INSIGHT SUMMARY(本記事のポイント)
- 協業の必然性: 戦略(設計)は描けても「物(システム)」が作れないことで頓挫する新規事業は多い。外注の建築パネルではなく、顧客の意図を汲む「建築家(グローカル)」の設計意図を汲んで仮組ができる「宮大工(HumAIn)」と組むことで、実行の壁を突破する。
- 検証のステップ(プレハブ構造): 完璧な本番環境をいきなり作るのはハイリスク。AI等でモック(模型)を作り、10ある機能のうち「6」の段階で仮設住宅(プレハブ)として市場に出し、検証を通過したものだけを本格開発へ移行させる。
- 提供価値(インサイト): 素人社員にいきなり予算を渡す「自社内製化の罠」を回避。新規事業の航海術を知る「伴走者(ナビゲーター)」として入り、企業がもっとライトに、恐れずに挑戦できる文化を創り出す。
1. 「宮大工」のようなエンジニアリングが必要な理由
前編では、中小・ベンチャー企業が新規事業で直面する「登る山(ゴール)を決めずに装備を買いに行く」という失敗構造と、段階的な投資検証の重要性を紐解いた。
後編となる今回は、戦略立案を強みとする株式会社グローカル(浅野道人代表)と、当事者として泥臭い開発と事業検証を担うビジネススタジオHumAIn(菊池健生)が、なぜ今パートナーシップを組み、新たな「新規事業支援パッケージ」を打ち出すのか。その協業のロジックと未来への展望に迫る。
菊池(HumAIn):前編のお話を受けて、今回なぜグローカル様とHumAInがタッグを組むのかという核心に入りたいと思います。自社で戦略を描けるグローカル様が、外部パートナーとしてビジネススタジオ機能を持つHumAInを選ばれた理由は何でしょうか?
浅野 氏:人が動くだけで完結するサービスや、クライアント側(メーカーなど)に開発機能がある場合は、グローカル単独で戦略から立ち上げまで伴走してきました。
しかし、ITを活用してレバレッジを効かせる新規事業の場合、どうしても「物(システム)を作る」必要があります。戦略やリサーチ、ターゲット設計は我々でできても、自前で作る機能がない。その時に、単なる受託開発会社ではなく、「設計の意図を理解して形にできるパートナー」が必要だったんです。
建築で例えるなら、工場で作られたパネルを組み立てるだけの棟梁ではなく、釘を使わずに構造を見極めて組み立てる「宮大工」のような技術者です。
| 一般的な受託開発(ベンダー) | グローカル × HumAIn(共創型開発) |
| 要件定義の縛り: 仕様書通りに作るが、変更を嫌う |
目的思考のアジリティ: 事業の目的・将来像を理解し、現場で柔軟に微調整する |
| 現在地の開発: 今必要な機能だけをそのまま実装 |
未来思考の設計: 将来の事業拡張(2世代住宅化)を見据えた土台を作る |
| 完成がゴール: 納品した時点で関係が終わる |
検証がゴール: 市場に出して反応を見ながら、共に事業を磨き上げる |
浅野 氏:新規事業において、昨日の修正が入るのは当たり前です。要件定義通りにしか動かない開発会社では破綻します。
「なぜこの間取りになっているのか」という事業の意図や将来の拡張性(未来思考)を理解した上で、最先端すぎない過不足のない技術を選択し、泥臭くアジャイルに微調整できる。それができる開発チームは、世の中にほとんどいません。だからこそ最適的なパートナーとして、HumAInと組ませていただくことにしました。
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2. プレハブ(仮設)を置いてみて、住み心地を検証する
菊池:開発トラブルで多い「言った言わない」や「思っていたのと違う」という問題も、作る側が事業の目的を理解していないことから起こりますよね。私たちが目指す支援パッケージでは、そのリスクをどう回避していくのでしょうか?
浅野 氏:いきなり10個の機能を完璧に盛り込んだ本番環境(RC造のビル)を作るから失敗するんです。まずはリリースに必要な「6」くらいの機能で仮設住宅(プレハブ)を作り、市場に出して使ってみてもらう。
【失敗しない新規事業の4ステップ検証】
① アイデア承認(市場ニーズの存在確認)
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② 模型・モック作成(AI等を活用したコンセプトの可視化)
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③ プレハブ構築・仮設検証★[ここをグローカル×HumAInで最速実行]
(機能6割で実寸大のプロトタイプを市場に出し、顧客の反応を検証)
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④ 本格開発・RC造(検証を通過した確かな事業のみ本番環境へ移行)
浅野 氏:プレハブなら、クレーンで吊るして少し位置をずらしたり、横にもう一個繋げたりできますよね。この「仮組みの検証期間」を通過したものだけを次のステージに進める。このステップを踏むことで、事業の完成度が低いまま市場に出て失敗するリスクを最小限に抑えることができます。
3. 素人社員に5,000万円を預ける「内製化の罠」を越えて
菊池:この新規事業支援パッケージによって、新規事業に悩む企業にはどのような変化(推進力)が生まれるとお考えですか?
浅野 氏:企業が新規事業を必要以上に「難しく構えずに挑戦できる状態」を作りたいですね。
よくある誤解として「新規事業の立ち上げは内製化すべきだ」という意見があります。しかし、新規事業をやったことがない社内の素人社員に、いきなり5,000万円の予算を預けて任せるでしょうか?営業で言えば、お金をかけて獲得した最重要リードを、新人単独で営業のプレゼンを担当させるようなものです。
菊池:どれだけ社内で優秀な人であっても、新規事業の領域においては「新人」ですもんね。
浅野 氏:そうなんです。だからこそ、新規事業の航海術を知り尽くした外部の伴走者(ナビゲーター)をプロジェクトマネージャーとしてつけ、事故を防ぎながら社内人材を引き上げていく。一度成功体験やプロセスを学んだ後に内製化へ移行するのが、最も賢いやり方です。
高い山に登るとき、手を取り、落石の危険がある道を回避するナビゲーションは我々がやります。ただ、最後に山を登り切るのは本人の足であり、登り切る意志です。
菊池:挑戦を恐れるのではなく、正しい検証ステップと信頼できる相棒(伴走者)を得ることで、中小・ベンチャー企業がもっとライトに、前向きに新規事業へトライできる世界を作っていきたいですね。
浅野 氏:変化の激しい時代において、自社で新たな価値を生み出し、マネタイズできる仕組みを作ることは、すべての企業にとって不可欠です。
「まずはやってみたい」という思いがあるなら、過剰に恐れず、まずはご相談いただきたい。私たちが積んできた失敗と成功の知恵を、次の挑戦者たちの確実な推進力に変えていきたいと思っています。