学術知×AIエージェント群で、経営の「問い」に答える
株式会社esse-sense(沖縄県恩納村、OIST内)は、知識基盤型AIリサーチシステム「ANSWER+」を2026年9月1日に本格提供開始すると発表しました。数千万件規模の学術知・産業知から構成される知識基盤と、約400のAIエージェント群を組み合わせ、企業が抱える経営上の「問い」を多面的に解析するサービスです。中長期戦略やR&D戦略、新規事業戦略などで従来は数週間から数カ月を要していた大規模な調査・分析を、出典を伴う8〜10万字規模の意思決定支援レポートとして、平均10分前後で構築するといいます。本格提供に先立ち、大企業やシンクタンクなど10数社が先行トライアルを実施・決定しているとのことです。
ANSWER+が目指すのは、単に大量の情報を速く検索・要約することではありません。数千万件規模の学術知・産業知等から構成される知識基盤と、約400のAIエージェント群を組み合わせ、企業が抱える経営上の「問い」を多面的に解析。膨大な情報のなかから、経営判断に意味を持つ「非自明×高品質」な知見を導出します。
なぜ「検索の高速化」ではなく「知見の導出」を選んだのか
近年、Deep Research型のAIリサーチサービスは急速に広がっていますが、esse-senseはあえて単純な検索・要約の延長線上には立たず、「知識設計」そのものを事業の核に据えました。プレスリリースでは、この選択の背景を次のように説明しています。
企業がアクセスできる情報量は飛躍的に増えています。一方で、情報が溢れるほど、経営の意思決定に本当に有効な「非自明×高品質」な情報は膨大な情報のなかに埋もれていきます。さらに、中長期の未来戦略や新規事業を考えるうえでは、自社や一人の専門家が持つ知識だけでは、思考できる範囲そのものに限界があります。
ここに透けて見えるのは、情報量の不足ではなく「意思決定に必要な知が見つからない」という課題認識です。単に高速な検索エンジンを作るのであれば、既存のDeep Research型サービスとの差別化は難しくなります。そこでesse-senseは、学術・産業・技術・社会変化といった、これまで接続されてこなかった異分野の専門知をAIで横断的につなぐという、より手間のかかる知識設計に投資する道を選んだと考えられます。
もう一つの重要な判断は、ハルシネーション対策を「後付けのチェック機構」ではなく「アーキテクチャそのもの」で解決しようとした点です。
生成AIに事実そのものを生成させるのではなく、学術論文、政府・公的機関の資料、審議会議事録、企業が公表する情報など、信頼性を確認できる情報を起点に解析し、根拠のある「答え」を導出します。事実情報は知識基盤に蓄積された参照データをもとに構成し、生成AIは主に文章の構成や翻訳などに活用。
生成AIの役割を「事実の生成」から「構成・翻訳」へと限定し、事実は知識基盤側の参照データに委ねる。この役割分担の設計は、企業の経営判断という失敗の許容度が低い用途に、生成AIを組み込むうえでの一つの解になっているといえそうです。
ANSWER+の主な機能
1.知識導出・フルレポート構築:経営上の「問い」を起点に知識基盤を多面的に解析し、経営判断に必要な論点、変化の可能性、機会・リスクを構造化した意思決定支援レポートを生成します。
2.研究者・専門知ネットワークの特定:テーマをさらに深掘りするための研究領域や研究者を探索し、必要に応じて研究者との対話や共同研究へとつなげます。
3.シグナル検知:PESTLE(政治・経済・社会・技術・法律・環境)などの観点から、社会や産業の早期兆候を抽出・解析し、中長期戦略や新規事業の検討につなげます。
4.知の資産化:生成したレポートや問い、分析・検討の履歴を蓄積し、組織独自の知識基盤として再活用できるようにします。
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読者への示唆
ANSWER+の先行トライアルでは、シンクタンクがコンサルティング部門での本格導入に向けた準備を進めているほか、大手化粧品メーカーがCTOとともにR&D戦略の基盤構築に取り組んでいるといいます。ここで示唆されているのは、AIリサーチが専門家を代替するのではなく、専門家が仮説構築や議論により多くの時間を割けるようにする、という位置づけです。
自社で新規事業や中長期戦略の検討を担う読者にとっても、「情報を集める」段階と「意思決定する」段階を切り分け、前者にどこまでAIを組み込めるかを考える一つの材料になりそうです。あわせて、根拠となる出典を明示する設計になっているかどうかは、AIリサーチツールを選定・導入する際に確認しておきたい観点といえるでしょう。
サービス・料金体系
TRIAL PLAN:500,000円/回+税(1カ月限定、3名分のアカウント、基本機能を利用可能)
BASIC PLAN:800,000円/月+税(年間契約、10名分のアカウント、複数部門で利用可能)
ENTERPRISE PLAN:1,500,000円〜/月+税(11名以上での利用、追加データベース構築、API/MCP連携、個別要件に応じたシステム環境への対応)
■株式会社esse-senseについて
商号:株式会社エッセンス
代表者:代表取締役 西村勇哉
所在地:沖縄県国頭郡恩納村字谷茶1919-1 OISTインキュベーションスクエア・インキュベータ
設立:2021年3月
URL:https://esse-sense.com/company
株式会社esse-sense・2026年8月28日のプレスリリースより引用