宿泊施設向けAIチャットボット「やどチャット」提供開始|旅館・民泊・貸別荘の問い合わせ対応を24時間365日自動化

  • 2026/7/30
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宿泊施設向けAIチャットボット「やどチャット」。PCやスマートフォンから、宿の問い合わせ対応を24時間365日自動化します。

株式会社リトラ(東京都豊島区、代表取締役:吉本裕)は、旅館・ホテル・貸別荘・一棟貸し・ペンション・民泊・ゲストハウスなど宿泊施設向けのハイブリッドAIチャットボット「やどチャット」の提供を開始しました。すでに箱根のラグジュアリー貸別荘で導入が決定し、実稼働を始めています。開発にあたっては、AIシステム・AIエージェント開発を手がける株式会社Dreseoを開発パートナーに迎え、両社で共同開発を進めてきました。

やどチャットの中身は、単純な自動応答ボットではありません。「選択式FAQメニュー」「RAG(検索拡張生成)ベースのAI応答」「有人エスカレーション」という3つの層を組み合わせた設計になっています。チェックイン時間や駐車場、アクセスといった定型的な質問はボタン形式で即時に回答し、フリーテキストで入力された質問だけをAIが引き取り、施設ごとのナレッジを参照してcitation(出典)付きで回答します。そして、AIが安全に答えられないと判断した質問は、即座に人へエスカレーションする仕組みです。

やどチャット-コンシェルジュ- デモ画面

対応言語も日本語だけでなく、英語・中国語・韓国語を含む100言語以上に対応しており、増えているインバウンド(訪日外国人)ゲストからの問い合わせにも対応できる設計です。公式ホームページの予約前チャットだけでなくSlackなど複数のチャネルにも対応し、チャネルごとに参照するナレッジや応答ポリシーを切り替えられるようになっています。

公式ホームページの予約前チャットやSlackなど、宿のお客様が触れるあらゆる接点に対応。チャネルごとに参照ナレッジと応答ポリシーを切り替え、多言語にも対応します。

なぜ「自社の代行業務」で検証してから製品化したのか

やどチャットのもう一つの特徴は、開発の起点が外部の市場調査ではなく、リトラ自身の実務だったという点です。リトラは以前から、宿泊施設の問い合わせ・予約メッセージ対応を代行する業務を請け負ってきました。その現場で、届くメッセージの多くがチェックイン時間や駐車場、アクセスといった定型的な内容である一方、返信が深夜・早朝・休前日に集中し、対応工数が積み上がっていく実感があったといいます。宿泊施設の問い合わせ対応の現場には、「同じ質問への繰り返し対応」「営業時間外の機会損失」「AI導入の事故リスク」という3つの課題が残っていたと整理しています。

宿泊施設の問い合わせ対応の現場に残る3つの課題。「同じ質問の繰り返し」「営業時間外の機会損失」「AI導入の事故リスク」を解決するために、やどチャットを開発しました。

そこでリトラは、代行業務で蓄積した回答パターンやエスカレーションの判断基準をそのままナレッジ化し、やどチャットを開発。まず自社の代行業務にこの仕組みを導入し、定型的な質問はAIが即時に回答し、判断が必要な問い合わせだけを人が引き取る運用に切り替えました。

この「自分たちが実務で使い、手応えを得た」という一次体験が、やどチャットを広く宿泊事業者へ提供するきっかけとなりました。

新規事業の立ち上げにおいて、「需要がありそうだ」という仮説を外部向けにいきなり製品化するのではなく、まず自社の現場でその仮説を使い倒し、効果を確かめてから外部提供に踏み出す——これはPMF(プロダクトマーケットフィット)を検証する一つの手堅いやり方です。リトラの場合、自社の代行業務という「実際のユーザー」を先に持っていたことが、机上の検証では得にくい確度の高い手応えにつながったと考えられます。

