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デジタルトランスフォーメーション動向調査:国内と世界の比較-IDC

IT専門調査会社 IDC Japanは、デジタルトランスフォーメーション(DX)動向調査の国内と世界の比較結果を発表している。
この調査によると、世界の企業は、国内企業と比較して、DXを実装しビジネス的効果を計測している段階に進んでいること、および、「カスタマーアドボカシー(顧客からの支持)」や「従業員のアドボカシー(従業員からの支持)」に対して高い意識にあることが判明している。

自社のDXを推進する上で、参考にしてはどうだろうか。

IDCでは、DXを実践している国内および世界の企業のマネージャー、経営者を対象に、DXの戦略、戦術、予算、KPI(Key Performance Indicator)、課題、組織/文化、IT基盤などをアンケート調査形式で質問する「IDC DX Sentiment Survey」を実施している。
今回の調査は、この「IDC DX Sentiment Survey」の国内と世界の結果を比較し、国内企業のDXの状況について分析したものである。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がDXの推進に与えた影響もたずねている。

レポートによると、DXの進捗を測るための指標(Key Performance Indicator:KPI)の比較では、世界の企業の回答率が高く、かつ差のある項目として「標準的な指標(売上、利益、効率性、投資対効果など)(17.0ポイント差)」「カスタマーアドボカシー(13.0ポイント差)」「従業員のアドボカシー(13.3ポイント差)」が挙げられる。
中でも、「標準的な指標」への回答率の高さは、世界の企業がDXを実装しビジネス的効果を計測している段階に進んでいることを表していると言える。
「カスタマーアドボカシー」や「従業員のアドボカシー」への回答率の高さは、DXという企業全体の改革の影響を、内部および外部環境から計測しているのです。
世界の企業は、従業員からどれだけ支持されているのか、その支持が顧客からの支持にどのように影響しているのか、そしてそれらの支持が売上などにどのように影響しているのか、に対する意識が高いと推察される。つまり、世界の企業は、企業(ブランド、パーパスなど)や製品/サービスなどに対する「ファンづくりに関する指標」に対して高い意識にあることが伺える。

また、DX推進上の課題では、国内企業における課題は「必要なテクノロジーを持った人材の不足」が42.0%で、世界の企業の22.7%と比較すると、19.3ポイントもの開きがあり突出している。
また、「推進するリーダーシップの不足」に関しては、国内企業は26.0%と高い課題認識であるものの、世界の企業は8.8%とリーダーシップについては不足しているとは言えない状況と考えてよい。
着目すべきポイントとしては、世界の企業において課題認識が高く、かつ国内企業と差のある項目として以下の2項目が挙げられる。

  • 「実施のための予算が不足(11.6ポイント差)」
  • 「変革に対する社内の抵抗(6.0ポイント差)」

つまり、世界の企業は、リーダーシップの下にDXを実装している段階にあり、社内組織からの変革に対する抵抗や変革を実現するための予算不足に直面している状況にあると推察される。それはすなわちDXの実装段階で直面する課題とも言え、国内企業がこれから直面するであろう課題と考えてよい。

日本と世界の企業におけるDXのKPIの比較


Note:    国内企業で回答の多かった選択肢の順に表示
Source: IDC Japan, 11/2021

国内企業と世界の企業との違いの本質にデジタルレジリエンシー(デジタルによるビジネスの回復のみならず成長する能力)への理解度がある。
世界の企業は、COVID-19感染拡大の影響下で、「守りのDX」のみならず、外部環境(顧客)の変化への対応といった新たな成長へと反転攻勢するための「攻めのDX」に対しても同時並行で取り組んでる。

IDC Japan ITサービス リサーチマネージャーの山口 平八郎氏は以下のように分析している。

「ITサプライヤーは、外部環境の変化にどのように適応しチャンスにつなげるかについて、顧客企業の視点に立ち共創および共進していくことで、企業のデジタルレジリエンシーを構成する中核的存在の1つになるべきである」

 

より詳細な内容はIDCが発行した2021 年 デジタルトランスフォーメーション動向調査:国内と世界の比較 にその詳細が報告されている。

 


本レポートは、IDC Japan様のプレスリリースの内容を元に作成しております。