ジョーシスのニューヒロイン「箱崎早希」誕生! (多分)世界初、「情シス・サイバーミステリ小説」予告
ジョーシスOPENの際にご案内いたしました通り、人気サイバーミステリ小説「工藤伸治のセキュリティ事件簿」の「外伝」の連載を 11 月から開始します。今回はこの小説の連載スタート直前の予告をお届けします。小説のタイトルは「工藤伸治のセキュリティ事件簿 番外編 ~ 箱崎早希と超可能犯罪の壁」に決まりました。
●なぜ「情シス小説」なのか?
プログラマーやシステムエンジニアが主人公になる物語はありましたが、これまで情シスが主人公になる物語は前例がほとんどありませんでした。しかし、情シス応援メディアのジョーシスこそ、情シスがヒーローになるエンタテインメントを作りたいと編集部では考えました。日頃業務に追われる情シスの人に楽しんで読んでいただけるような作品です。
しかし、情シスの皆さんのお忙しい日常を淡々と描いても、エンタテインメントとしては成立しません。何か事件が起こって、その謎を調べて、最後には解決にいたるような、娯楽として成立する作品にするため、サイバーセキュリティをテーマにした王道のハードボイルドミステリ小説を手がける一田和樹先生に依頼することにしました。
●プログラマー経験のある異色のミステリ作家
一田和樹先生は、シンクタンク勤務を経て起業し、会社を大手企業に売却後早期リタイア。作家に転身し、現在はカナダのバンクーバーに在住のミステリ小説作家です。本格ミステリとサイバーセキュリティを融合させた「サイバーミステリ」という、これまでなかったジャンルを、日本で最初に創始した作家としても知られています。
一田先生が2010年から、サイバーセキュリティ専門誌ScanNetSecurity誌に連載をつづける「工藤伸治のセキュリティ事件簿サーガ」は、情報漏えいなどのサイバーセキュリティ関連の事故や不祥事を、トラブルシューターとして、セキュリティコンサルタントの工藤伸治が解決していくシリーズで、今年でシーズン6を配信する長期連載をつづける人気シリーズです。
●編集部から出した 2 つの条件とは
今回ジョーシス編集部からお願いした「絶対」条件は下記のふたつ。
その1:情シスが、主人公の工藤伸治のヘルパーとなる、あるいは工藤の捜査をリードする重要な役割を演じること
その2:その情シスが女性であること(これは編集部 K の強い意向で決まりました)
しかし、これまでの一田先生の作品は、情シスは登場するものの、主要な役割を演じることはありませんでした。果たして、この条件で引き受けてもらえるのでしょうか。
お願いをお送りして待つこと数日。一田先生から届いたのは「工藤伸治のセキュリティ事件簿 番外編 ~ システム風紀部長ですが、なにか?」という仮タイトルと梗概(作家の先生が執筆に着手する前に作成するあらすじ)でした。
どうやらお引き受けいただけるようです。
一田先生のメールにあった梗概は以下の通りです。
フリーのセキュリティコンサルタントの工藤伸治は、中堅システム開発会社のヘムコシステム社から不正アクセスの疑いがあるので調べてほしいという依頼を受ける。依頼主は、システム風紀部 部長 箱崎 早希(はこざき さき)。同部は昨年度、営業部で社長賞を取った箱崎本人が立案し、設立した、部長ひとり部員も兼任という部門だ。システム部およびシステム営業部の行動を監督する任務を負っている。早希はともすると基本的なルールや常識を見失いがちな開発と営業の現場を健全にしようとしていた。早希は社内のネットワークを常時モニターしていたが、社外からと思われるアクセスを何度も発見していた。早希が正体を探ろうとしているうちに、じょじょにその数が増加してきたため、工藤に依頼することとなった。
●「早希様」語録
