株式会社ROLEUPが2026年9月24日、経営戦略コンサルティング「ROLEUP Strategy」の立ち上げを発表しました。同社はこれまでM&Aアドバイザリーやフィナンシャル・アドバイザリー・サービス(FAS)を主軸としてきた企業です。取引の実行支援を得意としてきた会社が、なぜ経営戦略そのものへと支援領域を広げる決断をしたのか。発表内容から、その意思決定の背景を読み解きます。

何が発表されたか

ROLEUPが今回打ち出したのは、経営戦略立案・事業ポートフォリオ再編・組織変革・AI活用・PMO支援・リスクアドバイザリーという6つの機能を一気通貫で提供する「ROLEUP Strategy」です。あわせて新ロゴも公開されました。

同社はプレスリリースで、この新サービスの狙いを次のように説明しています。

経営戦略立案・事業ポートフォリオ再編・組織変革・AI活用・PMO支援・リスクアドバイザリーを一気通貫で提供——「提言して終わり」ではなく実行まで責任を持つ新たな経営参謀サービス

コンサルティング業界では、戦略の「提言」までを担う会社と、M&Aやデューデリジェンスといった「実行」を担う会社とが分業してきた歴史があります。ROLEUPが強調するのは、この二つを自社単体でつなぎ、提言後の実行フェーズまで伴走するという立ち位置です。

提供メニューの内訳

発表では、ROLEUP Strategyが担う機能を次の6つに整理しています。

  • 経営戦略立案:中長期の成長戦略・事業計画の策定から、資本市場を意識した経営方針の整理まで
  • 事業ポートフォリオ再編:コア事業への注力・不採算事業撤退・カーブアウト・新規事業の組み込みをM&A実行まで一気通貫で支援
  • 組織変革・人事制度構築:M&A後のPMI・人的資本経営に向けた組織設計・ガバナンス整備・人事制度構築
  • AI活用・オペレーション改革:AIをはじめとしたデジタル技術の活用による業務効率化・オペレーション改革
  • PMO支援:大型プロジェクト・経営変革施策の推進における計画策定から進捗管理・課題解決までの伴走
  • リスクアドバイザリー支援:非財務の側面から企業価値向上を支えるリスクマネジメント強化

いずれも単発のスポット支援というより、企業の意思決定から実行までの過程に長期的に関わり続けることを前提にしたメニューだとわかります。

なぜこの選択をしたのか

ROLEUPは立ち上げの背景として、既存クライアントからの相談内容の変化を挙げています。

M&A・FAのご支援に加え、近時は企業価値向上を財務・非財務の両面から支える観点で、上場会社様より会計・開示・ガバナンス・リスクマネジメント、さらには経営戦略、AIをはじめとしたオペレーション改革、人的資本に絡めた人事制度構築に関するご相談をいただく機会が増えております。

つまり、新規の顧客開拓のために新サービスを設計したというより、既存のM&A・FASの現場で受けていた相談の幅が、当初の契約範囲を超えて広がっていったことが起点になっています。M&Aの実務支援に入った企業から、その後の経営戦略や組織設計まで相談されるケースが増え、そうした需要に応える形でサービスラインを追いかけて整備した、という順序です。

この経緯は、支援領域の拡大にありがちな「まず新市場を狙ってサービスを作る」という発想とは異なります。ROLEUPの場合は、FAS・M&Aという既存の土台の上で培った財務・戦略・組織に関する知見を、取引実行の枠を超えて活用できる状態に再編したという意思決定です。同社は今回の立ち上げにあわせて、BDD(ビジネスデューデリジェンス)・戦略・ITコンサルティングの各機能を横断した提案力の強化にも言及しており、既存の専門機能を組織的に連携させる体制づくりも同時に進めていることがうかがえます。

「提言して終わり」にしないという打ち出し方も、この文脈で捉えると理解しやすくなります。M&Aの現場では、取引が成立した後の統合プロセス(PMI)や、その後の組織運営まで支援先の状況を継続的に把握できる立場にあります。ROLEUPは、この「取引後も関わり続けてきた」実務上の蓄積を、経営戦略という上流の意思決定支援にまで応用範囲を広げる根拠として位置づけていると読み取れます。

読者への示唆

自社の主力事業の隣接領域で相談が増えていくという状況は、新規事業開発の現場でもしばしば起こります。今回のROLEUPの発表は、そうした「顧客からの相談の広がり」を、勘や機会主義で応じるのではなく、明確なサービスラインとして再設計し、社内の専門機能を横断的に連携させる体制として打ち出した事例といえます。

自社が本来得意とする領域と、顧客から実際に求められている支援範囲との間にズレが生じていないか。もしズレがあるなら、それを場当たり的な対応で埋めるのか、それとも新しいサービスラインとして正面から再設計するのか。ROLEUPの決断は、後者を選ぶ際にどのような整理の仕方があり得るかを考えるうえで、参考になる事例です。

■株式会社ROLEUPについて

名称  :株式会社ROLEUP
所在地 :東京都千代田区丸の内2丁目4-1 丸の内ビルディング28階(本社)ほか、東京・丸の内オフィス/東北(仙台)/京都に拠点
代表者 :代表取締役社長 渡邉達也
事業内容:M&Aアドバイザリー、財務・税務・法務・労務・ビジネスデューデリジェンス、株価算定、FA、PPA、PMI、税務サポート、戦略コンサルティング、人事コンサルティング、リスクアドバイザリー、会計監査
URL  :https://roleup.co.jp


株式会社ROLEUP・2026年9月24日のプレスリリースより引用