株式会社イノベーション総合研究所(以下、イノベーション総研)は2026年10月1日、新規事業のPoC(仮説検証)の計画立案から顧客への確認、試作品開発までを一気通貫で支援するサービス「TeamPro Pilots」の提供を開始しました。新規事業を任されたばかりの担当者だけでなく、すでにPoCを実施中のプロジェクトも対象にしており、事業開発・顧客調査・開発・営業それぞれの専門人材がチームを組んで戦略立案と実務の両方を担う点が特徴です。

何が発表されたか:PoCの「計画」から「実行」までを専門チームが伴走

TeamPro Pilotsは、PoCストラテジー(検証計画の設計)、PoCデザイン(検証範囲の具体化)、PoCビルド(試作品の開発)、PoCスケール(事業化に向けた営業・体制づくり)という4つのメニューで構成されており、企業は自社が困っている工程からピンポイントで依頼できる設計になっています。料金はPoCストラテジー・PoCデザインが50万円〜(期間1〜2か月)、PoCビルドが100万円〜(期間2〜4か月)、PoCスケールが150万円〜(期間3〜6か月)が目安とされ、個別の相談内容に応じて見積もりが変わる形です。

実行を担うのは、イノベーション総研が運営する新規事業特化のプロ人材サービス「NewAce」に登録する専門人材です。大企業で新規事業を事業化まで導いた経験者や、新規事業のコンサルティング実績を持つ人材、プロトタイプ営業の専門家などが案件ごとにチームを組成し、プロジェクトの設計と進行そのものを主導します。単なる人材紹介ではなく、チームとして計画の修正まで請け負う点を、同社は次のように説明しています。

TeamPro Pilotsは、企画と開発、開発と営業の間で、次に誰が動くかが曖昧になる状態を減らす支援です。

なぜこの支援設計にしたのか:「技術は動いたのに、事業化できない」という自社調査の結果

今回の提供開始の背景には、イノベーション総研が実施した自社調査があります。大企業で新規事業にオーナー・リーダー・意思決定者として関与した経験者888人を対象に、PoCから事業化へ進む際の障壁を尋ねたところ、最大の障壁として最も多く挙げられたのは「経営層の継続的な後ろ盾不足」で19.6%でした。一方、「技術的課題が解決しなかった」ことを最大の障壁に挙げた人はわずか2.6%にとどまっています。

この結果が示しているのは、PoCという工程そのものの目的がずれやすいという問題です。多くの現場では、PoCは「技術的に実現できるかどうかを確かめる場」として運用されがちですが、調査結果からは、技術検証が成功しても、経営層が次の投資判断を下すために必要な顧客・収益・体制についての情報が揃っていなければ、本格的な開発予算は下りないという実態が浮かび上がります。イノベーション総研の代表取締役CEO・長尾浩平氏も、この点を次のように振り返っています。

PoCは、技術が動くことを確かめる場ではなく、経営層が次の予算を決める材料をつくる重要なアクションです。しかし、技術が動くことを目的として進めて、担当者はうまくいったと思い報告をしても、経営層が次の判断をできなかった例を多く見てきました。

つまり、TeamPro Pilotsが技術検証の支援にとどまらず、PoCストラテジーやPoCスケールといった「経営層への説明材料づくり」「事業化に向けた営業・体制整備」までをメニューに組み込んだのは、技術検証と事業化判断の間にある溝を埋めることを狙った設計だと読み解けます。PoCを「動くかどうかの確認」ではなく「投資判断の材料づくり」と定義し直し、その両輪を同じチームで一気通貫に担わせることで、従来PoCの先で止まりがちだったプロジェクトを前に進めやすくする狙いがあると考えられます。

読者への示唆:PoCの「成功」の定義を、技術ではなく意思決定の材料で測る

新規事業の担当者にとって、今回の発表は「PoCを誰に・どこまで頼むか」という外部リソース活用の選択肢が増えたという以上に、PoCそのものの評価基準を見直す材料になります。技術検証が完了した時点を「PoC成功」とみなすのではなく、経営層が次の予算判断を下せるだけの顧客・収益・体制の情報が揃っているかどうかを、検証計画の段階からチェックポイントとして組み込んでおくことが、事業化の停滞を防ぐ鍵になりそうです。社内にそうした材料づくりを担える体制がない場合、どの工程から外部の専門人材を頼るかを検討する上でも、今回の調査結果は参考になります。

■株式会社イノベーション総合研究所について

名称  :株式会社イノベーション総合研究所
所在地 :〒105-6415 東京都港区虎ノ門1-17-1 虎ノ門ヒルズビジネスタワー
代表者 :長尾 浩平
設立  :2024年1月
事業内容:新規事業の立ち上げ・事業化を支援。事業の課題を整理する「Compass」、個社ごとに設計する新規事業AIエージェント「Plan」、専門家チームが実務を担う「TeamPro」を提供
URL  :https://iri-group.jp/


株式会社イノベーション総合研究所・2026年10月7日のプレスリリースより引用