紙の「商工名鑑」を、なぜデジタルの採用プラットフォームに発展させたのか
郡山商工会議所(福島県郡山市)は2026年8月1日、会員企業を紹介するWebサイト「郡山ビジネスリンク」を開設しました。これまで紙面で発行してきた「商工名鑑」を発展させ、企業情報に加えて採用情報を掲載する仕組みに切り替えたものです。企業同士のビジネスマッチングに加え、郡山での就職を希望する学生・求職者に地元企業の情報を届け、「知る」ことから将来の「働く」につなげることを狙いとしています。
現在すでに約258社の企業情報を掲載しており、2028年10月末までに掲載企業数1,000社・年間10万ビューを目標に掲げています。掲載料は3年間5,000円(税込)とし、企業情報やロゴ、採用情報の変更は何度でも無料で対応するとしています。
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紙の名鑑ではなく、なぜ「検索できる採用プラットフォーム」を選んだのか
地方の商工会議所が会員企業を紹介する手段としては、従来の紙媒体の名鑑を継続する、あるいは単純にPDF化してオンライン公開するという選択肢もあり得ます。しかし郡山商工会議所が選んだのは、企業名だけでなく「どんな商品を作っているか」「どんなサービスを提供しているか」という切り口から検索でき、採用情報まで一体で確認できるプラットフォーム化でした。
「郡山ビジネスリンク」は、これまで紙面で発行していた「商工名鑑」を発展させ、企業情報に加えて採用情報を掲載する新たなビジネスプラットフォームです。企業同士のビジネスマッチングだけでなく、郡山での就職を希望する方へ企業情報を届けて郡山の企業を「知る」ことから、将来の「働く」につなげることを目指します。
この設計の背景には、地域の学生・求職者が地元企業の存在を「知る機会」自体が乏しいという課題認識があります。企業規模や情報発信力によって学生との接点に差が生じやすく、ホームページなどで十分な発信ができていない小規模事業者も少なくありません。従来の名鑑のような一覧掲載では、こうした情報格差を埋めることが難しかったと考えられます。
段階的に興味を発見できる導線設計
プラットフォームでは、企業を知る→仕事内容を知る→採用情報を見る→企業に興味を持つ→応募や企業との接点へ、という段階を踏む導線を用意しています。「求人票を見る」だけで終わらせず、会社を知ったうえで働くことを考えてもらうための情報提供を目指すという設計です。採用情報についてはハローワーク等の既存求人情報を活用することで、企業側の入力負担を抑える仕組みも取り入れています。
低価格な掲載料で参加のハードルを下げる
掲載料を3年間5,000円(税込)に設定した点も特徴です。優れた技術や商品を持ちながら自社での情報発信が十分にできていない小規模事業者でも参加しやすいよう、価格面のハードルを下げています。企業情報やロゴ、画像、採用情報の変更が何度でも無料である点も、更新の手間を理由に発信が滞ることを防ぐ狙いがあるとみられます。
地域の採用課題にどう向き合うかという視点
地方における若者の地元定着や地元就職を進めるうえでは、「残ってほしい」という呼びかけだけでは限界があります。郡山商工会議所が今回のプラットフォームで重視したのは、「郡山にはこんな仕事や会社がある」という具体的な選択肢を、学生や求職者に見える形で示すことでした。
新規事業の担当者にとって示唆的なのは、既存の紙媒体という資産をそのまま電子化するのではなく、利用者が本当に知りたい切り口(商品・サービスからの検索、採用情報との一体化)に合わせて情報構造そのものを組み替えた点です。既存の仕組みを持つ組織が新しいサービスを立ち上げる際、何を残し、何を作り直すかという判断の一例として参考になります。
■郡山商工会議所について
所在地:福島県郡山市清水台1-3-8
代表者:滝田 康雄
設立:1925年11月
事業内容:商工業の振興・地域企業の支援等
URL:https://www.ko-cci.or.jp/
郡山商工会議所・2026年8月14日のプレスリリースより引用