株式会社クラフトレイル(大阪府大阪市北区)は2026年9月14日、採用サイトを訪れた求職者の行動と、AIチャットボットに寄せられる質問を組み合わせて分析する新サービス「Hiring LENS(ハイアリングレンズ)」の提供を開始したと発表しました。採用活動そのものを増やしたり変更したりするのではなく、すでに行っている採用活動の「途中」を可視化する点に特徴があります。
何が発表されたか
![]()
採用活動の成果は、応募数・面接数・採用数といった「結果」の指標では把握しやすくなっています。一方で、その手前にいる求職者が採用サイトの何を見て、どこで読むのをやめ、何に迷っていたのかは、通常の応募管理だけでは見えてきません。
クラフトレイルはこの発表の中で、次のように述べています。
Hiring LENSは、企業ホームページ・採用サイトを“観測地点”として捉え、アクセス解析、ヒートマップ、AIチャットボットへの質問などを組み合わせ、応募数だけでは見えなかった採用活動の途中を可視化します。
具体的には、アクセス解析(どこから何人来て、どのページを見たか)、ヒートマップ(ページのどこが読まれ、どこで離脱したか)、そしてAIチャットボット「ワカるーる」に寄せられる質問ログという3つの情報を掛け合わせる設計です。
![]()
※自社サイトへ訪問する求職者の行動には、採用活動改善のヒントが多く含まれています(クラフトレイル発表資料より)
サービスは「LIGHT」「STANDARD」「PRO」の3プランで構成され、クラフトレイルはまず3か月程度「STANDARD」を利用し、求職者の行動や疑問を一度確認する使い方を推奨プランとして案内しています。STANDARD以降は、データ収集・整理から月次レポート作成、改善ポイントの整理までをクラフトレイル側が担い、企業側は届いた内容の確認と次のアクションの判断に集中できるようにするとしています。
![]()
※データの収集から分析までを委託することは、採用担当者の業務効率化につながり得ます(クラフトレイル発表資料より)
なぜその選択をしたのか
今回の発表で編集部が注目したのは、クラフトレイルが「新しい採用チャネルを増やす」のではなく、「すでにある採用活動を、より詳しく見る」という方向を選んだ点です。
背景には、採用手法そのものの多様化があります。発表では、マイナビの「中途採用状況調査2026年版(2025年実績)」を引用し、2026年の中途採用について91.1%の企業が積極的な意向を示していると紹介した上で、転職サイト・人材紹介・求人検索エンジン・ダイレクトリクルーティング・SNS・リファラルなど、採用手法自体が多様化し、複数の接点を組み合わせる時代になっていると位置づけています。
![]()
※中途採用の手法は、さらに多様化しています(クラフトレイル発表資料より)
そのうえで、クラフトレイルは「よく使われている手法」と「採用につながりやすい手法」が必ずしも一致しないと考え、注目する対象を企業ホームページ・採用サイトに絞り込みました。
![]()
※利用率が高い手法=採用成果が高い手法、とは限りません(クラフトレイル発表資料より)
発表では2025年9月のマイナビ調査を引用し、中途求職者の約9割が応募・入社の検討時に企業の採用ホームページを参考にすると回答しているとしています。求人を見つけた場所と、応募先を詳しく調べる場所は必ずしも同じではなく、入口が多様化しても、企業そのものを確認する場所としての採用サイトの重要性は変わっていない、という見立てです。
![]()
※様々な採用チャネルがありますが、一度、自社のホームページに情報収集のために訪問する求職者はかなり多いといいます(クラフトレイル発表資料より)
さらにクラフトレイルが指摘するのは、「応募しなかった人」がこれまでほとんど見えていなかったという点です。応募した人には面接やアンケートで話を聞く機会がありますが、採用サイトを訪れながら応募に至らなかった人の行動や疑問は、そのまま埋もれてしまいます。
![]()
※応募数だけを追いかけても、採用活動の改善にはつながりづらいといいます(クラフトレイル発表資料より)
クラフトレイルはこの発表で、サービス名の由来についてこう説明しています。
名前の「LENS」には、これまで見えにくかった求職者の動きを、より詳しく見るという考え方を込めています。
つまり今回の意思決定は、「採用チャネルを増やす」競争にもう一つの手段を追加するのではなく、「すでに接点を持った求職者を、応募という一点だけで判断せず、その手前の行動・疑問まで含めて理解する」という、既存の採用活動の解像度を上げる方向への舵切りだと整理できます。AIチャットボットへの質問ログについても、単なる問い合わせ履歴としてではなく、求職者が自発的に発した「言葉になった疑問」として、ヒートマップが示す「言葉になっていない行動」と重ね合わせて読み解く発想を採っています。
なお、クラフトレイルは今回の発表の中で、関西圏、とくに大阪府内での採用支援を強化する方針も示しています。製造業・物流・建設・設備などの企業が集積する泉州地域を重点エリアの一つと位置づけ、継続的に採用を行う地域企業への支援に取り組むとしています。
読者への示唆
新規事業や採用の現場で意思決定に関わる読者にとって、今回の発表が示すのは「新しいチャネルを追加する」以外の改善の選択肢です。求人媒体・人材紹介・スカウト・SNSなど、すでに複数の採用手法を並行して使っている組織であれば、それぞれの入口の先で求職者が実際に何を見て、何を疑問に思っているのかを、応募数という結果だけでなく手前の行動から捉え直す余地がないか、点検してみる価値はありそうです。
一方で、Hiring LENSはクラフトレイル自身が提供するコンサルティング型のサービスであり、効果や具体的な改善幅について、現時点で第三者による検証結果が示されているわけではありません。導入を検討する際は、自社の採用サイトへのアクセス規模や、AIチャットボット運用の実態と照らし合わせながら、プラン選択の妥当性を見極める必要があります。
■株式会社クラフトレイルについて
名称 :株式会社クラフトレイル
所在地 :大阪府大阪市北区梅田1-1-3
代表者 :代表取締役 村上浩二
設立 :2025年4月
事業内容:人事・組織課題に関するコンサルティングおよびプラットフォーム運営
URL :https://craftrail.co.jp/
株式会社クラフトレイル・2026年9月14日のプレスリリースより引用