきましょう。
加えて、セキュリティソフトの導入やパソコンなどの持ち出し管理ルールの制定・徹底により、従業員のセキュリティリテラシーだけに頼らない仕組みづくりも重要です。
従業員のセキュリティリテラシーを底上げしつつ、十分なセキュリティを保った職場環境を整備して、社内情報を安全に管理していきましょう。