一般社団法人ウィメンズヘルス・イノベーション協会(東京都渋谷区、代表理事 皆川朋子、以下WHI)が、女性の健康課題の解決に取り組む起業家・スタートアップ向けの新しい支援事業を始めます。名称は「フェムテック・ウィメンズヘルスの次世代アクセラレーション事業~社会実装フェーズへの進化~」。東京都が推進する「多様な主体によるスタートアップ支援展開事業(TOKYO SUTEAM)」の令和8年度協定事業として実施されるもので、協定期間は2026年10月から2028年2月末までです。
何が発表されたか:約10社を対象にした12か月の伴走支援
今回の発表の中心は、女性の健康課題に取り組むスタートアップ約10社を対象にした、約12か月間の伴走型アクセラレーションプログラムです。医療・研究・事業開発の専門家による定期的な事業戦略メンタリングに加え、医療機関・自治体・企業等との実証(PoC)の機会創出・支援、VC・CVCとのマッチングなど、事業成長に直結する支援メニューが用意されています。2028年1〜2月頃には、参加企業が成果を発表するDemo Dayの開催も予定されています。
プログラムの参加者募集は2026年10月中旬に開始予定で、現時点では正式な応募受付に先立つ「事前・優先案内エントリー」の案内にとどまります。
アクセラレーションに加えて、WHIは次の4つの取り組みを一体的に展開するとしています。
- アクセラレーションプログラム:スタートアップの成長・実証を支援
- ラーニングプログラム:起業家・起業準備層・医療従事者・研究者・学生等に向けた、女性の健康・性差医療の基礎や薬機法等の規制、資金調達の実践的カリキュラムを提供
- グローバルカンファレンス(Demo Day・Pitch):2028年1〜2月頃に「Women’s Health Beyond 2028」を開催し、海外投資家との接点を創出
- 国際情報発信・ネットワーク構築:国内外の投資環境や事例に関するレポート発信、交流機会の創出
なぜその選択をしたのか:「認知の拡大」から「事業創出・社会実装」への転換
WHIはこれまで、延べ4,000名超が参加するコミュニティの形成と50回超のイベントを通じて、女性の健康をめぐる認知と関心の拡大に取り組んできた団体です。2026年2月には、女性の健康とイノベーションに特化したカンファレンス「Women’s Health Beyond 2026」をTokyo Innovation Baseで開催し、国内外の有識者39名が登壇、460名超が参加しました。
今回のプレスリリースでは、この局面の転換理由を次のように説明しています。
女性の健康課題の解決は、個人のウェルビーイングにとどまらず、多様な人材の活躍や日本の持続的な経済成長を支える重要な社会・産業課題です。2026年の「女性版骨太の方針」でも、女性の生涯にわたる健康支援が重点分野となり、フェムテック等のヘルスケア産業の創出・振興が掲げられました。
認知や関心が広がる一方で、研究成果や関心を持続可能な事業・製品・サービスに結びつけるには、医学的・科学的知見の事業開発への活用、エビデンス構築、実証機会、資金調達、国内外市場へのアクセスといった、段階ごとの支援が必要になります。WHIが単発のイベントやコミュニティ運営だけでなく、約12か月という時間軸を持つ伴走型プログラムに踏み出した背景には、こうした「関心はあるが事業化の手前で足踏みする」層への課題意識があったとみられます。
東京都の協定事業という枠組みを選んだ点も、意思決定の軸として読み解く価値があります。TOKYO SUTEAMは、東京都が「未来を切り拓く10×10×10のイノベーションビジョン」の実現に向けて実施する事業で、スタートアップを支援する多様な主体を「協定事業者」として選定し、そのアイデア・ネットワーク・フィールドを生かした取り組みを通じてスタートアップの創出と成長を後押しする仕組みです。令和8年度は応募235件の中から40者が採択されており、WHIはその一つとして選ばれています。単独でアクセラレーション事業を立ち上げるのではなく、行政の協定事業者という立場を得ることで、医療機関・自治体・企業との実証機会や、国内外の投資家・事業パートナーとの接点づくりをより進めやすくする狙いがあったと考えられます。
読者への示唆
今回の発表は、コミュニティ形成やカンファレンス運営を中心に活動してきた団体が、行政の協定事業という後ろ盾を得て、事業創出・社会実装という次のフェーズに踏み出した事例です。新規事業の担当者にとっては、「認知を広げるフェーズ」と「個々の事業を育てるフェーズ」では必要な支援の設計が異なるという点が参考になります。メンタリング・実証機会・資金調達支援・国際展開という段階ごとの支援メニューを一体的に設計している点は、自社が新規事業の社内支援体制を検討する際の枠組みとしても参考になりそうです。
なお、アクセラレーションプログラムの参加者募集は2026年10月中旬から開始予定であり、対象スタートアップ数や具体的な採択基準など、事業化の詳細は今後の発表を待つ必要があります。
カンファレンス公式サイト:https://whbeyond.com
TOKYO SUTEAM公式サイト:https://tokyosuteam.metro.tokyo.lg.jp/
■一般社団法人ウィメンズヘルス・イノベーション協会について
名称 :一般社団法人ウィメンズヘルス・イノベーション協会
所在地 :東京都渋谷区渋谷二丁目19番15号 宮益坂ビルディング609
代表者 :代表理事 皆川 朋子
事業内容:女性の健康課題を医学的・科学的根拠に基づいて捉え直し、新しい産業として社会に実装することを目指す活動(アクセラレーション、ラーニングプログラム、カンファレンス運営、コミュニティ形成等)
URL :https://www.femtechjapan.org/
一般社団法人ウィメンズヘルス・イノベーション協会・2026年10月9日のプレスリリースより引用