「聞きにくい質問」という、宿側からは見えない機会損失

もう一つ、リトラが着目したのが宿泊者側の心理的なハードルです。追加料金の細かな条件やキャンセル規定、ペット・アレルギーへの対応可否、深夜チェックインの可否など、電話やメールでスタッフに直接尋ねるのは気が引ける、という質問は少なくありません。こうした問い合わせは、聞かれないまま検討から離脱してしまうことも多く、宿側からは見えない機会損失になっていたといいます。24時間いつでも気兼ねなく確認できる窓口を用意することは、単なる工数削減にとどまらず、予約前の不安解消という別の効果も狙った設計といえます。

なぜ「事故ゼロ」を業務削減やCVR向上より優先したのか

宿泊施設へのAI導入では、誤回答(ハルシネーション)がそのままクレームや信用の毀損につながるリスクが常につきまといます。これまで多くの宿がAIチャットボットの導入をためらってきた最大の理由も、まさにこの事故リスクでした。やどチャットの設計思想は、この課題に対する一つの答えになっています。

「事故ゼロ > 業務削減 > CVR向上」の優先順位で設計。ナレッジで裏付けが取れない質問は推測せず、即座に有人対応へ切り替え

CVR(予約転換率)を上げることを優先しすぎれば、AIは「それらしい答え」を返しがちになり、結果として宿のブランドを傷つけるリスクが高まります。やどチャットはこの優先順位を意図的に逆転させ、まず事故を起こさないことを最上位に置きました。エスカレーションの判定も、「確信度70%」のような曖昧なスコアではなく、明示的な構造条件で行う設計にしているといいます。料金・キャンセル・チェックインといった、間違えると事故につながりやすい質問には専用の制御ロジックを適用し、電話番号やクレジットカード情報などの個人情報はログに保存しない処理を行っているとのことです。

やどチャットの設計思想。「事故ゼロ > 業務削減 > CVR向上」の優先順位で設計し、ナレッジで裏付けが取れない質問は推測せず即座に有人対応へ切り替えます。

「安全に倒すか、成果に倒すか」という設計判断は、AIを顧客接点に導入しようとするあらゆる事業者が直面する意思決定です。やどチャットの場合は、成果指標(CVR)よりも安全性を優先することで、宿泊施設側が導入をためらう最大の障壁——AIの誤回答リスク——を先に取り除きにいったことになります。

やどチャットの3層ハイブリッド設計。選択式FAQメニュー、RAGベースAI応答、有人エスカレーションの3層を組み合わせ、コスト・品質・安全性を同時に担保します。

読者への示唆

やどチャットの意思決定から読み取れるのは、AIを顧客接点に組み込む際の優先順位のつけ方と、検証の順序という2つの論点です。一つは、成果指標(この場合はCVR)を最優先にするのではなく、まず安全性・信頼性を確保する設計にすることで、導入企業側の心理的なハードルを下げるという考え方。もう一つは、自社の実務や既存事業の中で先に仮説を検証してから、外部向けの製品として展開するという順序です。いずれも、新しいAI活用を検討する事業者にとって、参考になる判断軸だといえるでしょう。

■株式会社リトラについて

名称  :株式会社リトラ(Retra Inc.)
所在地 :東京都豊島区駒込1丁目10-13
代表者 :吉本 裕
事業内容:宿泊施設向けマーケティング支援/Instagram運用代行/MEO対策/Web広告運用/公式サイト制作(やどサイト)/AIチャットボット導入支援(やどチャット)/写真・動画制作/宿泊施設のブランディング・コンサルティング
URL  :https://retra.jp/

※開発パートナーの株式会社Dreseoは、AIエージェント開発、Loop Engineering(AIの自律実行ループの設計・運用)、RAG/AIチャットボット構築、PoCの設計・実装を手がける企業です(https://dreseo.com/)。


株式会社リトラ・2026年7月28日のプレスリリースより引用

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