株式会社ジールは、OTC医薬品メーカーを対象としたデータ統合・分析環境の導入支援サービス「MEDSCOPE(メドスコープ)」の提供を2026年10月5日より開始しました。
販売実績や店頭情報、消費者動向、気象・疾患動向など、これまで企業内に分散していたデータを横断的に統合し、商品供給や販売・マーケティング施策の判断に活用できる環境を提供します。
販売データだけでは見えない「需要の変化」を捉える
今回の「MEDSCOPE」で注目したいのは、単に販売データを集めて分析するだけではなく、販売実績と店頭、消費者、外部環境などのデータを組み合わせて分析できる環境を構築する点です。
OTC医薬品市場では、セルフメディケーションの推進やPB商品の拡大などによって市場環境が変化しています。
その一方で、適切な商品供給や店頭展開、消費者への情報提供など、メーカー側には市場や生活者の変化を踏まえた判断が求められています。
例えば、ある商品の販売数が伸びていたとしても、その理由が「季節によるもの」なのか、「対象となる疾患が増えているから」なのか、「店頭での販促がうまくいったから」なのかによって、次に取るべき施策は変わります。
販売実績だけを見ていては、こうした需要変動の背景まで捉えることは難しいでしょう。
そこでMEDSCOPEでは、販売実績だけでなく、店頭情報、消費者動向、気象データや対象疾患の動向などを組み合わせ、需要変化を多角的に分析できる環境を提供します。
なぜデータを「集める」だけでは足りないのか
企業のデータ活用でよくある課題が、データそのものは存在しているものの、部署やシステムごとに分散していて、横断的に利用できないという問題です。
今回のプレスリリースでも、店頭情報や販売実績、消費者データ、外部環境データなどがそれぞれ別々に管理されていることで、棚割り状況の可視化や施策効果の検証、需要変動要因の分析が難しくなっているとしています。
例えば、販売実績は販売部門、店頭情報は営業部門、消費者データはマーケティング部門といったように、データがそれぞれ異なる場所に存在しているケースです。
この状態では、データを「持っている」ことと「使える」ことの間に大きな差が生まれます。
さらに、各店舗や取引先からExcelやCSV形式で集めたデータを手作業で整理・統合している場合、分析そのものよりもデータの加工や集計に時間がかかってしまいます。
MEDSCOPEでは、こうしたデータを統合・標準化し、分析できる状態まで整えることで、本来の分析や意思決定に時間を使える環境を目指しています。
OTC医薬品業界に合わせた「分析テーマ」を標準搭載
MEDSCOPEの特徴の一つが、単なる汎用的なデータ分析基盤ではなく、OTC医薬品メーカーの業務を前提とした分析テーマを標準搭載していることです。
具体的には、市場構造や対象疾患の動向、インストアシェア、在庫回転率、需要分布、スペースシェア、施策実現率などを可視化します。
これは、データ基盤を導入したものの、「結局どのデータをどう分析すればいいのか分からない」という問題を避けるための設計といえます。
一般的なBIツールやデータ分析基盤では、企業側が自社の課題に合わせてデータを加工し、分析項目やダッシュボードを設計する必要があります。
しかし、業界特有の分析軸があらかじめ用意されていれば、導入後すぐに実務で使いやすくなります。
一方で、企業ごとの業務要件に合わせたカスタマイズにも対応しており、標準化と個別対応を両立できる設計になっています。
「店頭で実際に何が起きているか」まで可視化
もう一つのポイントが、販売実績だけでなく、店頭で施策が実際に実行されたのかまで確認できることです。
例えば、販促施策を実施したとしても、すべての店舗で同じように展開されているとは限りません。
定番棚がどのような状態になっているのか、商品が予定どおり展開されているのかといった店頭情報と、POSなどの販売実績を組み合わせることで、「施策を実施した結果、売上がどう変化したのか」を確認しやすくなります。
その結果、優先的にフォローすべき店舗を特定したり、商品供給の見直しや次回の販促施策を検討したりといった判断にもつなげられます。
つまり、MEDSCOPEが目指しているのは「データを見ること」ではなく、データをもとに次のアクションを決められる状態を作ることです。
データ活用で重要なのは「分析」より、その先
企業のDXでは、「データを一元化する」「ダッシュボードを作る」といった取り組みが目的になってしまうことがあります。
しかし、データが一つの画面に集まっただけでは、必ずしも業務改善にはつながりません。
重要なのは、そのデータを見た結果として、
「どの商品をどれだけ供給するのか」
「どの店舗を優先してフォローするのか」
「どの販促施策が効果的だったのか」
「次にどの施策を実施するのか」
といった具体的な意思決定につなげられるかどうかです。
MEDSCOPEは、業界特有の分析テーマを標準化し、分散したデータを統合したうえで、店頭での実行状況から施策効果までを一貫して確認できる環境を提供します。
単に「データを集める」ための仕組みではなく、データを意思決定に使うところまでを一つの環境として整えることが、今回のサービスの大きな特徴といえそうです。
今後はOTC医薬品以外の消費財メーカーにも展開へ
MEDSCOPEはまずOTC医薬品メーカー向けに提供を開始し、今後はドラッグストアを主要な販売チャネルとする消費財メーカーへの展開も検討しています。
また、商品や業界ごとの特性に応じて分析テーマや活用データを拡張し、対象領域を広げていく予定です。
業界によって見るべきデータは異なります。
そのため、汎用的なデータ基盤を導入するだけではなく、業務や業界特有のデータをどのように組み合わせ、どの意思決定につなげるのかまで設計することが、今後のデータ活用ではより重要になりそうです。
今回のMEDSCOPEは、まさにその「データをどう業務につなげるか」に焦点を当てたサービスといえます。
DXを進める企業にとっても、データを一元化すること自体をゴールにするのではなく、「そのデータを使って、誰が、どのような判断をするのか」まで逆算してデータ基盤を設計することが重要なポイントになりそうです。
株式会社ジールは、DX構想策定のコンサルティングやデータ基盤構築、AIを活用したデータ高度利用支援などを提供しています。東証プライム市場上場の株式会社アバントグループの100%子会社です。
社名:株式会社ジール
設立:2012年7月
代表者:代表取締役社長 沼田善之
本社所在地:東京都品川区西五反田8丁目4-13 五反田JPビルディング11階
URL:株式会社ジール公式サイト
株式会社ジール・2026年10月5日のプレスリリースより引用。