ヒューマンアカデミー、ロボット教室選抜の「第6回ロボット教室全国大会」を開催
- 2016/9/1
- レポート
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47都道府県で870教室、12,000人以上の児童が在籍する日本最大の「ロボット教室」を展開するヒューマンアカデミーが、「第6回ロボット教室全国大会」を8月20日(土)、東京大学(東京・文京)の安田講堂にて開催した。当日は、あいにくの雨に見舞われたが、全国各地の543のエントリーから、選抜を勝ち抜いた32名の児童とその家族ほか、応援に駆けつけた各教室の先生やメンバー、さらに中国教室チームや視察に訪れた台湾教室の関係者も集まり、会場は開会前から大きな賑わいを見せた。
ヒューマンアカデミー代表取締役 新井孝高氏
ヒューマンアカデミー代表取締役・新井孝高氏のあいさつで幕を開けた大会は、児童が製作した車両ロボットの性能とスピードを競う「テクニカルコンテスト」、創作ロボットのアイデアを評価する「アイデアコンテスト」といった2種のコンテストでそれぞれ審査が行われる。審査員には、ロボット教室のアドバイザを務める、ロボットクリエーター・高橋智隆審査委員長ほか、ゲスト審査員として、アーティスト・鈴木康広氏の姿も見られた。
テクニカルコンテスト準決勝/決勝
準決勝は、午前中に行われたトーナメントより、東京、大阪、兵庫、愛知、滋賀、埼玉、山口の1都1府5県、計12名の選手の中から勝ち進んだ計4名、愛知・東山公園教室の今井良君、埼玉・越谷中央教室:藤由輝栞君、愛知・東山公園教室:梅田荘次郎君、大阪・狭山池前教室:谷口昇也君によって争われた。同コンテストは、車両型ロボット「ラインレーサー」が、敷設された黒いライン上をコースアウトせず進み、人形型パーツを取り込み、ゴールラインの旗を早く上げるまでを競うのがルール。その勝敗は一瞬で決まるが、準決勝では再試合、再々試合までもつれ手に汗握る場面もあった。場内はスタート/ゴールごとに静けさと歓声を繰り返し、藤由君と梅田君が決勝へ歩を進めた。
テクニカルコンテストで優勝した梅田荘次郎君
決勝では、梅田君がみごとなスピードで勝利。テクニカルコンテストの部の優勝を手にした。高橋審査委員長の「スピードがありながらも安定した走りを見せていたが」という問いに対して、「直前に受けた先生のアドバイスを生かすことができたと思います」と梅田君は屈託のない笑顔を見せた。
アイデアコンテスト(ベーシック・ミドル・アドバンス)
ベーシック、ミドル、アドバンスコース受講の総勢20名の児童たちにより、創作ロボットが発表された。ウツボカズラから着想を得たという和歌山・和歌山ビッグ愛教室:竹島大喜君の「食人植物」、ワラビーそっくりのジャンプをする福岡・八幡東教室:松尾亮治君の「ワラビーロボット」など、同じキットを用いながらもラインアップは多彩。大人では思いつかない創意工夫がそれぞれに尽くされており、非常に興味深い。今回、動物を模したロボットが多数発表されたが、形態を再現すべくユニークな工夫が随所に見られ、審査員の興味をさらった。東京・東大前教室:島田成真君のプテラノドンを模した「プテラノくん」は、翼の羽ばたきを表現するために、パーツを通常の用途とは違う方法で組み込んだそうだ。これには、高橋審査委員長も、そんなパーツの使い方があったのかと、自由な発想に感銘を受けたコメントを寄せていた。
審査委員長はロボットクリエーターの高橋智隆氏
そのほか、「サソリロボット」で海外参加を果たした中国・上海西蔵南路教室:呉遜敏君の発表、また、大阪・狭山池前教室:花園明良君による「シーソー転車台」や、奈良・奈良学園前教室:堀内優希君による「ATMロボット」などといった実社会で役立つロボットの発表も見られ、会場は終始拍手に包まれていた。
講演からフィナーレへ
ゲスト審査員のアーティスト・鈴木康広氏
午前・午後の各締めくくりに、鈴木ゲスト審査員、高橋審査委員長の講演がそれぞれ行われた。鈴木氏は、日常の一コマを、テクノロジーを活用しアート作品に仕立てるアーティストで知られる。中空に浮遊する人型オブジェ「空気の人」や、ファスナー型の船で海を“開く”プロジェクトなどの自らの作品を紹介しながら、子どもたちに「ロボットとは?」と問いを投げ、子どもたちの若き想像力を刺激していた。
高橋審査員長の講演では、ロボットに魅了されたきっかけ、開発に至るまで、そして現在のことなど自身のキャリアの紹介とともに、歴代開発ロボットであるロビ、エボルタ、ロボホンの実演も行われ、会場は盛り上がりを見せた。終盤では、「楽しいことをやり続けるのは、苦労もあるが喜びが大きい。ぜひ、各自が本当に楽しいと思う道を」と話し、未来のロボットクリエーターたちにエールを送った。その言葉を余すことなく自分のものにしようと、子どもたちは真剣な表情で高橋氏を見つめ、一斉に拍手を送っていた。
高橋審査委員長より本大会の総括がなされ、第6回ロボット教室全国大会は閉会の辞とともに幕を閉じた。最後にはフラッシュバック・スライドや、キャノン砲のサプライズもあり、場内には銀色のメタルテープが舞い、盛大な拍手が飛び交っていた。
MVPに輝いた花園明良君
閉会後、MVP賞に輝いた「シーソー転車台」の花園明良君と所属する大阪・狭山池前教室の金井進先生に話を伺った。「受賞できてとてもうれしいです。今回の作品は別のロボットの制作中にふと思いつき、アイデアを形にしていきました(花園君)」、「いつも教室は楽しい雰囲気だが、この大会は甲子園のようなもので、エントリーシーズンになれば皆真剣に打ち込む。教科ではないが熱中し達成感を得られる、そこに大きな意義があると感じている(金井先生)」。
ヒューマンアカデミー新井代表によれば、「これからも、子どもたちに創る喜びを提供しながら、次世代教育への貢献をめざす。プログラミングなどさらなる内容の充実も図っていきたい」とのこと。次世代を担う子どもたちと、その一人ひとりの無限の可能性を支えるロボット教室のさらなる挑戦に、今後も期待したい。
なお、当大会の模様は9月11日(日)20時〜20時30分、10月16日(日)18時〜18時30分にCS放送「キッズステーション」」にて放映予定だ。
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