仮想通貨詐欺の送金先追跡、独自システムで1件9,800円に
株式会社ベスト(鹿児島県鹿児島市、代表取締役:小野田泰久)は、仮想通貨詐欺・暗号資産詐欺の被害者を対象に、送金した資金の移動経路をブロックチェーン上で追跡し、最終的な到達先を特定する調査サービス「CryptoTracer(クリプトトレーサー)」の提供を2026年8月16日に開始しました。被害者が持っているトランザクションハッシュ(TXID)と送金先アドレスの2つを入力するだけで、公開されているブロックチェーン情報をもとに資金の移動経路を系統的に追跡し、最終的な到達先(取引所など)を特定してPDF報告書として提出する仕組みです。
従来、こうした送金先調査は着手金だけで20万円〜数百万円が相場とされてきました。CryptoTracerは追跡処理を独自システムで自動化することで、1トランザクションあたり9,800円(税込)・着手金なし・最短翌日というオンライン完結型のサービスを実現しています。
従来は着手金だけで20万円〜数百万円が相場だった送金先調査を、独自開発した追跡システムによる自動化で1トランザクションあたり9,800円(税込)、オンライン完結・最短翌日で提供します。
背景にあるのは、暗号資産を使った詐欺被害の急拡大です。警察庁の発表によると、2025年(令和7年)のSNS型投資詐欺の認知件数は9,538件・被害額1,274.7億円、SNS型ロマンス詐欺は5,604件・被害額552.2億円で、いずれも過去最悪を更新しました。なかでも暗号資産送信型の被害は認知件数2,148件(前年比+173.3%)、被害額246.3億円(前年比+188.0%)と突出した伸びを示し、暗号資産が関係する被害は被害総額の約半分(47.9%)を占めているといいます。
なぜ「システム開発・広告代理」の会社が資金追跡サービスに参入したのか
株式会社ベストの事業内容は、システム開発、Webサービス開発、AI・業務自動化、広告代理業です。設立は2025年5月と新しく、資金追跡調査を本業としてきた会社ではありません。それでも同社がこの領域に参入した背景には、既存の調査会社の構造そのものへの疑問があったと読み取れます。
プレスリリースが挙げる従来の調査会社の課題は、着手金の高さ(20万円〜数百万円)、調査期間の長さ(約2〜3週間)、面談・来店の必要性、そして手法が非公開であることの4点です。これらはいずれも「調査員が手作業でアドレスを一つずつ辿る」という人力前提の業務プロセスに起因します。裏を返せば、追跡処理そのものをシステム化できれば、人件費と時間という調査会社側のコスト構造を根本から変えられるという見立てが成り立ちます。
この見立てに基づけば、必要なのは調査のノウハウそのものよりも、ブロックチェーン上の公開情報を機械的に処理し、報告書として自動生成する開発力です。システム開発・AI業務自動化を手がけてきた同社にとって、この部分は既存の強みの延長線上にあると言えます。人力調査を前提としてきた既存の調査会社が価格競争力で対抗するには事業モデルの転換が必要になる一方、システム開発企業であれば自動化を軸に据えたサービス設計を最初から選べる、という参入経路が見えてきます。
CryptoTracerの5つの強み
プレスリリースでは、以下の5点が強みとして挙げられています。
- 独自システムによる自動追跡で、1件9,800円(税込)。調査そのものに人件費がかからず、広告費もかけていないため着手金なしを実現
- 人的ミスが起きない。ブロックチェーンの記録を機械的に処理するため、担当者の経験や体調によって結果が変わらない
- 実トランザクションハッシュを明記した、検証できる報告書。誰でも公的なブロックエクスプローラーで再現・検証できる形式
- スワップ・ブリッジを挟んだ送金にも対応。Bitcoin / Ethereum / BNB Smart Chain / Polygon / TRONの5チェーンと、USDT・USDCなどの主要ステーブルコインを追跡対象とする
- 特定できなかった場合は返金。追跡が途中で止まった場合も、どこまで追跡できたかを記載した報告書を提供したうえで返金対応を行う
特に4点目と5点目は、人力調査では対応が難しい複雑な経路(海外取引所や国外ウォレットへの送金)にも一定の範囲で対応しつつ、結果が出なかった場合のリスクを利用者側に一方的に負わせない設計になっている点が特徴です。
読者への示唆
新規事業として資金追跡サービスに参入する際、同社は「資金を凍結します」「必ず回収できます」といった誇大な表現を避け、報告書はあくまで捜査機関へ相談する際の参考資料であり、返金や資金回収そのものを約束するものではないと明示しています。
取引所口座の凍結は捜査機関の要請によって行われるものであり、民間の調査会社が独自に凍結することはできません。
既存業界に「価格の高さ」「手法の不透明さ」という構造的な課題がある場合、必ずしもその業界の経験者でなくても、隣接領域で培った技術力(この場合はシステム開発・自動化力)を軸に参入余地が生まれることがあります。ただし、その際に自社の提供価値の範囲(ここでは「追跡」であって「回収の保証」ではない)を利用者に誤解させない説明を最初に置くかどうかは、新規事業が信頼を得られるかどうかを左右する分かれ目になり得ます。新規事業の立ち上げを検討する読者にとっては、技術的な参入余地の見極めと同じくらい、提供価値の境界線をどう説明するかが検討材料になりそうです。
■株式会社ベストについて
会社名:株式会社ベスト
所在地:〒892-0838 鹿児島県鹿児島市新屋敷町26番1号701号
代表者:代表取締役 小野田 泰久
設立:2025年5月
事業内容:システム開発、Webサービス開発、AI・業務自動化、広告代理業
コーポレートサイト:https://online-best.com/
株式会社ベスト・2026年8月16日のプレスリリースより引用