梗概を記した製作メモの中には「見所」として下記のような記載もありました。
・箱崎早希の言動:実力と人脈を盾にやりたい放題。以下 早希様 語録
「現実味のないスケジュールの話をするのはこの業界の悪いクセね(開発部長に向かって)」
「他社より納期を短くして単価を下げれば受注できるに決まってるじゃない。そんな営業なら小学生だってできる。他社より条件で負けていても獲ってくるのが営業ってもんでしょ(営業部長に向かって)」
「あなたたちも、いつまでものび太君みたいに営業部のいいなりになってちゃダメ! 甘い顔をしてくれるけどなにもやらせてくれないしずかちゃんはいても、助けてくれるドラえもんはいないのよ(開発スタッフに向かって)」
箱崎早希の活躍は、11月からの小説連載スタートをどうぞご期待下さい。
●プログラマ出身の異色の漫画家
一田先生の小説執筆と並行して進行したのが、キービジュアルとなる、作品のテーマイラストの制作でした。イラスト制作は、これまで工藤伸治シリーズのイラストを手がけてきた漫画家の瀬尾浩史先生に依頼しました。瀬尾浩史先生はご自身もプログラマとしての経験を持つ漫画家さんで、講談社アフタヌーン四季賞 佳作・準入選を経て「アキバ署!」「うぶんちゅ!」など、コンピュータやコンピュータ犯罪をテーマにした作品を本領とする方です。
まだ完成前ですが、瀬尾先生の許可をいただいて、設定段階のキャラクター案の一部を掲載します。ちなみに、ヒロイン 箱崎早希は、小説内で工藤伸治の視点を通じて、下記のように描写されています。
「オレが通された会議室に現れたのは、身長180センチはありそうなきれいな女だった。それもただの美人じゃない。短めのボブカットの黒髪、タイトスカート、スタイルはいいがしっかり筋肉のついた身体、猛禽類を思わせる鋭い視線、小麦色の肌……ようするに一筋縄ではいかないってことがすぐにわかった。ちょっと見、ラテン系と間違えそうだ。オレの知る限りシステム関係の仕事をしている女でこういう日本人はお目にかかったことがない。」
▲漫画家の瀬尾浩史先生による箱崎早希 第一案。個性はありそうですが、まだまだ常識が通用しような人物です。相談すれば親切に対応してくれそうです。
▲下手な相談をすると平手打ちを食らわされそうです。「女優の福島リラのイメージで」という一田和樹先生の助言で作成された第二案の箱崎早希がこれです。
▲こちらが第三案。一田先生の設定では身長178センチ。工藤視点の描写にある「猛禽類を思わせる鋭い視線」が出てきました。同時に、何か「規格外」の人物である雰囲気が漂っています。そんな人だからこそ、情シスとしていままで誰もできなかった志の高い仕事に彼女は作中で果敢に挑戦していきます。この第三案を元にイラストの製作に入りました。
▲こちらは主人公の工藤伸治。一田先生の設定では身長176センチ。一日の日当は最低30万円。1ヶ月雇うと600万円かかるフリーのコンサルタントです。粗野で下品で無礼ではあるものの、「必ず結果を出す男」として描かれ、大企業のセキュリティ系不祥事の調査や、事件もみ消しに引っ張りだこという設定です。技術よりはソーシャルエンジニアリング系のだましのテクニックに長けた探偵です。
最後に、今回の連載のキービジュアルとなるカバーイラスト(製作途中)の一部を抜粋。工藤と早希のツーショットです。この早希の微笑みは、作中のある場面での早希の表情に基づいて製作されました。どんなシーンかは小説を読んでのお楽しみです。それでは連載開始まで、もうしばらくお待ち下さい。
工藤伸治のこれまでの事件とその解決を復習して連載開始にそなえたい方は、下記リンクから工藤伸治のセキュリティ事件簿をご覧下さい。
工藤伸治のセキュリティ事件簿サーガ(ScanNetSecurity)
カテゴリー: