NTTアドバンステクノロジ株式会社(以下:NTT-AT、東京都新宿区、代表取締役社長:伊東匡)が、2026年10月1日から新しいWebセキュリティ診断サービス「AIハイブリッドWeb診断サービス」の提供を開始します。フロンティアAIによるソースコード解析で脆弱性候補を洗い出し、そのなかから専門家が実環境での影響を見極めて対処不要な項目を取り除くという、AIと人の役割分担を明確にした診断の仕組みです。
生成AIを悪用したサイバー攻撃が高度化・自動化するなか、企業のセキュリティ対策も「AIにどこまで任せ、どこから人が判断するか」という線引きを迫られています。NTT-ATの今回の発表は、その線引きの一つの答え方として読み解くことができます。
何が発表されたか
NTT-ATが提供を始めるのは、顧客から預かったソースコードをフロンティアAIで解析して脆弱性候補を抽出したうえで、専門家の知見・データベース・専用ツールを用いた実環境での評価を経て、対処が不要な項目を除いた本当に対応すべき脆弱性だけを、優先度や対策方法とともに報告書にまとめるサービスです。実施内容は、①AIのソースコード解析による脆弱性候補の抽出、②専門家およびAIによるリスク分析、③専門家による実環境での影響評価、④影響度・対応優先度・対策方法をまとめた報告書の提供、⑤対策後の修正確認という5段階で構成されています。
料金は個別見積もりで、提供開始日は2026年10月1日です。また、一度きりの診断で終わらせず、Webサイトの更新や機能追加のタイミングに合わせて診断を継続できる仕組みも用意されており、日々変化する脅威や新たに見つかる脆弱性に対応し続けられる体制づくりを支援するとしています。
なぜその選択をしたのか
今回の発表で目を引くのは、脆弱性診断の主体をAIだけに委ねなかった点です。プレスリリースは、その背景を次のように説明しています。
近年、生成AIの普及・進化に伴い、AIを悪用したサイバー攻撃の高度化・自動化が進んでいます。なかでも、Claude Mythos(クロード・ミュトス)をはじめとする高度なAIの登場により、従来は発見が困難であった脆弱性の探索や悪用が容易になっています。
生成AIの解析能力が上がるほど、攻撃側もその能力を悪用できるようになるという構図です。であれば守る側も、同じ水準のAIを解析に使わない限り後手に回ってしまいます。NTT-ATが自社サービスにフロンティアAIを組み込んだのは、この攻守のスピード差を埋めるための選択だと考えられます。
専門家による絞り込みを後段に置いた理由
一方で、AIによる解析だけに頼らなかった理由も、プレスリリースは明確に述べています。AIのソースコード解析は大量の脆弱性候補を洗い出せる反面、そのなかには実際のシステム環境では影響のない誤検知や、対応の優先度が低い項目も相当数含まれます。限られた人員で開発・運用にあたる現場にとって、候補をそのまま渡されても、どこから手を付けてよいか判断しづらいという課題が残ります。そこでNTT-ATは、25年以上にわたり蓄積してきたセキュリティ診断の知見・データベース・専用ツールを使い、専門家が実環境での再現性や影響を一件ずつ評価する工程を診断の後段に置きました。AIの網羅性と、専門家による現実的な絞り込みを両輪にすることで、報告書に載る脆弱性の数を「本当に対応が必要なもの」に絞り込み、現場の判断負担を軽減する狙いです。
スピードと精度のどちらも犠牲にしない設計
AIを全自動で使う設計にすれば、診断のスピードとコストではより有利になり得ます。逆に従来どおり専門家の手作業に頼る設計であれば、精度への信頼は保てても、攻撃側のAI活用に解析速度で追いつけない可能性があります。NTT-ATが「AI×専門家」の併用という中間の設計を選んだのは、スピードと精度のどちらか一方を犠牲にしない落としどころを探った結果だと言えます。
読者への示唆
生成AIの進化は、攻撃側と防御側の双方の能力を同時に押し上げています。今回のNTT-ATの発表は、自社のサービス設計にAIを組み込む際、「AIにどこまでの判断を任せ、どこから人の専門知見を介在させるか」という線引きそのものが、提供価値を左右する意思決定になり得ることを示す事例です。セキュリティに限らず、AIの解析力と専門家の判断力を組み合わせる設計は、他の業務領域でも参考になる考え方だと言えます。
なお、本サービスの料金は個別見積もりとなっており、プレスリリースの時点では具体的な水準は明らかにされていません。提供内容や体制は今後変更される可能性があるため、導入を検討する際は公式情報を確認することが必要です。
■NTTアドバンステクノロジ株式会社について
名称 :NTTアドバンステクノロジ株式会社
所在地 :東京都新宿区西新宿三丁目20番2号 東京オペラシティタワー
代表者 :代表取締役社長 伊東 匡
設立 :1976年12月
資本金 :50億円
事業内容:情報通信
URL :https://www.ntt-at.co.jp/
NTTアドバンステクノロジ株式会社・2026年9月29日のプレスリリースより引用