宮城県内で生コンクリートの製造・販売を手がける株式会社タイハクが、2026年9月13日、キッチンカー事業「タイハクLIVEキッチン」を始動します。初出店はユアテックスタジアム仙台で開催されるベガルタ仙台のホームゲームで、看板メニューには同クラブのコーディネーターを務める梁勇基さんが監修した「たこせん」を用意するとのことです。
生コンクリートの製造・販売を手がける株式会社タイハク(本社オフィス:宮城県仙台市)は、キッチンカー事業「タイハクLIVEキッチン」を2026年9月13日(日)に始動します。初出店は、ユアテックスタジアム仙台で行われるベガルタ仙台のホームゲーム。生コンクリート会社ならではの発想を生かしたメニューを通じて、地域の方々に、今ここで味わう楽しさ”LIVE感”を届けます。
生コン専業メーカーが、なぜ本業と一見つながりの薄いキッチンカー事業に参入するのか。この記事では、プレスリリースの内容をもとに、その意思決定の背景を読み解きます。
「今この瞬間」を届ける仕事の哲学を、食に転用する
コンクリートは住宅や道路、ビルなど暮らしの土台をつくる素材ですが、その仕事ぶりを生活者が直接目にする機会はほとんどありません。BtoB素材メーカーに共通する構造的な課題として、事業の価値が生活者の実感に届きにくいという点があります。
タイハクが今回の参入で軸に据えたのは、生コンクリートという商材そのものではなく、その「仕事の作法」でした。生コンクリートは製造してから現場に届くまでの限られた時間のなかで、温度や状態を確認しながら品質を管理する必要がある製品です。プレスリリースは、この仕事の要諦を次のように表現しています。
「その瞬間の状態を見極め、最良の状態で届ける」。タイハクは、そうした仕事に向き合ってきました。
この「できたてを、いい状態で届ける」という価値観を、そのまま食体験に置き換えたのが「タイハクLIVEキッチン」だといえます。焼きたて・揚げたて・つくりたての瞬間を届けるという発想は、素材メーカーとしての専門性を否定するのではなく、その本質を異なる業態に翻訳する試みです。事業の中身を変えるのではなく、事業を貫く「哲学」を別の形で表現する、という選択が今回の参入の起点になっています。
スポーツの現場を選んだ理由と、看板メニューの作り込み
初出店の場に選ばれたのは、ベガルタ仙台のホームゲームが行われるユアテックスタジアム仙台です。試合観戦という「その場、その瞬間」を楽しむ文脈は、タイハクが届けたい「できたて」の価値観と重なります。さらに9月19〜21日には東北楽天ゴールデンイーグルスの本拠地「楽天モバイル 最強パーク宮城」、10月には仙台89ERSの本拠地「ゼビオアリーナ仙台」への出店も予定されており、地域のプロスポーツ興行を軸にした展開を描いていることがうかがえます。
看板メニューの「たこせん」は、ベガルタ仙台のクラブコーディネーターを務める梁勇基さんが監修したものです。たこ焼きをえびせんで挟んだスタジアムグルメで、梁さんの直筆メッセージ入りパッケージ(2026年冬頃開始予定)や本場大阪の食べ方動画も用意されるといいます。
タイハクLIVEキッチンを通じて、私が幼少期におやつ代わりによく食べていた思い出の味を、宮城・仙台の皆さんにお届けできることを、とても嬉しく思います。できたてならではの味と食感を追求しました。ぜひ熱々のうちに、関西流の食べ方で味わってみてください。
このほか、コンクリート色をした「生コンジェラート」や、生コンにちなんだソースを使うフライドポテトなど、素材メーカーとしての遊び心を前面に出したメニューも並びます。見た目と味わいのギャップという表現手法は、生コンという商材の持つ「意外性」を逆手に取ったアイデアといえるでしょう。
主なメニュー
生コンジェラート:見た目の衝撃だけでなく本格的なジェラート
フライドポテト:生コンをイメージしたマヨネーズ添え
あなたの街のレモンスカッシュ:観戦や勝利の乾杯向け
コンクリのかけら:コンクリート風の見た目とシャリッとした食感の琥珀糖
BtoB素材メーカーが生活者接点を持つ意味
プレスリリースは、今回のキッチンカー事業の狙いについて次のように述べています。
今回スタートするキッチンカー事業で目指すのは、食事を提供するだけでなく、人々が気軽に集い、交流できる「新たなコミュニケーションの場」です。スポーツやさまざまなイベントへの出店をきっかけに、より多くの方と直接ふれあい、タイハクを身近に感じていただける機会を広げるとともに、そこで生まれる出会いや経験を、将来の新たな拠点づくりや、タイハクならではの事業の創出につなげてまいります。
ここで語られているのは、単発の話題づくりにとどまらない狙いです。生活者との接点は、地域における採用力やブランド認知、さらには将来の事業展開のための関係づくりにも波及しうるものとして位置づけられています。BtoB素材メーカーにとって、生活者との直接の接点は普段の事業活動の延長線上にはなく、意図的に「場」を作りにいく必要があります。キッチンカーという小さな投資規模で、かつ地域のスポーツ興行という既存の人流に乗る形を選んだ点に、無理のない範囲で接点を広げようとする姿勢が見て取れます。
本業とは一見遠く見える挑戦であっても、その企業が長年培ってきた「仕事の作法」に立ち返ることで、無理のない必然性を持たせられる。タイハクの事例は、新規事業の種を探す際に、自社の技術や商材そのものではなく、その根底にある価値観や哲学に目を向けるという視点を示しています。
■株式会社タイハクについて
名称 :株式会社タイハク
所在地 :宮城県名取市高舘熊野堂字今成西37
代表者 :佐藤 一平
設立 :1983年5月
資本金 :1500万円
事業内容:生コンクリートの製造・販売、資材販売
URL :https://www.taihaku.co.jp/
※梁さんのメッセージ入りパッケージは、製作中につき2026年冬頃〜スタートを予定しています。
※雨天時は試合および会場運営に準じます。出店場所・販売時間・当日の企画は公式SNSでお知らせされます。
株式会社タイハク・2026年9月8日のプレスリリースより引用