株式会社Hajimari(東京都渋谷区、代表取締役:木村直人)が、Google CloudおよびGoogle Workspaceに特化したインテグレーション・コンサルティングサービス「GOAT Cloud(ゴートクラウド)」を、2026年9月29日より提供開始したと発表しました。同社はもともとプロ人材マッチング「ITプロパートナーズ」や、マルチプラットフォーム対応の開発・内製化支援「TUKURUS(ツクラス)」を手がけてきた企業です。総合力を持つ組織が、あえて特定クラウドに専門部隊を切り出す決断をした背景には、どのような判断があったのでしょうか。
何が発表されたか:総合力の会社が「特化」を選んだ
Hajimariは、これまでも受託開発や内製化支援を幅広く手がけてきました。そこに新たに、Google Cloud・Google Workspaceだけに専門特化した事業「GOAT Cloud」を立ち上げています。プレスリリースでは、この特化の狙いを次のように説明しています。
単なるツールのリセラー(代理店)に留まらず、Google出身のCTOを中心に、高度な認定資格を保有するGoogle Cloudスペシャリスト集団が「事業者目線」で伴走支援。企業が自らの意思でテクノロジーをコントロールする「主権」を取り戻すためのトランスフォーメーションを、グループ全体の総合的な技術アセットと緊密に連携させながら推進します。
サービスの中身は大きく3領域です。生成AI「Gemini Enterprise」やBigQueryを軸にしたデータ・AI基盤の構築、Google Workspaceの高度な権限管理や契約移管、そして他クラウドやオンプレミスにかかっている維持保守コストを見直す「ITウォレットの最適化」。ライセンスの取次だけでなく、基盤移行からデータ活用、内製化支援までを一気通貫で担う設計になっています。
Hajimariは自社の主力プロダクトと社内インフラをAWSからGoogle Cloudへ全面移行した実績を持ち、その経験を「当事者」としての強みに位置づけています。GOAT Cloud事業部長の飯田啓之氏は、次のようにコメントしています。
私たちの強みは、単なる受託開発会社ではなく、自らAWSからGoogle Cloudへの移行を経験した「当事者」であるという点です。だからこそ、机上の空論ではないリアルな目線でお客様に伴走できると考えています。
なぜGoogle Cloudに特化するという選択をしたのか
編集部が注目したのは、Hajimariがこの特化を「思想」と「データ」の両輪で説明している点です。
思想としての「自立」
同社のコーポレートビジョンは「自立した人材を増やし、人生の幸福度を高める」というもので、これはプロ人材事業から一貫している軸です。今回のGOAT Cloudでも、この「自立」という言葉がキーワードとして繰り返されています。プレスリリースは、日本のDXが抱える課題を次のように指摘しています。
現在の日本のDXは、システムがブラックボックス化し、特定の外部ベンダーに依存しきる「依存体質」という大きな課題に直面しています。IT関連予算の実に約7割がレガシーなシステムの維持・保守に消え、現場は日々の運用に追われ、イノベーションや自立的な人材育成に原資を割けない悪循環が続いています。
この指摘を踏まえると、「自立をテクノロジーで民主化する」というキャッチコピーは、単なるスローガンではなく二段構えの意味を持っていると読み取れます。ひとつは、企業がベンダーに依存せず自らシステムをコントロールする「主導権の回復」。もうひとつは、専門知識を持たない現場の一人ひとりでも、Gemini EnterpriseやGoogle Apps Scriptのようなオープンな仕組みを使って業務改善やデータ活用を自分の手で行えるようにする「民主化」です。前者が組織レベルの自立、後者が個人レベルの自立にあたり、両方を同じサービスの中で扱おうとしている点が、この発表の特徴といえます。
データとしての需要の裏付け
もうひとつの軸は、Hajimari自身が持つ市場データです。同社は15万人以上が登録するプロ人材プラットフォーム「ITプロパートナーズ」を通じて、日々多くのIT案件とエンジニアのマッチングを行っており、その案件動向から技術トレンドの変化を捉えられる立場にあります。プレスリリースによれば、このデータ分析の結果、ここ1年でGoogle Cloud領域の需要が急増していることが明らかになったといいます。
つまり今回の特化は、「自立支援をしたい」という理念だけでなく、「自社のマッチングデータが示す需要の伸び」という裏付けを伴う判断として位置づけられています。総合的に手がけてきたからこそ市場のシグナルを捉えられ、そのシグナルが強かった領域を切り出して専門部隊にする、という順序です。既存の総合開発力(TUKURUS)と専門特化(GOAT Cloud)を併存させる体制を取ったのも、「浅く広く」でも「特化のみ」でもなく、両方の強みを活かす狙いがあったためと考えられます。
読者への示唆
この事例が示しているのは、既存事業の「総合力」と新規事業の「特化」は対立する選択肢ではなく、前者のデータや実績が後者の意思決定の裏付けになり得るという点です。新規事業やサービスの立ち上げを検討する担当者にとっては、自社が既に持っている顧客接点やデータの中に、次の一手のヒントが眠っている可能性がある、という視点は参考になるのではないでしょうか。
また、「自立」というビジョンを軸に据えることで、プロ人材事業・受託開発事業・そして今回のクラウド特化事業という一見異なる事業群に一貫したストーリーを与えている点も、事業ポートフォリオの説明の仕方として学びがあります。個々の事業の機能や技術要素だけでなく、企業として何を目指しているのかという上位の理念が、各事業の位置づけを分かりやすくしている好例といえるでしょう。
■株式会社Hajimariについて
名称 :株式会社Hajimari
所在地 :〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂1-16-10 渋谷DTビル6階
代表者 :木村直人
設立 :2015年2月26日
事業内容:プロ人材のマッチング事業/研修事業/IT分野の受託開発・内製化支援事業「TUKURUS(ツクラス)」/Google Cloud特化型インテグレーション事業「GOAT Cloud(ゴートクラウド)」
URL :https://hajimari.inc/
株式会社Hajimari・2026年9月30日のプレスリリースより引用